鉄道友の会は25日、第66回目となるブルーリボン賞(最優秀車両)に、JR東海のハイブリッド車両HC85系を選定したと発表した。会員による投票で最多の支持を獲得し、選考委員会も多くの観点からブルーリボン賞にふさわしい最も優秀な車両と評価した。
HC85系は、高山本線経由の特急「ひだ」、紀勢本線経由の特急「南紀」で使用されてきたキハ85系の置換え用として開発された非電化線区特急用車両。「発電装置+蓄電池」のハイブリッド車両として国内最高速の120km/hを実現した。各機器を小型化・一体化して床下に配置したほか、エンジンは1両あたり1台とし、燃費の向上、環境負荷の軽減、車両内外の騒音の低減に寄与している。エンジンは二段の防振ゴムで取り付けられ、振動・騒音を大幅に抑え、客室環境を改善した。
車体はフラットな表面を持つステンレス製で、先頭車両は貫通形のみとして編成の自由度を高めている。車内は車いすスペースや多機能トイレなど、バリアフリーとユニバーサルデザインの充実を図り、グリーン車・普通車の全席にコンセント、車内Wi-Fiサービス、大型荷物対応荷物スペースも装備する。
台車は溶接量を減少させ、信頼度・メンテナンス性を向上した台車枠を採用。軸箱支持方式はタンデム式とし、上下・左右・前後のばねを最適に設定可能としている。非常通話装置のほか、客室やデッキに車内防犯カメラを設置し、乗務員だけでなく指令所からも通信システムを介してリアルタイムに確認できる。これにより、異常発生時等の迅速な対応が可能となり、安全性を向上させている。
通信システムはエンジンなど主要機器の状態を常時監視でき、不具合予兆の早期把握とともに車両メンテナンスに貢献するほか、列車内表示器を通じてダイヤの乱れなどタイムリーな情報を乗客に伝達できるという。