結成19年目のギャロップが初代王者に輝いた『THE SECOND~漫才トーナメント~』。結成16年以上の出場条件でベテランたちが挑むだけに、賞レース独特の緊張感の中で、その場を楽しむ“お祭り感”も強く打ち出された新しい大会となった。

その雰囲気はどのように醸成されていたのか。生放送が行われたフジテレビのスタジオで観覧した記者が、CM中をはじめ放送画面に映らなかったシーンや表情などを中心にリポートする。

  • 『THE SECOND~漫才トーナメント~』初代王者に輝いたギャロップ(中央) (C)フジテレビ

    『THE SECOND~漫才トーナメント~』初代王者に輝いたギャロップ(中央) (C)フジテレビ

■アナゴさんのオープニングアクトで温まるスタジオ

漫才師がタイマン対決でトーナメントを勝ち上がる形式ということで、スタジオセットは格闘技のリングをモチーフにしたデザインに。サイドからのカメラで狙うと、まるで漫才師がリングの上に立っているようだ。また、『THE MANZAI』でも取り入れている、客席にせり出した舞台にサンパチマイクが置かれ、観覧客に囲まれるような構図で漫才を披露することになるのだ。

スタッフTシャツには、音楽ライブのフェスTシャツのように、番組ロゴに日付、そして「グランプリファイナル」出場8組の名前がプリントされ、ここからも“お祭り感”が漂ってくる。

生放送20分前に前説がスタート。登場するのは、「ノックアウトステージ」に続いて起用された双子コンビのダイタクと、ピン芸人のイチキップリンだ。一般審査員の得点入力の練習も兼ねて、オープニングアクトとして、イチキップリンが『サザエさん』のアナゴさんものまねのピンネタを披露する。「ノックアウトステージ」で叩き出した248点超えを目指し、声優・若本規夫のクセを誇張しまくって会場は爆笑だが、結果は200点の惨敗。イチキップリンは「どういうことだー!!」「全員の顔、覚えてやっからな!!」と悪態をついてスタジオを盛り上げるが、そんな大騒ぎに目もくれず、スタジオの端で集中して台本を読み込むMC・宮司愛海アナウンサーの姿も印象的だった。

そしてフロアディレクターが「マスクを外して、大きな声で笑いましょう!」と促し、いよいよ本番の生放送がスタート。ステージから観覧席を見たアンバサダーの松本人志は「久しぶりや、マスクしてない(観覧客)270人。これ環境バッチリやろ!」と太鼓判を押した。

  • 『THE SECOND~漫才トーナメント~』生放送のスタジオ

■ギャロップ毛利のM-1エピソードに深くうなずく松本

ネタの時間になり、紹介VTRが流れると、ハンディのカメラマンがサンパチマイクに背を向けてスタンバイ。VTRが明けて「II」をモチーフにした扉が開くと、奥から登場する漫才師の元へ突き進んだかと思えば、距離感を保ってすぐ後ろへ下がり、横にハケて行く。この一連の動きをアシスタントともに十数回全力疾走でこなすのだから、体力の消耗は想像に難くない。

ネタ中のテレビ画面はほとんどがステージ上の漫才師を映していたが、MC卓の3人はただ笑うだけでなく、手で顔を覆ったり、うなずいたり、下を向いて肩を揺らしたりとリアクションしながら見守る。リポーターの小室瑛莉子アナも、自分の出番以外は観覧席の横で座って待機し、身を乗り出すようにして笑っていた。

ネタ後の漫才師とMCトークも『THE SECOND』の見どころの1つだが、松本は審査のプレッシャーがないからか、他の賞レースに比べてコメントの自由度が高く、笑いで会場を和ませてくれる。第1試合から金属バットとマシンガンズが2点差という結果になると、「2点差でしょ? これヤラセでしょ?」とぶっ込み、横にいた総合演出が全力で手を横に振って否定していた。

一方、ギャロップの毛利大亮が、かつて『M-1グランプリ』で自分がミスをしたエピソードを話すと、その光景を思い出すかのように深くうなずく松本。それだけに、キャリアと努力を重ねた今回の出来に喜んでいるようにも見えた。