初めての大河ドラマの現場ではセットに驚いたと語る。

「セットがすごくしっかり建て込まれているというのが最初に一番驚いた部分で、私の参加している場面では使われなかったのですが、セットの背景にLEDパネルを置いて景色を映すのを見学させてもらって、すごくきれいで本物のように見えることにもびっくりしました。NHKの美術チームの皆さんが積み重ねてきた、その時代に合ったセットの精巧さに感動しました」

また、衣装へのこだわりも実感。

「尾張の染め物の色の柔らかさをお着物に出していて、コンセプトを伝えるイラストを見せて一つ一つ丁寧に説明してもらいながら衣装合わせをしたのは、これまで経験したことがありませんでした。時代背景にも合わせた布や生地の使い方がとても新鮮だったなと思います」

お万に扮した姿を最初に鏡で見たときは不安があったというが、実際に撮影した映像を見てしっくり感じたと振り返る。

「時代劇に参加するときはおでこを出すことが多かったのですが、お万は前髪を下ろしているスタイルで、後れ毛があったり、濡れ髪みたいな質感のある雰囲気に作っていただいていたので、現代っぽくなりすぎてないか不安でした。でも実際にカメラで撮ったものを見た時に、その空気の中に馴染んでいたので、メイクさんや衣装さんの力のおかげだなと思いました」

現場の雰囲気はとても居心地がいいようで、「主演の松本さんが締めるときは締めながら、撮影の合間にはスタッフさんと楽しく談笑する場面もあって、緊張するかなと思っていましたが、楽しくのびのびとやらせていただけました」とにっこり。

  • 徳川家康役の松本潤(左)とお万役の松井玲奈

松本とは今回が初共演となるが、その演技について「振り幅がとても大きいと思いました」と印象を述べる。

「お万と一緒にいるときはどっしりと構えて、なんでもないみたいな風を装っているのですが、お万が部屋から出ていったあとにとてもコミカルなアドリブをされたりしていて、その振れ幅は現場で見ていてとても楽しかったです」

また、初登場の第19回について、「脚本を読んだときにとてもコミカルな感じがしました」と感想を述べ、「自分が演じている部分はいろんなことを仕掛けたり、駆け引きがあったりするのですが、それを見ている周りの人たちの雰囲気がとても面白くて、緩急のある脚本の中で自分がしっかりと役割を果たせていたらいいなと思っています」と思いを語った。

■松井玲奈
1991年7月27日生まれ。愛知県出身。2015年8月にSKE48を卒業。フジテレビ月9ドラマ『海月姫』(18)、NHK連続テレビ小説『まんぷく』(18~19)『エール』(20)、TBS『プロミス・シンデレラ』(21)、読売テレビ・日本テレビ『オクトー ~感情捜査官 心野朱梨~』(22)などに出演。数々の映画にも出演し、近年は『幕が下りたら会いましょう』(21)、『よだかの片想い』(22)、『生きててごめんなさい』(23)などに出演。2019年に短編集『カモフラージュ』、2021年に小説『累々』、初のエッセイ集『ひみつのたべもの』を出版するなど、小説家としても活躍している。

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