明治は6月28日、カカオの未活用部位をアップサイクルした新しいライフスタイルブランド「CACAO STYLE」の立ち上げを発表した。チョコレートなどの製造工程で残ってしまうカカオハスク(皮)から作った、ユニークな食器や花瓶などを販売していくという。
チョコの匂いがする商品ずらり
これまで「ひらけ、カカオ。」をテーマに、様々なパートナーと手を組みカカオを通じたサステナブルな取り組みを推進してきた明治。ライフスタイルブランド「CACAO STYLE」では、開発パートナーとともに「ボンボニエール」「カフェスリーブ」「キャニスター」「花瓶」「コースター」「チャーム」などの商品を開発し、オンライン販売していく。
六本木ヒルズのヒルズカフェ/スペースでは6月30日から7月2日まで、CACAO STYLEのポップアップストアを期間限定でオープン。実際に商品を手にとり、その質感を確かめることができる。入場は無料。
ここで商品をいくつか紹介しよう。いずれもチョコレートの香りが漂う、これまでにない商品となっている。「GATO ボンボニエール」は、伝統工芸「山中漆器」の廃木粉にカカオハスクをブレンドし、アップサイクルしたサステナブルな漆器。開発パートナーは、菱華産業および我戸幹男商店。著名デザイナーによるモダンなデザインを、我戸幹男商店がラグジュアリーなボンボニエールに仕上げた。
「CACAO カフェスリーブ」は、カカオハスクをアップサイクルして作った紙コップ用のハンドル付きスリーブ。開発パートナーは、菱華産業。会議、イベント、来客対応、カフェテリアでの利用などを想定している。市販の紙コップ(9オンス、7オンス)に対応。名入れやロゴ入れなど、ノベルティにも対応する。
「CACAOキャニスター」は、カカオハスクをアップサイクルして作ったお菓子ボックス(スイーツキャニスター)。開発パートナーは、菱華産業。来客のもてなし、オフィスのミーティングスペースでも利用できる。羊羹なら2本、明治ミルクチョコレートなら1箱分(26個)を収納可能。
「brownew Stand」は、カカオハスクを使用した花瓶。3Dプリンタで造形している。開発パートナーはVOID。
「コースター」は、カカオハスクから作ったコースター。開発パートナーは、fabulaおよび漆琳堂。チョコレートに目がない人へのプレゼントに、また温かいチョコレートドリンクなどを置き、カカオに包まれた至福のひと時を過ごすなどの利用シーンも想定している。
このほか、ポップアップストアでは販売前の商品も参考展示している。
世界的なビジネスチャンスにも
明治は2022年3月に「明治 Newアクション発表会 -001サステナブルアクション(カカオ)」を実施。カカオのポテンシャルの最大化を目指し、「ひらけ、カカオ。」をスローガンに活動を進めてきた。今回のCACAO STYLEの立ち上げも、そのサステナブルアクションの一環という位置づけ。明治 代表取締役社長の松田克也氏が概要を説明した。
チョコレートの原料となるカカオだが、商品に使われる部分は実全体の約3割に過ぎない。これまでカカオハスクは、飼料・肥料・燃料にするしか使い道がなかった。
「カカオハスクは、カカオ豆の約10%を占めます。日本のカカオ豆の輸入量は4.9万tあるため、5,000tのカカオハスクが有効活用されずにおります」と松田社長。しかしカカオハスクを有効利用できれば、将来的には世界的に大きなビジネスチャンスにもつながる、と評価する。
カカオハスクの特徴は、カカオの良い香りがすること、繊維質であること、乾燥していること。非食品領域(容器・小物、家具・建材、繊維など)の各分野のパートナーとともにカカオの香りを楽しめる商品の開発を進め、カカオに新たな価値を付加していきたい、と意欲をみせた。
質疑応答でメディアの質問に対応したのは、明治 カカオマーケティング部 CXSG長の木原純氏。ターゲット層について聞かれると「まずは、SDGsやサステナビリティに関心の高い方がた。具体的には、Z世代の方、そしてシニア層の方も環境意識が高いとの認識です。また、弊社の活動を応援してくださる方にも、ぜひ商品を手にとっていただければと考えています」。
売上目標、販売規模などについては「パートナー企業に販売いただく形をとるため、現時点での売上目標などはありません」との回答。「カカオハスクには大きな可能性があるということを信じて、様々な活用方法を検討していきつつ、パートナー企業と開発した商品がひとつでも多くお客様の手元に届くような活動をしてまいります」と話していた。