東武鉄道は15日、同社において33年ぶりとなるフラッグシップ特急「スペーシアX」(N100系)の運行開始を記念し、営業初列車の「スペーシアX 1号」に合わせ、浅草駅で出発式を開催した。

  • 東武鉄道の新型特急「スペーシアX」がデビュー。浅草駅で出発式が行われた

「スペーシアX 1号」は木・金・土休日に浅草駅7時50分発・東武日光駅9時39分着で運転される列車。筆者は6時35分頃に浅草駅に到着したが、その時点で駅1階の売店に「スペーシアX」の利用者と思われる列ができていた。「スペーシアX」の入線が近づくにつれ、新型車両をひと目見ようと多くの人が集まり、駅員らが動線確保を促していた。

出発式は浅草駅4番ホームで行われ、最初に東武鉄道取締役社長の都筑豊氏が挨拶。近年、官民一体で日光の国際エコリゾート化をめざしており、その一環で「スペーシア」(100系)以来33年ぶりとなる新型特急車両を送り出したという。「スペーシアX」の特徴に関して、内装・インテリアへのこだわりや、「スペーシア」と比べてCO2排出量を40%削減したこと、カフェカウンターでのメニュー提供を挙げた上で、「共生をめざし、この『スペーシアX』が紡ぐエコでエシカルな旅を楽しんでいただくことにより、日光エリアの持続的な発展を支えていきたい」と述べた。

続いて浅草駅長の飯塚和浩氏が登壇。今年で60歳になるとのことで、節目の年に「スペーシアX」の出発式を迎えたことを光栄に思っていると話す。「日本全体がコロナ禍により元気がなくなってしまい、やっと動き出したいまこそ、この『スペーシアX』が観光復活の象徴として、多くのお客様に笑顔と満足をご提供する存在となることを願ってやみません」とコメントした。

  • 東武鉄道の都筑社長、浅草駅の飯塚駅長が挨拶。小学生リポーター代表者も自身の思いを語った

東武鉄道は今年6月、キッズサイト「TOBU Kids(と~ぶキッズ)」にて、「スペーシアX」の営業初列車の1号車「コックピットラウンジ」(東武日光方先頭車)に乗車できる「小学生リポーター大募集! InスペーシアX」の募集を行った。小学生がいる家族を対象に、2人1組を3組、3~4人1組を3組、計6組18名の参加を募った。

今回、約1,300組の応募の中から選ばれた小学生リポーター代表が出発式に登壇。「キッズリポーターになることができてすごくうれしい。今日のことは一生忘れられない思い出になりました。『スペーシアX』に乗って楽しんできたい」と話した。小学生リポーターは東武日光駅まで「コックピットラウンジ」に乗車し、体験した感想を自身の言葉でレポートするという。その内容は後日、「TOBU Kids」ウェブサイトに公開される予定となっている。

登壇者全員が挨拶を終えたところで7時33分となり、いよいよ「スペーシアX」が入線する時刻に。同列車の発車番線としてリニューアルされた5番ホームに利用者が並び、多くの人々に迎えられる中、「スペーシアX」が浅草駅に入ってきた。この営業初列車に乗務する春日部常務管区主任車掌の室田英紀氏、主任運転士の武田一之氏へ、小学生リポーター代表からの花束贈呈も行われた。

  • 7時33分頃、「スペーシアX」が4・5番ホームに入線。乗務員への花束贈呈も行われた

  • 都筑社長、飯塚駅長、小学生リポーター代表によるテープカット

  • 司会を務めた一龍齋貞弥氏(写真左)も加わってのフォトセッション

  • 飯塚駅長の合図で「スペーシアX 1号」が浅草駅を発車し、東武日光駅へ

「スペーシアX 1号」の発車時刻が近づく中、テープカットやフォトセッションも行われた。フォトセッションでは、「スペーシアX」の自動アナウンスを担当し、出発式の司会も務めた講談師・ナレーターの一龍齋貞弥氏も加わり、撮影が行われた。7時50分、浅草駅の飯塚駅長による合図とともに「スペーシアX 1号」が発車。1号車「コックピットラウンジ」に小学生リポーター6組、2~5号車に一般利用者を乗せ、東武日光方面へ走り出した。なお、営業運転初日の「スペーシアX」は前売り発売の時点で全列車満席になったとのこと。

新型特急「スペーシアX」(N100系)は、木・金・土休日に1日4往復、平日の月・火・水曜日に1日2往復を運行。毎日運転の2往復のうち、下り「スペーシアX 3号」と上り「スペーシアX 4号」は浅草~東武日光間、下り「スペーシアX 7号」と上り「スペーシアX 8号」は浅草~鬼怒川温泉間を走る。下り「スペーシアX 1・5号」と上り「スペーシアX 2・6号」は木・金・土休日のみの運行とされ、月・火・水曜日まではこれらの列車に代わり、従来の「スペーシア」(100系)を使用した特急列車を同時刻に運行する。