楽天グループは5月31日、メディア関係者向けに楽天市場における2023年のお中元・夏ギフトのトレンドを発表した。翌6月1日、楽天市場において「楽天市場 お中元・夏ギフト特集2023」の公開がスタートし、約220万点の商品がお中元・夏ギフト向け商品として販売されている。

コロナ禍を経て、お中元・夏ギフト市場はどのように変化したのだろうか。お中元・夏ギフト市場の近年の傾向や、今年の注目商品を紹介したい。

「カジュアル化」「EC化」が進むお中元・夏ギフト市場

  • 「楽天市場 お中元・夏ギフト特集2023」で販売されている商品(一部)

消費者の価値観や購買行動の変化を背景に、国内のお中元市場は年々緩やかな減少傾向にある。一方、コロナ禍でEC化が進んだこともあり、楽天市場におけるお中元・夏ギフトの流通規模は堅調に拡大中。2019年と比較した2022年の流通総額はおよそ2.6倍に伸長している。

お中元・夏ギフトをECで購入する人が増えている以外にも、いくつか興味深い傾向がある。そのひとつがお中元・夏ギフトの「カジュアル化」だ。かつてお中元・夏ギフトは、同僚や取引先などへ贈る儀礼的なものだったが、近年は家族や親戚、友人など身近な人に贈るものへとシフトしている。「楽天市場 お中元・夏ギフト特集」の開催中に、「かけ紙(のし紙)」を選択して、自宅以外の第三者に送付した商品の2022年の流通額が約2.4倍(対2019年)に伸びていることも、こうした傾向を裏付けている。

かけ紙なし・自宅送付の流通額も2021年から2022年にかけて約1.2倍に伸長しており、ギフトを手渡しする場合も、ECで購入する人が増加傾向にあることがうかがえる。

注目のお中元・夏ギフト商品は?

では、具体的にどのような商品が注目を集めているのだろうか。商品カテゴリー別では、グルメやスイーツなど食品関連商品、飲料、酒類が定番人気だという。

カタログギフトの需要も高まっており、贈る相手の趣味・嗜好に合わせた「特化型カタログギフト」にも注目だ。

ひんやりグルメ・涼感グルメ

グルメの中でも、夏ならではといえるのが、フルーツゼリーやアイスクリーム、ジュースやビールなどの「ひんやりグルメ」「涼感グルメ」だ。全国的な知名度を誇る老舗の名店の商品だけでなく、最近は地方の名産フルーツを使ったゼリーやスムージー、地方のクラフトビールなども注目されている。お中元・夏ギフトを、親しい人に知る人ぞ知る名品を知ってもらう機会とするのもいいのではないだろうか。

フォトジェニックスイーツ

SNSの普及で、食べ物の味だけでなく「見た目の美しさ・楽しさ」も重視する機会が増えている中、お中元・夏ギフトにおいてもフォトジェニックなスイーツが存在感を高めている。

「創作和洋菓子 花えちぜん」のエディブルフラワーを使ったロリポップのようなバウムクーヘンや、宇宙のように仕上げた寒天「空ノムコウ」、「伊藤久右衛門」の華やかなアイスバーなど、もらった人が目を輝かせそうなスイーツが揃う。

  • 寒天やアイスバーは、前述のひんやりグルメ・涼感グルメの要素も満たしている

贅沢グルメ・通グルメ

ギフトだからこそ、A4等級以上サーロインステーキやウナギ、魚沼産コシヒカリなど、ワンランク上の贅沢な食品を贈るのもいいのではないだろうか。

また、ワインコンクール「サクラアワード2019」でダイヤモンドトロフィーを獲得したモルドバ産のスパークリングワインや、スーパーではなかなか見かけない、おしゃれでヘルシーなヨーロッパ野菜の詰め合わせなど、食への好奇心旺盛な人が喜びそうなグルメもある。

こうした贅沢グルメ・通グルメは、贈り物としてだけでなく、自宅用に注文して、いつもと違った食卓を楽しんでみるのもいいだろう。

特化型カタログギフトに熱視線

贈り手の「失敗したくない」「相手が本当に欲しいものを贈りたい」というニーズが顕在化しているのも近年の特徴で、楽天市場における2022年のカタログギフトの流通額は2019年に比べ、約3倍に伸びているそうだ。

その中でも、「贈る相手が喜びそうなカテゴリーまではわかっているものの、商品までは特定できない」といった場合にぴったりの「特化型カタログギフト」に注目が集まっている。グルメやキッチン用品、防災用品など、さまざまなジャンルのカタログギフトがあるほか、ブランドごとのカタログギフトや、宿泊や外食などの「体験」をプレゼントする「体験型カタログギフト」もある。

昔ながらのカタログギフトのイメージを一新するような、スタイリッシュなデザインのカタログギフトも急増中。これまでのカタログギフトに味気なさを感じていた人も、こうした新しいタイプのカタログギフトには魅力を感じるのではないだろうか。

旧来の儀礼的な側面が薄れたぶん、「本当に贈りたい相手に、その人が喜ぶものを贈りたい」と考える人が増えている昨今のギフトシーン。若年層を中心に、商品単価1,000円程度のプチギフトの人気が高まっている傾向もあり、従来のイメージにとらわれないお中元・夏ギフトのスタイルが広がりつつあるのかもしれない。