連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~※土曜は1週間の振り返りほか)で、夢へと邁進する槙野万太郎役を好演中の神木隆之介。男性が主人公の朝ドラは、窪田正孝主演の『エール』(20)以来3年ぶりとなったが、本作では神木ならではの魅力と個性が花開いている。神木の頼もしい座長ぶりと、万太郎というキャラクター像のこだわりを、制作統括の松川博敬氏に聞いた。
高知県出身の植物学者・牧野富太郎をモデルにした本作では、幕末から明治、大正、昭和と激動の時代に、植物を愛し、その研究に情熱を注いでいく槙野万太郎とその妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈な生涯を描く。脚本を担当しているのは、ミュージカルや戯曲などの舞台や、NHKのドラマ『群青領域』(21)や『旅屋おかえり』(22 )などで知られる長田育恵氏だ。
実在のモデルがいる万太郎役だが、役作りについては神木にリクエストしたことはあまりないと松川氏は言う。
「モデルである牧野富太郎先生の本などは渡しましたが、『らんまん』は大河ドラマではないので、そこに縛られないようにはしています。神木さんもそうですが、富太郎先生も笑顔がすてきな人なので、その第一印象のイメージだけを持って、あとは長田さんが書かれた脚本を信じてやってくださいと言いました」
神木は座長として、居心地の良い現場作りに余念がないようで、素晴らしい座長ぶりを称える声はキャスト陣からも多数上がっている。姉の綾役の佐久間由衣は「神木さん自身が現場でとても自然体で、まさに少年の心を常にもったままいらっしゃる」と、高知の自由民権運動家・早川逸馬役を演じた宮野真守は「天使です。神木くんは現場の空気を一番に明るくしてくれました」と神木に心から感謝していた。
松川氏も「神木さんはいつも楽しそうで、すごく場を盛り上げてくれる方です」とうなずく。
「この人の近くにいたら面白いことがありそう! と思わせてくれる人。実際に、キャストもスタッフも、常に神木さんの周りを取り囲んでいますし、現場の雰囲気の良さは、映像にも表れているんじゃないかなと。そういう人を巻き込む魅力は、富太郎先生と通じるところがあるんじゃないかと思います」
さらに、神木について「本当に愛されキャラだなと思います。裏表がないし、皆さんがイメージされている神木隆之介のイメージそのままです。実は『らんまん』はすごくハードな撮影スケジュールで、大変な現場も多いのですが、神木さんが笑っているから、周りのキャストやスタッフもその姿を見て頑張れます」と感心しきりだ。