日常会話やビジネスメールでの文章で、「大事に至らない」という表現を用いる際に、使い方が合っているか悩むことはありませんか? 今回の記事では、「大事に至らない」の意味や使い方・例文、類語・言い換え表現などを紹介します。
誤用しないために、実際の使用例を参考にして正しく使えるようにしましょう。
「大事に至らない」の意味は
「大事に至らない」とは、「深刻な事態には発展しなかった」「致命的な結末にはならなかった」という意味で用いられます。
例えば、「顧客からクレームが来たが謝罪をしに行ったら許してくれたので、大事には至らなかった」といった使い方をします。
「大事に至らない」の正しい使い方
「大事に至らない」は「致命的な事態にはならなかった」という意味が含まれるため、何かトラブルが発生したが大きな問題にはならなかった、というときによく使います。
多くの場合、報告の受け取り手に対して、急いで対応する必要がないことを伝えるために使用されます。トラブルや不備があったことを報告しつつ、結果的には被害が甚大ではなかった旨を強調するため、その場で解決できないような大きな問題や、どうしようもないトラブルに見舞われた場合の表現には適しません。
また、トラブルのもとになるようなことがそもそもなかった場合や、よいことが起きた場合などに使うケースも誤用です。
「大事に至らない」の例文
言葉の意味を把握したら、実際に文章で使ってみましょう。ここでは、「大事に至らない」という表現を文中で用いた文章をご紹介いたします。
同時に、文章内での表現の意図や適切な解釈についても解説します。日常会話やメールの文章に用いる際にぜひお役立てください。
体調不良・病気によるトラブルの場合
- 彼は突然の発作に襲われたが、幸い大事に至らなかった
ここでの「大事に至らなかった」は、「発作」というトラブルが最初に起こったが、結果的には「命に別状があるような状態には直結しなかった」という意味で使われています。
- 高熱が続き寝込んでしまったが、大事には至らなかった
こちらの文章でも「体調を崩して高熱を出した」というトラブルが最初に起こったけれど、「後々まで影響が出るような大きな病気ではなかった」や「生活に支障の出るほどの療養期間にならなくて済んだ」などと、問題の程度が結果的に軽かったことを強調する表現として用いられています。
怪我によるトラブルの場合
- 彼女は試合中に手を負傷したが、大事に至らなかった
こちらの文章では、はじめに「試合中の負傷」というトラブルが発生したことを報告しています。次に「大事に至らなかった」という表現を使うことで、「日常生活に支障の出るほどの怪我ではなかった」「今後試合ができなくなるような後遺症の残る怪我ではなかった」というように、取り返しのつかない状態ではなかったことを表しています。
- 交通事故に巻き込まれてしまったが、幸い大事に至らなかった
こちらの文章でも「交通事故に巻き込まれた」という報告の後に「大事に至らなかった」という表現を使うことで、「怪我はなかった」もしくは「生活に関わるような大きな怪我や損害は負わなくて済んだ」ことを相手に伝えられます。
仕事上のミスによるトラブルの場合
- 同僚のフォローのお陰で、私のミスは大事に至らなかった
こちらの文章では、自分のミスのせいでトラブルを発生させてしまったが、同僚のお陰で大きな問題にはならなかったことを表しています。つまり「納期に遅れることはなかった」「会社全体の利益の損失にはつながらなかった」「これが原因で評価が下がることはなかった」など、会社や自分に致命的な不利益が生じなかったことを伝えています。
- 部下の起こしたトラブルは、幸い大事には至らなかった
こちらの文章でも、部下によって仕事に不手際が生じてしまったが、「大事に至らなかった」という表現を続けることで、「結果的には大きな損失や業務の遅れはなかった」ことを伝えられます。
業務中に突然のトラブルに見舞われた場合
- データが破損してしまったが、バックアップを取っていたので大事に至らなかった
こちらの文章では、大元のデータは破損してしまったが「大事に至らなかった」と表現しています。つまり、「データを保存しておいたために影響はなかった」ことがこの文章から読み取れます。
- システム障害が発生し仕事を中断することになったが、納品を早めに済ませていたため大事に至らなかった
こちらの文章では、「作業できない時間がシステム障害によって生じた」というトラブルがあったものの、スケジュールを前倒しにして作業を進めていたため、「納期の遅れ」というさらに大きなトラブルにはつながらなかったことが表されています。
「大事に至らない」の類語・言い換え表現
この章では、「大事に至らない」の言い換えとして活用できる言葉と、その例文をご紹介します。
深刻な事態を免れる
「深刻な事態を免れる」は大小関わらずトラブルがあった、もしくはとトラブルが起こりそうな一触即発の状況になりかけたが、致命的な状況は回避できたという意味です。
「大事に至らなかった」とほぼ同じ状況で使えます。文章で使う際には、「両者の協議により、深刻な事態は免れた」というように表現されます。
大したことにならず
「大したことにならず」は考えていたよりも軽い損害で済み、深刻な結果を避けられたという意味です。「大事に至らなかった」とほぼ同じ意味の表現として使えます。
予測されたトラブルを完全に回避はできなかったものの、起こったトラブルによる被害が小さく、思っていたより軽微だった場合に「大したことが起きなかった、大したことにならずに済んだ」と表現します。
「大事に至らなかった」よりもこちらの方がやや口語的な表現になるため、相手との関係性やTPOによって選択しましょう。
「素早いリカバリーの結果、今回のトラブルは大したことにならずに済んでよかった」といったような使い方をします。
「大事に至らない」の英語表現
日本語における「大事に至らない」とほぼ同義で使える英語の表現として挙げられるのは、下記の通りです。
- It wasn't a big deal.
「大事に至らない」を適切に活用しよう
今回の記事では「大事に至らない」の意味や使い方・例文、類語を解説いたしました。「トラブルや問題は発生したけど、結果的に被害がなかった・少なかった」といった使い方をします。
「大事に至らない」の意味や使い方、例文などを覚えて、ビジネスシーンで活用しましょう。