ニュースやSNSで、企業や個人の活動が「粋な計らい」と評価されていることが多くあります。この「粋な計らい」とは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか。
本記事では「粋な計らい」の詳しい意味や語源、具体的な使用シーンと例文を紹介。目上の人に使用できるのかや類義語、対義語もまとめました。
「粋な計らい」の意味・読み方とは
「粋な計らい」とは、気が利いて洒落た行動、つまり人が喜ぶことをさり気なく行うことなどを表す言葉です。「いきなはからい」と読みます。
「粋」と「計らい」とに分けて、より細かい意味を見ていきましょう。
「粋」にはさまざまな意味がありますが、主な意味は、態度や身なりなどが洗練されていて洒落ている、色気があることです。また人情や、特に恋愛関係において、心の機微についての理解が深いことなどの意味も持ちます。
「計らい」とは判断、処置、対処などを意味する言葉です。
「粋(いき)」の語源・由来
「いき」は、もともとは「意気」という漢字が使われており、気合や意地といった意味を表していました。それが徐々に「粋(すい)」や「通(つう)」と混じり合いながら、現在の意味になっていったといわれています。
粋(いき)は、江戸町人の美意識、心意気を表すのによく用いられました。
「粋な計らい」の正しい使い方と具体例・例文
「粋な計らい」は、何かをしてもらった人が、うれしい、すてきだと感じたときに使う言葉です。してもらった本人や周囲の人が、その配慮や対応を評価しているときに、ポジティブな意味で用いられます。
ここでは「粋な計らい」という言葉を使えるシーンや、例文を紹介します。
誰かに何かうれしいことをしてもらった際にはぜひ、「粋な計らい」を使ってみてください。
友人からの粋な計らいに感謝する
例えば、自分の誕生日にある友人に呼び出されてご飯を食べにいったら、他にもたくさんの友人が集まっていて、盛大に祝ってもらったとします。こういった際に「友人からの粋な計らいに感謝する」と言えます。
自分を喜ばせるために、こっそり友人を集め、お祝いの準備をしてくれたことが「粋」です。このようなサプライズを「粋な計らい」と称することで、自分の驚きや喜びを伝えられます。
彼からの粋な計らいにファンたちは感動した
例えばある歌手の引退コンサートにおいて、その歌手のデビュー当初からの思い出の映像が、次々にスクリーンに投影されたとします。
こういった感動シーンをニュースで放映すれば「彼からの粋な計らいにファンたちは感動した」などと表現されるでしょう。
自分が求めていた以上のサービスをもらって、うれしい、感動した気持ちを表すために「粋な計らい」という言葉を使います。
少年への粋な計らいが話題となった
例えば、ある日のプロ野球の試合が雨天中止になってしまい、その試合を見に行くのをずっと楽しみにしていた少年はがっかりしてしまいました。それを聞きつけたある野球選手が、サイン入りのボールを少年に送りました。
このことがSNSで話題になれば「少年への粋な計らいが話題となった」と報道されるでしょう。
がっかりしている人や困っている人に、マイナスな気持ちを吹き飛ばすような予想外のサービスをしたときにも「粋な計らい」が使えます。
「粋な計らい」は目上の人に使用しても大丈夫?
「粋な計らい」を目上の人に対して直接使うのは、避けた方が無難でしょう。
「粋な計らい」とは、気が利いたことをさりげなく行うことを評価する言葉です。目上の人に対して使うと、上から目線だという印象を与えてしまう可能性があります。
「粋な計らい」だと感じることを目上の人にしてもらったときは、素直にお礼を述べることをおすすめします。
目上の人に粋な計らいをしてもらったことについて、第三者に話す際は使用しても問題無いでしょう。
「粋な計らい」の類義語・言い換え表現
ここでは、「粋な計らい」の言い換え表現を紹介します。
気が利いた対応
「気が利く」は、細かいことにまで心が行き届くことや、洒落ていることを意味する言葉です。
「気が利いた対応」は、細かい点にまで注意して対応してもらえたときに使います。
機転が利いた対応
「機転が利いた対応」は、とっさに思いついたアイデアが良かった場合に使われる言葉です。
「機転」は「物事に応じてとっさにうまい対処法を思いつくこと」という意味の言葉です。事前に準備していた物事には使えません。
とっさに思いついた対処法が優れていて、人々を喜ばせたり感動させたりしたとき、その行動は「機転の利いた対応」といえます。
人情味あふれる行動
「人情味あふれる」とは、人間らしい温かい思いやりに満ちている様子を指します。
「人情味あふれる行動」とすることで、サプライズでなくとも、優しさの際立つような行動があった場合に、その優しさを強調できます。
「粋な計らい」の対義語
ここでは「粋な計らい」の対義語を紹介します。「粋な計らい」は褒め言葉となるため、その対義語には相手をけなす言葉が挙げられます。
使用する際には、相手を不快な気持ちにさせないように配慮しましょう。
無粋な行い
「無粋(ぶすい)」は「粋」な心が「無い」という、わかりやすい対義語です。人の心の機微が理解できていない、面白みがない、遊びが分からないときなどに使う言葉です。
「無粋な行い」「無粋な言動」は、相手の行動が悪い方向に想定外だった際に使います。
野暮な行動
「野暮(やぼ)」は風流な心に欠けていることです。人の心の機微が理解できていない、洗練されていない、趣を理解していない、といった意味であり、「野暮な行動」「野暮ったい言動」は「粋な計らい」とは真逆の意味といえます。
野暮な言葉や行いは周囲を不快にさせるため、褒め言葉としては使用できません。
「粋な計らい」を適切に活用しよう
「粋な計らい」は、自分の想定よりも喜ばしいことが起こったときに、うれしい気持ちを表現する褒め言葉です。
相手の行動がうれしかったことを話す際は、ぜひ「粋な計らい」を使ってみましょう。