大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)の第25回「はるかに遠い夢」が2日に放送され、ついに徳川家康の正妻・瀬名(築山殿)と嫡男・信康が死に追い込まれた悲劇「築山殿事件」が描かれた。瀬名役を務めた有村架純は、どのように撮影に臨み、演じ切った瞬間どんな気持ちになったのか。また、印象に残っているシーンや家康役の松本潤との共演について、さらに、本作出演がどのような経験になったのか話を聞いた。

  • 『どうする家康』瀬名(築山殿)役の有村架純(左)と徳川家康役の松本潤

奪い合うのではなく与え合う“慈愛の国”を目指すという瀬名(有村)と信康(細田佳央太)の計画は、武田勝頼(眞栄田郷敦)の手で世にさらされ、信長(岡田准一)の耳にも届いてしまう。家康(松本潤)は2人の始末をつけなければ織田と戦になるとわかっていながらも、信長の目をあざむいて妻子を逃がそうとするが、瀬名と信康はすべての責任を負い自害した。

古沢良太氏が脚本を手がけ、江戸幕府を開いた徳川家康の生涯を新たな視点で描く本作。有村は、第25回の脚本を読んだときに涙が出たという。

「瀬名が信康と一緒に覚悟して企てていく第23回の終わりぐらいから、気持ち的にも積み上げてきたのですが、殿(家康)に対する精一杯の思いが瀬名の本当の姿だったのかなと、思いを馳せながら読んだときにグッとくるものがありました」

本作において「築山殿事件」がどのように描かれるのか注目が集まっていたが、有村は瀬名の最期に納得したという。

「台本を読んだときに、驚きというか納得というか、古沢さんが描いてくださった瀬名のキャラクターや瀬名の持つ愛情が集大成として第25回に落とし込まれていたなと思いました」

また、「信康と一緒に死のうとは思ってはなかっただろうなと思っています」と瀬名の心情を推測。

「きっとどこかのタイミングで信康に対しては何か策を立てて生き抜いてもらおうと考えていたと思いますが、信康が精神的に苦しんでいるところをずっと見ていて、どうすれば救われるだろうかと考えたときに、争いごとをなくすことしか方法がなかった。殿の夢でもあったし、信康が望んでいることでもあったし、瀬名が愛する家族のために考えて自分の中に生まれた方法を迷いなく実行していったのかなと思いました」

築山殿事件の撮影が近づいてきたときは「いよいよ来た」という気持ちになったという。

「すごく構えて現場に入りました。あっという間にこの日が来てしまったので、心して挑まないといけないという緊張が走りました」

瀬名の最期のシーンは、どう演じるか「ぎりぎりまで練っていた」と言い、「自分の集中力と向き合い、自分自身とも戦っていました」と打ち明ける。

そしてクランクアップを迎えたときは安堵し、「無事に築山殿という女性が報われたらいいなという気持ちになりました」と明かす。

「最後は自害してしまったけれど、『どうする家康』の中では、殿と信康、すべての世に対する思いを持ちながら自分で選んだ自害という道だったので、恨みつらみの感情はあったとしてもごくわずかだと思いますし、無事に終えられてほっとしました」