新旧のクルマが大集合するイベント「AUTOMOBILE COUNCIL 2023」(オートモビルカウンシル2023)を見て回っていると、見慣れない1台のライトウェイトスポーツカーを発見した。「フータン・オートモービルズ」(HURTAN Automoviles)の「グランドアルバイシン」(Grand Albaycin)というらしいが、このクルマはいったい?
ベース車の素性のよさは殺さない
フータンは1991年に設立したスペインのコーチビルダー(改造車体メーカー)だ。コーチビルダーというのは既存のクルマをベースにオリジナルの1台を作る業者のこと。日本でいえば光岡自動車を想像すればいい。オートモビルカウンシル2023に出展しているのはフータンの日本総輸入元であるフータン・ジャパンだ。
フータン・ジャパンの担当者によると、フータンは2023年2月に日本進出を果たしたばかり。こうしたイベントに出展するのも今回が初めてだ。フータンはいくつかの車種を作っているが、日本で先行販売しているのがグランドアルバイシンというクルマである。
グランドアルバイシンのベース車はマツダモーターヨーロッパの「MX-5」(スペイン仕様)。日本でいえばマツダの「ロードスター」である。エンジンは1.5L(馬力132PS)と2.0L(184PS)から、ルーフはカブリオレとタルガから選択可能。ちなみに、日本仕様のロードスターではカブリオレ(ソフトトップ)と2.0Lエンジンの組み合わせが選べないのだが、グランドアルバイシンは欧州のMX-5がベースなので上記の組み合わせが可能となっている。
グランドアルバイシンはカスタマイズの自由度が高い。外装色はもちろん、シートは23色から選べるし、ダイヤモンドパターンの入った中央部とサイドの色を変えて2トーンにすることもできる。
もうひとつ、ベース車(ロードスター)の「素性のよさを殺していない」(フータン・ジャパン担当者)ところもグランドアルバイシンの特徴だという。
グランドアルバイシンのボディサイズは全長4,205mm、全幅1,820mm、全高1,225mm。日本のロードスターは全長3,915mm、全幅1,735mm、全高1,235mmだから、比べてみるとかなり大きくなっている。
ボディが立派になったのはクルマの個性でもあるしけっこうなのだが、ロードスターに携わるマツダの技術者が全力を傾けて追求している「軽さ」が損なわれているのであれば、それはいただけない。グランドアルバイシンはどのくらい重くなっているのかとカタログを恐る恐る見てみると、カブリオレ仕様は990kg、タルガ仕様は1,070kgと書いてある。あれ、ベース車と変わってない? タルガをロードスターRF(リトラクタブルハードトップ)と比べると、少し軽いくらいだ。
フータン・ジャパン担当者によると、フータンでは樹脂パーツを多用することにより重量を変えずに改造を行っているという。
グランドアルバイシンの価格はヘリテージが910万円~1,217万円、ビスポークが955万円~1,262万円。ルーフの種類、排気量、トランスミッションの組み合わせで価格が異なる。2月に日本進出を果たしたばかりだが関東からも問い合わせが入るなど反響は上々の様子で、すでに注文もあったとのこと。日本で買うと、現状ではオーダーから納車まで7カ月ほどかかるそうだ。