「度々のご連絡失礼いたします」は、ビジネスメールや電話でよく使われるフレーズです。
本記事では「度々のご連絡失礼いたします」の詳しい意味や敬語の種類、ビジネスシーンでのメール・電話での使い方を解説します。使用時の注意点や言い換え、英語表現もまとめました。
「度々のご連絡失礼いたします」の意味とは
「度々のご連絡失礼いたします」とは、短時間のうちに何度も連絡を取ることについて、相手に申し訳ないと思う気持ちを表すフレーズです。主にビジネスメールや電話で、取引先など目上の人に対して使用します。
「度々」は、同じことが何度も繰り返し行われる様子、「失礼いたします」は礼儀に欠けることについて謝罪する意味があります。
取引先とメールや電話で連絡を取り合うのはよくあることであり、仕事上必要なことであるため、詫びる必要はありません。そのため、何度目かのやり取りだからといって、間隔が空いているにもかかわらず「度々のご連絡失礼いたします」を使うのは誤りです。
単に「何度も」ということではなく、「『短時間のうちに』何度も」というのがポイントです。
「度々のご連絡失礼いたします」は敬語?
「度々のご連絡失礼いたします」は正しい敬語表現です。
「度々のご連絡失礼いたします」は、「度々の」、そしてある行為が及ぶ相手に対しての敬意を表す接頭語「ご」と、「連絡」、「失礼」に、謙譲語である「いたします」を組み合わせた言葉です。
謙譲語であるため、自らをへりくだり、相手を立てる意味合いがあります。そのため、前述のように取引先など目上の人に対して使用できます。
なお謙譲語である「失礼いたします」の代わりに、丁寧語の「失礼します」を用いて、「度々のご連絡失礼します」という言葉もあります。こちらも敬語であるため目上の人に対して使用できますが、「度々のご連絡失礼いたします」に比べると、敬意の度合いは低くなります。
「度々のご連絡失礼いたします」のビジネスシーンでの使い方・例文
ビジネスシーンで使われる機会が多い「度々のご連絡失礼いたします」という言葉。具体的には、どのような場面で使えば適切なのか、例文とともに紹介します。
少し前のメールや電話で言い忘れたことを伝える場合
相手にメールを送った後や、電話を切った後に、言い忘れたことがあると思い出す場合がありますね。
そんなときに、間を置かずに再度メールを送ったり、電話を掛けたりする際に「度々のご連絡失礼いたします」が使えます。
具体例としては以下の通りです。
- 度々のご連絡失礼いたします。
先ほどのお電話でお伝えすべきことがあったのですが、失念しておりました。
同じ話題について疑問や意見が浮かんだ場合
メールでやりとりをしたり、電話で説明を受けたりした内容に対して、その場では思い浮かばなかったものの、後から疑問点やアイデアが思い浮かぶことがあります。この場合も、「度々のご連絡失礼いたします」が使えます。
具体例としては以下の通りです。
- 度々のご連絡失礼いたします。
先ほどご説明いただいた内容について、質問がございます。
このように、何度もやりとりをすることに対して、申し訳なく思っていることを相手に伝えることができます。
「度々のご連絡失礼いたします」を使うときの注意点
「度々のご連絡失礼いたします」は、その意味合いから、使う相手や場面に注意が必要です。
初めてやりとりする人へは使用しない
当然のこととも言えますが、「度々のご連絡失礼いたします」は初めてやりとりする人には使用しません。
「度々のご連絡」は同じ相手に対して使用する言葉であり、初めてやりとりする人に対して「度々のご連絡」と伝えるのは理屈に合っておらず、相手を戸惑わせます。
初めてやりとりするタイミングで「度々のご連絡」を使うと、相手は「前にもやりとりしたことがあったかな?」「メールを見落としていた?」と混乱してしまうでしょう。
冠婚葬祭に関わる場面では使用しない
「度々のご連絡失礼いたします」は、冠婚葬祭に関わる場でも使用してはいけません。「度々」が忌み言葉(避けるべき言葉)の一種である「重ね言葉」にあたるためです。
重ね言葉は、再婚や、不幸が重なることを連想させるため、冠婚葬祭では使用を控えた方がいいとされています。
「度々のご連絡失礼いたします」というフレーズを、結婚式のスピーチなどで用いる機会はないはずです。しかし例えば、結婚式の招待メールに対して一度返信した後に、伝え忘れたことがあったときなどに「度々のご連絡失礼いたします」と記載してしまわないよう、注意しましょう。
「度々のご連絡失礼いたします」の類語・言い換え表現
ここからは、「度々のご連絡失礼いたします」の類語や言い換え表現を紹介します。
重ねてのご連絡失礼いたします
「度々」を「重ねて」と言い換えて、「重ねてのご連絡失礼いたします」と言うこともできます。
「重ねて」は「度々」と同義語であり、「同じことを繰り返す様子、もう一度」といった意味を持ちます。
なお「重ねて」も忌み言葉にあたるとされるため、冠婚葬祭に関わる場では避けた方がベターです。
度重なるご連絡、恐縮です
「度重なるご連絡、恐縮です」と言い換えることもできます。
「度重なる」とは「同じようなことが何度も続く」という意味であり、「恐縮する」とは「相手に迷惑を掛けることなどに対して申し訳ないと思う」という意味の言葉です。
度々のご連絡、申し訳ございません
「度々のご連絡、申し訳ございません」は、「失礼いたします」の箇所を「申し訳ございません」と言い換えています。
「申し訳ございません」は自分の非を認め、謝罪する意味があります。「失礼いたします」よりも謝罪の程度が深い場合に使用するといいでしょう。
「度々のご連絡失礼いたします」の英語表現
取引先などが外国企業の場合、英語でメールや電話をすることもありますね。
「度々のご連絡失礼いたします」といった意味合いを英語で表すには、以下のような表現が使えるでしょう。
- I'm sorry to bother you again, but I forgot to mention~.
(またお手を煩わせてすみませんが、~について言い忘れていました)
「but I forgot to mention~」の部分は、「but I forgot to ask~(~について聞き忘れていました)」とすることもできます。
「度々のご連絡失礼いたします」を使いこなそう
短時間で複数回のメールや電話をする場合は、「度々のご連絡失礼いたします」と最初に述べることで、相手の手を煩わせることを謝罪できます。
「度々のご連絡失礼いたします」の意味や使い方を正確に把握し、円滑なコミュニケーションに役立てましょう。