もともと宝塚歌劇団の男役スターとして活躍していた七海。退団後、声優、アーティストとして活動していくなかで、歌がさらに好きになったという。今回はここまでの活動を振り返ってもらいつつ、「It's My Soul」と『HIROKI NANAMI ZEPP LIVE TOUR “COLORS”』の見どころ・聞きどころについて語ったインタビューが到着した。

七海ひろきとして表現することをやってみたい

──役者業に加えて、アーティスト活動もされている七海さん。小さい頃はどんな音楽を聞いていましたか? ルーツを教えてください。

小さい頃はアニソンばかり聴いていました。アニメを見ながら主題歌をチェックして、気に入った曲のCDも買っていました。その後、宝塚歌劇団を目指そうと思うようになり、宝塚の音楽に夢中になりました。

──宝塚歌劇団に興味を持ったきっかけは?

天海祐希さんが出演されていた月組の『風と共に去りぬ』という作品をテレビでたまたま見たんです。それがあまりにもカッコよくて。そこで、男役が活躍する宝塚歌劇団という存在を知り、心を奪われてどんどん好きになっていきました。

──宝塚歌劇団に入団されるまでに、何か音楽に関する習い事はしていましたか?

小さい頃にエレクトーンを習っていました。そこでクラシックの曲なども聞きましたが、とにかくアニメが好きだったので、発表会でもアニメの主題歌を弾いていました(笑)。あとは、小学生のときに吹奏楽部に入って、トランペットを吹いていました。

──歌に関する習い事などは特にやっていなかった?

はい。歌は学校の合唱や友達とカラオケに行って歌うくらいしかやっていなくて。ちゃんと歌について習ったのは、宝塚歌劇団の受験をしようと決めたときなので、だいぶ遅いです。でも「歌」って、すぐに上手になるものじゃなくて。宝塚歌劇団に入団してからも、上手に歌いたいと考え過ぎてがんじがらめになって、好きではありましたがちょっと苦手意識みたいなものがありました。だから、アーティストデビューの話をいただいたときは「私で大丈夫ですか?」っていう驚きがあって。それでも、何かの役としてではなく、七海ひろきとして表現することをやってみたいと思い、デビューに踏み切りました。

活動を経て進化した声の響き方

──デビューしてからここまでの活動を経て、音楽に対する向き合い方は変化しましたか?

歌をさらに好きになり、これまで免疫がない曲にもチャレンジするようになりました。以前と比べて、アーティストとしてどう進化できるのかと考えるようにもなっています。あとは声の響き方ですかね。私、宝塚歌劇団在団中に、声の響きがあんまりよくないと言われることがあったんです。恐らく、男役をやるうえで低い声を出さなきゃという意識が強すぎて、必然的に歌声がこもったり、マイクに乗りづらい音を出したりしていたんだと思います。

──アーティスト活動をするようになってから、その響き方が変化した。

アーティスト活動もそうですし、アニメ作品に声をあてるなかでも変化した気がします。自分の声の響き方などを考えながら歌やお芝居の練習をすることによって、だんだんとよくなっていきました。現場で「よくなったね」と声をかけていただけたときは、とても嬉しかったです。どこに声を当てたらいい響き方をするのか、少しずつ掴めてきたのかもしれません。

──役者での経験がアーティスト活動にも影響しているんですね。

よく耳にする言葉ではありますが、本当に「何をするにも経験は無駄にならない」と実感しています。

──一方で、宝塚歌劇団と声優・個人のアーティストとして芝居をしたり歌ったりするのでは、表現の仕方がぜんぜん違うんですね。

違いますね。宝塚歌劇団の舞台は「宝塚だからこそ表現できるもの」を追求していく部分があって。例えば、声優で男性を演じる際と宝塚の男役では発声の仕方もちょっと異なると感じています。

──なるほど。では、芝居の向き合い方に関しての変化は感じていますか?

先ほどの響き方と合わせて、距離感を考えるようになった気がします。舞台って、相手がどんなに近くにいたとしても、わりと大きな声で喋るんです。それは、見ているお客さんに声をちゃんと届けるために。ただ、声優だと相手との距離感を考えて演じることもあって。それが舞台ならどういうふうに活かせるのかという視点を持つようになりました。でも、演じる役がいちばん素敵に見えるにはどうしたらいいかを考える、という根底はあまり変わっていないです。