資生堂はこのほど、国際医療福祉大医学部形成外科学・松﨑恭一主任教授と、自治医科大学生理学研究所との共同研究により、肌の「たるみ」改善の鍵となる立毛筋の活性化に、皮ふの抗重力システム「ダイナミックベルト」に沿ったストレッチが有効であることを確認したと発表した。

  • ダイナミックベルト

「ダイナミックベルト」とは、皮ふ内部に存在する高密度な立毛筋が、物理的に皮ふの変形に抵抗する抗重力システム。同社は、このダイナミックベルトが加齢により衰えることで、たるみに繋がることも解明している。

今回、研究チームはこの衰えたダイナミックベルトに対するアプローチの開発に取り組み、立毛筋の構造を立体的に解析。その結果、立毛筋の向きは「うぶ毛」の向きとほぼ一致していることが判明し、うぶ毛の向きを観察することで、立毛筋の向きを確認することが可能となったという。

  • 立毛筋の向きは、うぶ毛の向きと一致する

そこで研究チームは、立毛筋を活性化することは、加齢で衰えたダイナミックベルトの回復に繋がると考え、皮ふを培養して様々な刺激を加えたところ、立毛筋の向きに沿って皮ふを伸展(ストレッチ)することで、立毛筋が活性化されることがわかった。このことから立毛筋、すなわちダイナミックベルトの流れに沿ったストレッチを行うことで、ダイナミックベルトと、たるみの改善に繋がる可能性が考えられると説明している。

  • 立毛筋の流れに沿ったストレッチにより、立毛筋が活性化される

さらに、立毛筋を構成する平滑筋細胞を活性化する成分として、甘草抽出物と木苺果実由来の抽出液が有用であることを確認したという。

  • 天草抽出物が立毛筋を活性化する

研究の成果は、2023年7月31日からストックホルムにて開催される、欧州生物物理学会(European Biophysical Societies' Association:EBSA)にて発表する。