ビジネスシーンでもよく見聞きする「楽しみにしています」という言葉について、詳しい意味や目上の人に敬語でどう伝えればいいのかを解説します。
豊富な例文とともに使い方や英語表現も紹介します。言い換えや注意点もまとめました。
「楽しみにしています」の意味とは
「楽しみにしています」とは、あることが実現するのを期待している、首を長くして待っているという意味の言葉です。
後ほど触れるように「楽しみにしています」は「楽しみにしている」の丁寧語です。「いる」はある動作が現在も続いていることを表しているので、「楽しみにしています」は、単に「楽しみです」というよりも、「ずっと楽しみである」というニュアンスが強いでしょう。
実際に使用するときには、「楽しみにしています」の前に、「何を」楽しみにしているのかを入れます。例えば「◯◯さんにお会いできるのを楽しみにしています」「明日の新作発表会を楽しみにしています」などです。
なお、心の底から楽しみにしているときだけでなく、社交辞令としても使われます。
「楽しみにしています」の敬語表現 - 上司など目上の人へやビジネスでの使い方
目上の人に対してや、ビジネスシーンで「楽しみにしています」と伝えたい場合、敬語ではどのように表現すればいいのでしょうか。
日本語の敬語表現には、大きくは丁寧語・謙譲語・尊敬語の3種類があり、それぞれを組み合わせて使用することもできます。「楽しみにしています」の敬語での表し方について解説します。
「楽しみにしています」は丁寧語
「楽しみにしています」は、語尾に「ます」があるため、既に丁寧語です。このまま目上の人に使用するのも間違いではないですが、より丁寧なのは「楽しみにしております」です。
以下のように使用します。
・◯◯さんに会えるのを楽しみにしています。
・◯◯さんからの連絡を楽しみにしています。
・今後の展開を楽しみにしております。
謙譲語
謙譲語とは、自分自身がへりくだることで、相手を敬う言葉です。丁寧語よりも敬意が高くなります。
「楽しみにしています」の謙譲語は、「楽しみにいたしております」です。
また「楽しみにいたしております」の前にある、自分の行為である「何が」の部分についても、謙譲語にするといいでしょう。
「楽しみにいたしております」と、「何が」の部分に謙譲語を用いた例を紹介します。
・◯◯さんにお会いするのを楽しみにいたしております。
・◯◯さんにお目にかかるのを楽しみにいたしております。
・◯◯さんからご連絡いただくのを楽しみにいたしております。
・今後の展開を拝見できることを楽しみにいたしております。
尊敬語
一方で尊敬語とは、相手の動作を敬うことで敬意を表現する言葉です。こちらも、丁寧語よりも敬意が高くなります。
例えば、前述の「お目にかかる」は自分の行動に謙譲語を用いた表現であり、「お越しになる」は相手の行動に対して敬意を示した尊敬語の表現です。「お越しになる」は、相手が自分に会いに来る際に使用され、相手の行動を敬っている形です。
自分が楽しみにしていることを相手に伝えたい場合は、「楽しみにしている」の部分は自分の行為であるため尊敬語を用いず、丁寧語や謙譲語を用います。
「何が」の部分に尊敬語、「楽しみにしている」の部分に丁寧語や謙譲語を用いた例を見てみましょう。
・◯◯さんがお越しになることを楽しみにしています。
・◯◯さんがいらっしゃることを楽しみにしております。
・◯◯さんがご連絡くださることを楽しみにいたしております。
「楽しみにしています」の使い方や例文
ここからは、シーン別に例を挙げて「楽しみにしています」の使い方を説明します。適切な場面で使うことで、コミュニケーションを円滑にし、良好な人間関係を築けるでしょう。
メールで会う約束をしたときに使う場合
商談など、メールで相手と会う約束をした際に、「楽しみにしています」を文末に使う場面が多くあります。相手への好感や、商談などに対する前向きさを伝えることができるでしょう。
「明後日、お会いできることを楽しみにしています」といった形です。
取引先など目上の人の場合は、前述のように「楽しみにしております」「楽しみにいたしております」に言い換えたり、会うことを表す部分を謙譲語や尊敬語にしたりすると、より適しているでしょう。
別れ際や、プロジェクトの終了時に使う場合
商談などの別れ際に「楽しみにしています」を使うこともできます。「本日はありがとうございました。またお会いできることを楽しみにしています」のように、その日のお礼や感想を述べてから使用するといいでしょう。
別れ際に使用することで、今日が自分にとって有意義な時間であったことと、今後もぜひ関係性を続けていきたい、次回につなげたいという気持ちを表すことができます。
また業務やプロジェクトが完了した際に、関係者に対してのお礼メールの文末に「また皆様と一緒にお仕事できることを楽しみにしています」などと添えることもあります。
今回のプロジェクトは自分にとって有意義であった、今後もまた共に仕事をすることを期待しているという、前向きな印象を与えられます。
産休に入る同僚や先輩へ使う場合
産休に入る同僚や先輩へのメッセージは、相手の体を気遣いつつ、無事に出産することへの願いや、期待と喜びの気持ちを込めて、丁寧に表現します。
例としては「いろいろと大変だとは思いますが、どうぞお体を大切にしてくださいね。◯◯さんとお子様にお会いできる日を楽しみにしています」といった形です。
手紙や年賀状で使う場合
手紙や年賀状は、好意や親しみを伝えることができるコミュニケーションツールの一つです。「楽しみにしています」と書くときには、相手との再会や交流を楽しみにしていることを意味します。
「またお会いできることを楽しみにしています」などのフレーズに加えて、相手のことを思いやる言葉や、日頃の感謝の気持ちを込めた表現を使うと、より相手に温かい印象を与えられます。
結婚式や催し物、節目に対する気持ちを伝える場合
結婚式や催し物などの招待状・招待メールには、参加の旨を伝える返信の際、文末に「楽しみにしています」の一言を添えるといいでしょう。
また、入学式や卒業式、成人式など、人生の節目を迎えた人に対して、お祝いの言葉を掛けるときにも「楽しみにしています」を使うことができます。
【例文】
・結婚式にご招待いただきましてありがとうございます お二人の晴れ姿を楽しみにしています
・展示会にご招待いただきましてありがとうございます。当日を楽しみにしています。
・卒業おめでとう。○○君が未来に向かって羽ばたいていくのを楽しみにしています。
・成人おめでとう。○○ちゃんのさらなる成長を楽しみにしています。
「楽しみにしています」の英語表現
「楽しみにしています」の英語表現は、「I'm looking forward to ~」が一般的に使われています。
自分自身が何かを楽しみに待っていることを表現する一般的なフレーズであり、ビジネスや日常会話などでよく使用されます。
・I'm looking forward to it.
(楽しみにしています)
・I'm looking forward to seeing you.
(あなたに会うのを楽しみにしています)
・I'm looking forward to tomorrow.
(明日を楽しみにしています)
・I'm looking forward to hearing from you.
(あなたからのお手紙を楽しみに待っています)
・I am looking forward to souvenir.
(お土産を楽しみにしています)
・I am really looking forward to going to Japan.
(日本に行くのをとても楽しみにしています)
また、「I hope to ~(~したいと望む)」を使って、期待を表現することもあります。
・I hope to see you again.
(またお会いしたいです)
・I hope to hear from you again.
(またお返事をくださいね)
「楽しみにしています」の類語・言い換え表現
ここでは、「楽しみにしています」の言い換えや類語をご紹介します。
心待ちにしております
「心待ちにしております」は「楽しみにしています」よりも改まったニュアンスのある言葉です。ビジネスシーンでも、クライアントや上司などに対してよく使われます。
意味は「楽しみにしています」とほぼ同じで、相手に対して自分の期待や前向きな気持ちを伝えるために使われる表現です。
お待ちしております
「待っている」の敬語表現である「お待ちしております」は、単に「待っている」ということだけでなく「来ることを望んでいる」「期待している」というニュアンスを含んでいます。
クライアントや目上の人に使用できる言葉ですが、さらに丁寧な言い回しにする場合、「お待ち申し上げております」と表現することもできます。
「楽しみにしています」を使うときの注意点
「楽しみにしています」はビジネスや日常生活でよく使われるフレーズですが、使用する際の注意点もあります。
多用しすぎない
「楽しみにしています」を多用してしまうと、言葉の重みが減って、相手が「本当にそう思ってる?」と疑念を抱く恐れがあります。
相手に対して、興味や期待を真剣に伝えるためには、「楽しみにしています」を使い過ぎない方がいいでしょう。また「楽しみにしています」の前に、何がどう楽しみなのか、具体的な表現を付け加えることをおすすめします。
異性に対して使う場合
プライベートで異性に「楽しみにしています」を使う場合は注意が必要です。
例えば、デートや会食をする機会があったときに社交辞令として「また会えるのを楽しみにしています」と伝えると、本気だと捉えられる可能性があります。ビジネスシーンと違い、プライベートにおいて社交辞令で異性に使うのは控えた方がいいでしょう。
また、伝える際の表情も重要です。好意も無いのに、相手に過剰な期待を持たせるような表情で伝えると、トラブルに発展してしまうかもしれません。
「楽しみにしています」で素直な気持ちを伝えよう
ビジネスシーンや日常生活においても、「楽しみにしています」と一言添えることで、相手への期待やポジティブな印象を伝えることができます。
良好な人間関係を築くためにも、適切なシーンで「楽しみにしています」を使えるようになりましょう。