東京・⽴川エリアで4月6日に開業した、⾷房と茶房、宿房で構成される"和のオーベルジュ"「Auberge TOKITO(オーベルジュ ときと)」。その内部がメディア向けにお披露目された。
老舗料亭の歴史ある建物と庭園を継承
JR南武線「⻄国⽴」駅から徒歩1分という立地だが、⼀歩⾜を踏み⼊れると閑静で落ち着いた空間が広がる。
⽴⾶ホスピタリティマネジメントが⽼舗料亭「無⾨庵(むもんあん)」の跡地を買い受けたもの。無⾨庵は1937年頃に開業し、戦時中は陸軍将校の宿泊所にも使われた。「特攻隊の若い方々が給油で立ち寄ってこちらに宿泊し、翌朝にはこの立川の空を3回旋回してもう帰ってこなかった、そういう場所です」と話すのは、同施設を手がける同社取締役COOの坂本裕之氏。
無⾨庵の歴史的建物の⼀部と庭園を継承し、⾷房と茶房、1⽇4組限定の宿房として⽣まれ変わったのがオーベルジュ ときとだ。
オーベルジュの真髄「食房」
施設の名前にもある「オーベルジュ」とは、宿泊施設を備えたレストランのこと。オーベルジュ ときとでは、ゲストの"到着時から出発時までをフルコース"と捉えて料理⼈が滞在中のあらゆる「とき」をプロデュースするという。
料理のコンセプトは、「Artisan Cuisine for New Luxury(アルティザン・キュイジーヌ)」。フランス語で"職⼈"を意味する「アルティザン」、"料理"を意味する「キュイジーヌ」の通り、料理⼈のみならず、⾷材の⽣産者や猟・漁師、器の作家など、関わるすべての職⼈がワンチームとなって料理に取り組む。
エグゼクティブプロデューサー・総料理⻑に迎えられたのは、京都吉兆やロンドンの日本料理店「UMU」総料理長等などを経験した⽯井義典氏。伝統の懐⽯料理の縛りやルール、⾼級⾷材などから解き放たれた⾃由な発想で、真の豊かさを追求した新たな⽇本料理を提供するという。
⾷房は、料理⼈の⼿捌きを間近に⾒られる宿泊者優先のカウンター席(10席)のほか、中庭を望むホール席(全22席)、プライベートパーティーやビジネス、冠婚葬祭など幅広い⽤途に最適な個室(各4席/3室)と離れ(最⼤20名)を設えた。コースメニュー(12品前後で構成)は、カウンター席6万3,250円〜/⼈、 ホール席3万1,625円〜/⼈(いずれも税・サービス料込)。
わび・さびに触れる「茶房」
庭園にひっそりと佇む「茶房」は、掘り炬燵とハイチェアからなる全16席。
季節に応じてメニューが変わる「茶請箱」(ちゃうけばこ)と3種類のお茶がセットになったアフタヌーンティー(7,590円〜/⼈、税・サービス料込)を提供する。
究極のくつろぎで⼼⾝を回復する「宿房」
全4室に限定した宿房がテーマにするのは"⼼⾝の回復"。
客室はリビング、寝室、地下1,300mから汲み出した温泉かけ流し露天⾵呂付きのバスルーム、専⽤のスパトリートメントベッド、ミニキッチンを完備した、106m2の開放感溢れる空間となっている。
⽴⾶ホスピタリティマネジメントでは、立川エリアに持つ土地がまもなく100万m2になるとのこと。最上階インフィニティプールで知られる「SORANO HOTEL(ソラノホテル)」(2020年6⽉開業)も手がける。「もともとは不動産の会社なのですが、なぜこんなことをやっているのかといえば、都市格が上がれば企業価値が上がりますし、不動産としてビジネスチャンスが非常に広がってくる」(坂本氏)。
オーベルジュ ときとの宿泊は「開業記念特別プラン」で34万2,250円〜(2名利⽤/⼣・朝⾷付き/税・サービス料込)と、都心やアジア、欧米の富裕層を主なターゲットとしているが、地域の人にとっても思い入れのある土地。茶房でのアフタヌーンティー提供なども用意し、地域に開かれた施設にしていきたいそうだ。