ひと昔前は主流だったセダン型に代わり、ワンボックスタイプの車両が増えてきたタクシー。カーナビ搭載は当然として、空気清浄機を装備したり、配車アプリやタッチ決済を採用したりするなど、最近のタクシーの変化には目を見張るものがありますね。
年配のドライバーが多いというイメージが強いタクシーですが、近年は新卒採用者数も増え、若者が持つタクシー業界のイメージにも変化があるようです。
そこで今回は高校生・大学生・専門学校生300人を対象に「タクシー業界のイメージ」についてアンケートを実施。最初に、タクシー業界に関するプラスのイメージについて聞きました。
Q1.タクシー業界のプラスイメージを教えてください
1位「いろいろな場所を見て回れる」(28.6%)
2位「好きなこと(運転)を仕事にできる」(27.7%)
3位「自分の都合で働ける(ワークライフバランスが良い)」(16.4%)
4位「仕事の自由度が高そう」(15.3%)
5位「仕事で男女差がない」(7.3%)
6位「その他」(1.1%)
タクシー業界のプラスイメージでは、「いろいろな場所を見て回れる」が最も多くなりました。利用者の要望に応じてさまざまな場所に車を走らせるタクシー運転手。お客様を送り届ける中で、知られざる裏路地の名店や穴場の絶景スポットなどを発見することもあるかもしれません。
また、「好きなこと(運転)を仕事にできる」や「仕事の自由度(ワークライフバランスや都合が付きやすい)を挙げる声も目立ちました。
比較的自由度が高く、好きな車を運転しながらいろいろな場所を見て回れるということを魅力と感じる人が多いようです。
Q2.タクシー業界のマイナスイメージを教えてください
1位「若い人が少ない」(26.4%)
2位「拘束時間が長い」(25.6%)
3位「人出不足」(21.1%)
4位「社会的なステータスが低い」(15.2%)
5位「Uberや自動運転で仕事がなくなる可能性がある」(8.4%)
6位「その他」(3.3%)
タクシー業界のマイナスイメージでは、「若い人が少ない」と「拘束時間が長い」の回答が多くなりました。自由回答でも「年配の人が多い」「定年後に再就職するというイメージ」「待ち時間が長い」といった声も寄せられています。
最近は新卒採用も増えているとはいえ、「ドライバーの平均年齢が高い」というイメージは根強いようですね。自動運転などの発達で仕事が失われる懸念や、社会的地位が低そうという声も目立ちました。
高校生・大学生・専門学校が考えるタクシー業界のプラスイメージ・マイナスイメージの結果について紹介してきましたが、実際にタクシー業界の仕事はどのようなものと捉えているのでしょうか。
次は「タクシー業界の仕事のイメージ」について聞いてみました。
Q3.タクシー業界ではどのような仕事をするか、具体的なイメージはありますか?
車を運転するイメージ
・「運転手のイメージが強く、ほかの仕事についてはよく分からないです」(女性/22歳/大学・専門4年)
・「指定された場所に向かい、お客様を乗せて、目的地に移動すること。また、駅で待機することもある」(男性/22歳/大学・専門4年)
・「お客さんとコミュニケーションをとりながら目的地まで送る仕事」(男性/19歳/大学・短大・専門1年)
・「会社側がシフト管理をして、ドライバーは自分の働きたい時間に仕事をする。出来高でボーナスが出る」(女性/20歳/大学・短大・専門2年)
・「運転手が決められたルートを巡回しながら、お客様が乗車されたら、ルート外に行く仕事のイメージ」(女性/21歳/高校3年)
タクシー業界といったら、真っ先に街中で走るタクシー車両を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。そのため、圧倒的に多かったのは「車を運転する仕事」というイメージでした。「運転することしか、思い浮かばない」という人も目立っています。
運転手は、観光案内や道案内をする
・「タクシーを運転する。観光案内的な感じ」(女性/19歳/大学・短大・専門1年)
・「地元愛や自分だけが知っている魅力、おいしいお店や観光スポットを発信できる良さがある」(女性/19歳/大学・短大・専門1年)
タクシードライバーといったら、地元や道に詳しいイメージがありますね。そのため、運転するという仕事のほかに、名所案内や地元の情報をお客様に提供するといった観光案内の役目を担うことを挙げる人も多くなっています。
オフィスで、事務作業や配車作業、洗車などをする
・「運転手以外に、オフィスで働いている人もいると思いますが、具体的なイメージが湧きにくいです」(女性/20歳/大学・短大・専門2年)
・「運転手のアルコールチェックなど管理。予約等への対応。需要調査や天気予報のチェックなど?」(女性/23歳/大学・専門4年)
・「人事、運転手、運転管理(どの車がどの場所にいるか等)の仕事があるのかなと思う」(女性/22歳/大学・専門4年)
・「総務が連絡を受けてタクシーを手配すること」(女性/22歳/大学・専門4年)
お客様に安心してタクシーを利用してもらうために、健康チェックや配車案内、事務作業といった面から、ドライバーをサポートするのも大切な仕事。
ただ、こうした裏方的な仕事はどのような作業があるのかイメージしにくいという声もありました。
その他
・「観光タクシーや介護タクシーなどの新サービスの開発」(男性/22歳/大学・専門4年)
・「配車管理、一般タクシーの運行以外にも観光タクシーや福祉タクシーの運行」(男性/22歳/大学・専門4年)
・「足腰が弱い年配の方を送迎する」(女性/22歳/大学・専門4年)
タクシーとしての通常サービス以外に、買い物などの作業を請け負う、妊娠中の女性や子持ちの人でも利用しやすい妊婦・育児タクシー、身体の不自由な方の移動をサポートする福祉タクシーを運行するタクシー会社も増えています。こうした新しい側面に注目した人もいました。
高校生や大学生・専門学校生がイメージする「タクシー業界」の結果を紹介しました。
タクシー業界の働き方が変化
仕事の自由度や頑張った分だけ稼げるという点をメリットとして挙げる人も多い一方、依然として「年配の人が多く、キツい、危ない、稼げない、社会的地位が低い仕事」と考える人も一定数いるようです。
しかし近年、タクシー業界では、給与面や労働環境の改善、経験がなくてもお客様を獲得しやすい配車アプリの採用など、働きやすい環境づくりに注力。
全国ハイヤー・タクシー連合会によると、2022年の東京都内主要タクシー5社(日本交通、国際自動車、大和自動車交通、帝都自動車交通、日の丸交通)合計の新卒採用者は、この10年で約20倍に増加(2012年24人、2022年491人)。女性ドライバーも増えています。
ドライバーの社会的ステータスの低さを挙げる声もありますが、業界では現在、ドライバーの社会的地位を向上させようという気運も高まっているようです。
今後さらに、タクシー業界のイメージが変わってくるかもしれませんね。
調査時期:2023年4月
調査対象: 高校生・大学生・専門学校生
調査数: 男女合計300人
調査方法:マイナビ『学生の窓口』によるインターネットログイン式アンケート