高岩成二主演、坂本浩一監督作品『グッドモーニング、眠れる獅子2』が、4月12日より「ひかりTV」にて配信開始される。本作は2022年の『グッドモーニング、眠れる獅子』の世界観を受け継いだ続編で、前作と同じく高岩による激しいバトルアクションの数々と、大きな夢に向かって努力を続けるヒロインの魅力が打ち出されている。

陰ながら守ってきた綿貫玲実(演:渡邉美穂)が女優としての新しい一歩を踏み出したのを確認し、マネージャーを辞めた九條和真は、キッチンカーシェフを務める柚木朱音(演:小栗有以)と出会う。いつかは一流の料理人になるという夢を抱いて頑張る朱音を応援する九條だが、彼女と自分自身の周辺に、またもや邪悪な存在が立ちはだかる……。

配信開始を記念し、主演の高岩成二と坂本浩一監督との対談インタビューを敢行。前作『グッドモーニング、眠れる獅子』の好評を受け、続編の制作が決まったときの喜びや、エンターテインメント作品を作る際にお互いが強く意識している部分について、そして多彩なキャストとの「アクション共演」の手ごたえを、2人に熱く語り合ってもらった。

  • 主演を務める高岩成二と坂本浩一監督 撮影:大塚素久(SYASYA)

――高岩さんの初主演作『グッドモーニング、眠れる獅子』の「続編」企画は、どのタイミングで決まったのでしょうか。そして、続編が出来たことについてどう思われましたか?

坂本:前作の配信(ひかりTV)が始まってすぐ、よい結果(再生回数)が出たこともあって、わりと早い段階で続編が決定しました。

高岩:続編がやれると知ったときは、もう嬉しい!という気持ちしかなかったです。こんな50過ぎの男がアイドルと組んで、また主演を張れるなんて(笑)。

坂本:決まってから撮影開始までは、異例の速さでした。昨年に前作を企画し、完成して配信。そしてすぐ続編が決まり、撮影を終えて今年配信ですから、すごいペースだと思います。往年の東映プログラム・ピクチャー『女必殺拳』シリーズに迫る勢いです(笑)。

――高岩さんが九條和真という人物を演じるのは二度目なので、前作よりも演じやすい部分があったのではないですか。

高岩:前作での九條と玲実の関係はさえないマネージャーとアイドルでありながら、実は死んだ傭兵仲間の娘を密かに支えている……という「重い」話が隠されていました。今回だと、九條はたまたま出会った朱音の夢を助けるためにいろいろ世話を焼くという設定で、九條のキャラクターをより濃く出せたのではないかと思っています。

坂本:前作では「ナメてたおっさんが凄かった」という意外性、逆転の面白さを狙った作品でしたけど、2作目だと九條がどれだけ強いのかが、観てくださる人にもわかっている状態なので、九條をどんな物語に絡めて、どういうシチュエーションで「戦い」に巻き込もうか、脚本段階から練り込みました。パート2をやるからには、前作を上回るものにしなければならないと意気込んで、脚本の光益義幸さんや塚田英明プロデューサーたちと一緒に、何度もアイデアを出して固めていきました。

――前作の渡邉美穂さんに続き、本作では小栗有以さんがヒロインに選ばれました。キャスティングの決め手は何だったのでしょう。

坂本:以前から、一緒にお仕事をしてみたい女優さんとして小栗さんを意識していたのですが、今回の企画会議のとき、偶然にも彼女がヒロイン候補に挙がっていて、思わず「やった!」と喜びの声をあげました(笑)。『グッドモーニング、眠れる獅子』シリーズは高岩さんの魅力によるアクション映画であると同時に、アイドル映画としても楽しんでもらいたかったので、小栗さんに出演していただけたのは本当によかったと思います。

――渡邉さん演じる玲実も、本作の朱音も、最初は「おっさん」と呼んで邪険にするものの、真剣に自分のことを心配し、応援してくれる九條を信頼していきます。どちらも、いわゆるツンデレヒロインとして魅力を放っていますね。

坂本:そこが観ていただく方の「萌え」ポイントになるよう、演出していました。

高岩:本当にアタリがキツいんですよ。最初は特に……。何度も「おっさん!」と呼ばれますし(笑)。

坂本:自分も塚田さんも、「強い」女の子が好きですから、そういった好みが朱音のキャラクターに反映されているのかもしれません(笑)。

――本作での九條は「一流シェフになる」という朱音の夢を応援するべく、キッチンカーで見習いシェフを務めます。今回のテーマが「料理」になったのはなぜですか?

坂本:まず、続編で九條にどんなことをやらせようかと考えまして、前作と同じく芸能マネージャーとして業界ネタを継続するのか、それとも違う職業にするのか、みんなで話し合って、シリーズ化するなら毎回九条の仕事を変えてみたほうがいいのでは、という結論になりました。ジャッキー・チェンのアクション映画と一緒で、今度の映画で高岩さんはどんなことをするのかな、と楽しみにしてもらえるようになればいいなと思ったんです。

高岩:いろんな仕事に就くけれど、何らかの事件に巻き込まれて、結局ハードアクションに持っていってしまうんでしょうね(笑)。

――前作に続いて『仮面ライダー』シリーズで主役を務めた俳優たちが「悪役」として、高岩さんと戦う展開になりますね。『仮面ライダー555』の半田健人さん、『仮面ライダーアギト』の賀集利樹さん、そしてスーパー戦隊からは『轟轟戦隊ボウケンジャー』の出合正幸さん、『忍者戦隊カクレンジャー』のケイン・コスギさんが登場しました。こちらのキャスティングについての狙いを教えてください。

坂本:誰を高岩さんにぶつけるか、というのが一番の課題でした。前作は『仮面ライダー鎧武』の佐野岳くんというバリバリに動けるキャストがいましたからね。ケインは2022年の映画『劇場版 仮面ライダーリバイス バトルファミリア』で一緒に仕事をしたばかりでしたし、高岩さんとも深いつながりがあります。ケインと高岩さんのバトルが見たい、というアイデアは早い段階から固まりました。

――ケインさんがニンジャブラック/ジライヤを演じられた『カクレンジャー』で、高岩さんはニンジャレッドのスーツアクターとして共演されていたのですね。

高岩:当時は味方同士で横に並んでいました(笑)。今回は初めてケインと向き合って戦うことになったので、彼はどんな感じで来るのか、アクションの撮影のときは気合いが入りましたね。僕のアクションは千葉真一さんの流れから来ている「JAE」流なのですが、アメリカ仕込みのスタイルのケインとどうかみ合うのか、リズムや間合い、勢いがかなり違っていたので、そこが大変であり、楽しくもあり、刺激になり……ってところでした。

坂本:まさに、他流派の武術家同士のぶつかり合いを意識しました。

高岩:すごかったのは、ケインの回し蹴りのスピードと重さですよ。九條はあの蹴りを手で払っていますが、あんなの実戦じゃ絶対にムリ。あらかじめ、段取りをつけているから出来るんです。厨房という閉鎖空間でガッツリ戦ったのも印象的です。食器やら鍋なら、いろんなものに囲まれた中でアクションをするのは大変でした。コンロで背中に火がついたりもしました(笑)。

坂本:どうせやるなら、思いっきりやらないとですね(笑)。