順天堂大学スポーツ健康科学部・大学院スポーツ健康科学研究科の室伏由佳 准教授、同大学院医学研究科 代謝内分泌内科学・スポートロジーセンターの田村好史先任准教授らの共同研究グループは6月5日、日本の若いやせた女性においてダイエット経験のあるグループとないグループでは、性格特性などが異なる背景があることを発見したと発表した。

  • ダイエット経験のないやせ女性

日本は、先進国の中でもやせている女性の割合が最も高く、特に若い世代(18~29歳)では約20%がBMI(体格指数)18.5kg/㎡未満のやせ型だという。また田村先任准教授らにより、「少食で運動不足」の若いやせ型女性は糖尿病リスクが高い可能性が明らかになるなど、やせた女性の健康問題は社会課題になりつつあるという。

今回の研究では、若いやせ型女性の「ダイエット経験の有無」に着目し、多面的な背景検証調査を実施。その結果、ダイエット経験のあるグループは、体重が落ちにくく、ストレスや疲れを感じたとき食事量が増える傾向がみられたという。肥満だと感じる体重はダイエット経験のないグループよりも約2.5Kg軽い数値を申告。また、体重増加や食事量の増加に対する抵抗感が強い傾向に。

  • ダイエット経験のあるやせ女性

運動習慣は、小学生時代から現在まで、ダイエット経験のないグループよりも高い割合だった。加えて、現在の運動習慣を持つ理由のうち「美容と肥満解消のために運動を行う」と回答した割合が高い結果に。

摂食態度を測定する質問紙(EAT-26)の得点やメディアによる美に関する情報の内在化傾向がダイエット経験のないグループと比較して高く、ボディイメージの歪みといった主観的認知への影響が生じやすい可能性が考えられたという。

性格5因子のうち、「勤勉性」の得点が高いため、責任感が強く、自制心を持ち忠実に行動し、目標達成に向けて努力する傾向が考えられるとし、痩身行動や思考のあるやせた女性に特化した情報提供の必要性が示唆されたと説明。

研究結果は、各個人に最適化されたスポーツ機会の検討や、適切な栄養摂取を可能にするためのアプローチに役立てられるとともに、「これらに取り組むことで女性が年齢を重ねても長く健康で豊かな生活を送ることができる」としている。