映画『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』グランドフィナーレ舞台挨拶が18日、新宿ピカデリーにて開催され、2022年に活躍した『ウルトラマンデッカー』主要キャストが登壇した。そして7月8日から放送開始する新番組『ウルトラマンブレーザー』への引継ぎとして、主演のヒルマ ゲント役・蕨野友也もかけつけた。

  • 左から大地伸永、村山優香、ウルトラマンブレーザー、蕨野友也、松本大輝、ウルトラマンデッカー、中村加弥乃、ウルトラマンディナス、谷口賢志

映画『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』は、タイトルのとおりテレビシリーズ『ウルトラマンデッカー』の最後の戦いを描く物語。エキスパートチーム「GUTS-SELECT」の仲間たちがそれぞれの新しい目標に向かって進もうとする中、ウルトラマンデッカーへの変身能力を失ったアスミ カナタの前に謎の美女・ラヴィー星人ディナスが現れる。地球を襲う新たな脅威「プロフェッサー・ギベルス」に立ち向かうディナスは、光の巨人ウルトラマンディナスに変身して、果敢に戦った――。

最終上映となる新宿ピカデリーには多くの『デッカー』ファンがかけつけ、キャストをひとりずつコールしながら呼び込んだ。

ウルトラマンデッカー/アスミ カナタを演じる松本大輝は、客席からの「カナタくーん!」コールに応えて登場。「ついにこの日(グランドフィナーレ)を迎え、ホッとする気持ちと同時に寂しさがある」と、1年間走り続け、ついにゴールを迎えた現在の複雑な心境を語った。

キリノ イチカを演じた村山優香は「イチカちゃーん!」コールに迎えられて登場。「今とても寂しいです。でも、最初の舞台挨拶から今日まで、たくさんの方たちに集まってもらえて、すごく嬉しいです」と、ウルトラマンを応援してくれるファンにいつも元気づけられていることに感謝しつつ、明るい笑顔を見せた。

リュウモン ソウマを演じた大地伸永は「リュウモーン!」のコールに応えてステージに現れたものの「なんで僕だけ呼び捨てなんだ」とMCに文句を言う場面があった。さらに「映画の中で、リュウモンは新生GUTS-SELECTの隊長になるんだから、たいちょー!と呼んでほしい」とリクエストもしっかり忘れなかった。そして「この日まであっという間でした。各地の舞台挨拶をみんなで回らせていただいたり、楽しかった思い出がいっぱいです」と、万感の思いを込めてコメントした。

「ディナスさーん!」の呼び声を聞きつけ現れたのは、ウルトラマンディナス/ディナスを演じた中村加弥乃。中村は「これでもう終わっちゃうの、という残念な思いです。でも、映画の公開から3ケ月が過ぎたのに、こうしてたくさんの人たちが集まってくださり、うれしいかぎりです」と、熱心な『ウルトラマンデッカー』ファンに自分たちが支えられていることをしみじみ実感しながら話した。

続いて、映画で印象的だった名シーンを登壇キャストによって再現するコーナーへ突入。今回再現するのは、敵の攻撃によって孤立したカナタ、ディナス、リュウモン、イチカが山小屋で体制を立て直し、反撃のきっかけを探ろうとするくだりだった。孤独な異星人だったディナスがイチカの言葉に心を動かされ、2人がかけがえのない友情で結ばれるという重要なシーンであるだけに、再現している途中、中村が思わず目に涙を浮かべてしまうハプニングが起きた。中村は「あまりにも愛おしい」と仲間との絆をふりかえり、泣き笑いの表情を抑えることができずにいたという。

フィナーレを迎えた『デッカー』に代わって新しく始まる新番組『ウルトラマンブレーザー』の主人公は、特殊怪獣対応分遣隊「SKaRD(スカード)」の隊長を務めるヒルマ ゲントである。新旧ウルトラヒーローの引継ぎという意味で、ステージにはゲント隊長役・蕨野友也がさっそうとかけつけた。

蕨野は、先日行われた『ウルトラマンブレーザー プレミア発表会』ですでにお披露目こそ済んでいるものの、大勢の子どもたちがつめかけた劇場であいさつをするのは初となる。朗らかな松本との対比もあって、隊長らしく生真面目で実直そうな蕨野の姿勢が際立った。蕨野は『ウルトラマンブレーザー』への注目度をいっそう高めてもらいたいと意欲を燃やし「ファンのみなさんの期待に応えられるようなウルトラマンになっています!」と猛烈にアピールした。

ステージ上では蕨野(ゲント)を「ゲンちゃん」と気安く呼んで、ニコニコとリラックスしている松本だったが、昨年の『ウルトラマントリガー』グランドフィナーレに出演したときは「とても緊張していた」と振り返った。さらに「ゲンちゃん、緊張してる?」と気さくに話しかけた松本だったが、蕨野は「俺のことをゲンちゃんと呼ぶヤツは初めてだ……。緊張はしていない!」と毅然な態度を崩さず、しっかりと受け答えした。

ここで、松本、村山、大地、中村の4人が蕨野の左腕に取り付けられている「ブレーザーブレス」に、「ブレーザーストーン」を装填する、ウルトラマンブレーザー変身プロセスを実際に行ってみる体験コーナーへ。蕨野による「変身時のコツ」は、「変身するとき大切なのは、だれかを救いたい、守らなければいけない、そういった気持ちをちゃんと胸に秘めること。そうしないと、腕にブレーザーブレスは届かない」というものだった。

ゲントの決めゼリフ「俺が行く!」を会場にいる全員で叫んだあと、ブレスにストーンを差し込み「これから、さあ戦うぞ!」という気持ちを込めて全員が変身を完了。非常に未来的で先端のカッコよさを感じさせるアイテムを手にして仁王立ちする5人が、実に頼もしい。

ウルトラマンの先輩として、松本は「後輩」にあたる蕨野に「これからイベントなどで、子どもたちから『がんばれー!』という声援とか、拍手とか、熱い思いが届くという『幸せな瞬間』がやってくると思います。そのすばらしい光景を、ぜひ早くご覧になってほしい。子どもたちのエネルギーを受け取って、それを返すことで、みんなと一緒に楽しんでください」と熱いエールを送った。

続いて、中村のリクエストにより、映画のクライマックス「息絶えてしまったカナタの周囲に仲間たちが寄り添い、強い思いを重ねることによってカナタを蘇らせる」という名シーンの再現が試みられた。

松本は「俺、みんながしっかり『蘇ってほしい』と思わないと、蘇らないよ!」と言って周囲を笑わせたのち、ステージの床に横たわった。蕨野もシーン再現に参加し、カイザキ副隊長(演:宮澤佐江)の役割をふられた。

全員が気持ちを入れ込んで、ドラマチックな名場面をステージ上で再現している途中、何者かの影が……。その正体は、『ウルトラマンデッカー』第14、15話で衝撃的な登場をしてインパクトを強めたデッカー・アスミ(未来からやってきたカナタの遠い子孫)役の谷口賢志だった。谷口に気づいた松本たちは、予想外のサプライズゲストの出現に、心の底から驚いた表情で迎え入れた。

谷口は、この日のため松本をはじめとする『ウルトラマンデッカー』チームへ向けた「手紙」を用意しており、その場で読み上げた。「ふと見かけた小さな子どもが、何があったかしらないが大きな声で泣き始めた。横にいたお母さんが『デッカーなら、どうするかなあ』とその子に訊いたら、とたんに『泣かない!』と言って泣き止んだ。その光景を見て、胸が熱くなりました。ウルトラマンデッカーから勇気をもらい、立ち上がる人が必ずいます。みんなが全力で困難と闘い続けたこと、忘れない人が必ずいます。そんな人たちに代わって、僕がこの言葉を贈ります。『ここまで闘い続けてくれてありがとう。お疲れ様でした!』」谷口は続けて1年間カナタとして頑張り続けた松本を称え「俺にとって、お前は最高のウルトラマン。肩を抱き合いながら爆弾の中を走り抜けたこと、喉が枯れるまで一緒に叫んだこと、一緒に戦えたこと、忘れません!」と力強い言葉を贈った。

フォトセッションに先立ち、カナタがウルトラマンデッカー、ディナスがウルトラマンディナス、そしてゲントがウルトラマンブレーザーに変身。変身前と変身後のヒーローそろい踏みに、客席から歓喜の声があがっていた。

松本をはじめ、『デッカー』キャストからエールを贈られた蕨野は「こうして、たくさんの方たちが応援し続けてくれたおかげで、今もウルトラマンが存在しているのだと思います。歴代ウルトラマンをこれからも愛してくださると同時に、新しく登場するウルトラマンブレーザーの戦いも、ぜひ応援してください。これからもウルトラマンをよろしくお願いします!」と、長い歴史と伝統持つウルトラマンシリーズを愛し続けるファンに、変わらぬ応援を呼びかけた。

谷口は「ウルトラマンに変身できたこと、そして今日ファンのみなさんに出会えたこと、嬉しく思います。これからも、立ち上がり続けることができればと思っています!」と、ウルトラマンおよびウルトラマンを愛する人々から、目に見えない大きなパワーをもらって頑張ることができると打ち明け、笑顔をのぞかせた。

中村は「ウルトラマンが小さいころから好きで、将来はウルトラマンになりたいと夢を持っていました。でも、女の子だから……と内心あきらめていたのですが、今こうして夢が叶って、ウルトラマンディナスになれました。武居正能監督によれば、私が選ばれた理由は『ウルトラマンっぽくないところ』だったそうです(笑)。みなさんも好きなことは好きって、大きな声でどんどん言ってください!」と元気に語り、どんなに困難と思えることでも全力でチャレンジする気持ちを忘れないでほしいと呼びかけた。

大地は「大きな壁が立ちはだかったとき、誰かが助けてくれたり、自分自身も知らないうちにだれかを助けていることもある。ひとりひとりがみんな、頑張って生きているんだって、この作品を通して強く思いました! 楽しかったです!」と、『デッカー』がいよいよ終わるという寂しさに負けず、共演者が一丸となって困難を乗り越えた思い出をふりかえりつつ、堂々と挨拶した。

村山は「たいへんなこともあったけど、仲間といっしょに協力し合い、助けあってがんばってきました。『ウルトラマンデッカー』は私にとって一番の青春でした!」と、途中で感極まって言葉を詰まらせながらも、大切な思い出がたくさん詰まった『デッカー』という作品への愛着を、笑顔とともに語った。

最後に松本は「1年間応援してくださり、ありがとうございました! 昨年7月の『ウルサマ2022』から始まって、この1年でたくさんのファンの方たちと出会いました。ほんとうに、ウルトラマンになってよかったなと実感しています。コロナ禍の影響でステージに声援を送ることができない状況の中でも、拍手とかウルトラチャージを送ってくれて、それらの応援は、すべて僕たちのパワーになっています。とても幸せな時間だったなって思います。最後だからってしんみりせず『ウルトラマンデッカー』らしく、明るく終わりたい。だから泣かないで、笑顔でバイバイしましょう!」と挨拶した。大勢の子どもたちとの別れの辛さを胸に秘め、客席に向かっていつまでも手を振り続ける松本の、晴れやかな表情が強く印象に残った。

(C)円谷プロ (C)ウルトラマンデッカー製作委員会