お笑い芸人のとにかく明るい安村が、イギリスの公開オーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』に出演し、話題を呼んだ。おなじみの裸芸が認められ、審査員をはじめ番組観覧者からスタンディングオベーションで絶賛され、その快挙に称賛の声があがっている。この『ブリテンズ・ゴット・タレント』は、どのような番組でどれほどの権威を持つ番組なのか。

とにかく明るい安村

とにかく明るい安村

■賞金4,300万円を目指すオーディション

「安心してください、はいてますよ!」の決めゼリフでおなじみのとにかく明るい安村が先日、出演したイギリスの番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』は言うなれば、お化け番組だ。スーザン・ボイルやポール・ポッツなどこれまで数々のスターを輩出してきた公開オーディション番組という説明だけでは、この番組の本当のすごさは伝わらない。

『ブリテンズ・ゴット・タレント』が放送されている枠は、週末のプライムタイム帯。イギリスの編成事情は日本とさほど変わらず、ファミリー層を狙った人気の時間帯に編成されている。イギリス民放最大手テレビ局・ITVの目玉番組の1つとして、今年で16シーズン目を迎えたところだ。とにかく明るい安村が出演した4月22日の放送回は、最新シーズンがスタートしたばかりの2週目に放送されたものだった。

公開オーディション形式の番組内容は至ってシンプル。出場者は身一つのパフォーマンスで賞金獲得を目指し、優勝者の賞金額は現在、25万ポンド(4,300万円)に設定されている。勝ち進めるために、出演者は4人の審査員の前でパフォーマンスを披露し、合格を表す3票の「イエス」を獲得する必要がある。「ゴールデンブザー」と呼ばれる特別ルールも見どころにあり、3票のイエスを獲得せずとも、1発のゴールデンブザーで華麗に合格をつかむこともできる。

とにかく明るい安村の裸芸に対する審査では、ゴールデンブザーの見せ場がなかったものの、審査員から4票もの「イエス」を獲得した。満場一致で高評価を受け、約2,000人収容の会場に参加した番組観覧者からも拍手喝さいを浴び、大いに盛り上がった様子が映し出されている。

■全世界で10億人以上の視聴実績

『ブリテンズ・ゴット・タレント』が世界のエンターテインメント業界に及ぼした影響は計り知れない。世界的なオーディション番組ブームを作り出し、「世界で最も成功したリアリティ番組フォーマット」として、ギネスブックに登録されている。制作するサイコ・エンターテイメントによると、これまで194の地域で放送され、全世界で10億人以上に視聴されているという。オリジナルの『ブリテンズ・ゴット・タレント』をもとに、それぞれの国や地域に合わせて作られた70を超える各国バージョンがある。

例えば、2018年にウエスPが出演したのはフランス版。19年にゆりやんレトリィバァが出演したのはアメリカ版で、米最古のネットワーク局・NBCで、現在も続く長寿人気番組の1つにある。また、アジア版の『アジアズ・ゴット・タレント』も作られている。

17年には、ピン芸人のアキラ・コンチネンタル・フィーバーがアジア版に出演し、ゴールデンブザーを獲得する実績を作った。今年2月にはABEMAで日本版の配信も始まったところだが、夢をつかもうと必死の出演者と、“辛口”審査する成功者、そしてそれを見守り、応援する番組観覧者というのはどの国も同じ構図となっている。

  • ゆりやんレトリィバァ

『ブリテンズ・ゴット・タレント』を制作するサイコ・エンターテイメントは、『ザ・Xファクター』や『ザ・グレイテスト・ダンサー』といった歌やダンスに絞った公開オーディション番組も生み出している。女性ソングライターのレオナ・ルイスやボーイズバンドのワン・ダイレクションなど、番組『ザ・Xファクター』からも数多くのアーティストを発掘し、世界ヒット番組として知られる。