一般財団法人 日本気象協会が推進する「熱中症ゼロへ」プロジェクトは、夏季だけでなくその前から体を暑さに慣れさせること(暑熱順化:しょねつじゅんか)の大切さについて広く知ってもらうことを目的に、各地域で暑熱順化が必要なタイミングの目安となる「熱中症ゼロヘ 暑熱順化前線(第1回)」を、公式サイトで4月6日に公開した。

  • 熱中症ゼロヘ 暑熱順化前線(第1回)

季節の気温は年によって大きく変動しているが、近年は地球温暖化などの影響により気温が上昇し、春でも高温になることがある。気象庁によれば日本の春(3~5月)の平均気温の上昇割合は100年あたり1.53℃と、夏(6〜8月)の1.16℃よりも大きく、5月でも最高気温25℃以上の夏日や、30℃以上の真夏日が記録される日が多くなっている。そのため、夏になる前からの熱中症対策が重要になる。

暑くなる前からできる熱中症の対策には、暑さに強い体づくりがある。暑さに強い体を作るためには、バランスの良い食事や十分な睡眠以外に、「暑熱順化」をすることも大切だという。

暑熱順化とは、体が暑さに慣れること。暑熱順化ができていないと、体の熱をうまく外に逃がすことができず、熱中症になる危険性が高まる。暑熱順化には個人差もあるが、数日から2週間程度かかる。

「熱中症ゼロヘ 暑熱順化前線」は、各地域で暑熱順化が必要なタイミングの目安を示している。この時期を目安に、暑熱順化をするための動きや生活を開始するとよいだろう。暑熱順化をするには無理のない範囲で汗をかくことが大切。例えば、軽い運動や湯船に浸かる入浴で意識して汗をかき、暑熱順化をするのもよいという。

なお、本格的な暑さを迎える前に、「熱中症ゼロへ 暑熱順化前線(第2回)」を発表予定とのこと。

  • 暑熱順化ポイントマニュアル(裏面イメージ)

公式サイトでは暑熱順化の詳しい内容や、自分の暑熱順化がどの程度進んでいるかを確認できる「暑熱順化チェック」、印刷して暑熱順化の知識を深めることができる「暑熱順化ポイントマニュアル」も掲載している。

  • 日本の春夏の平均気温の基準値からの差

気象庁によれば、日本の春(3〜5月)平均気温は、様々な変動を繰り返しながら上昇していて、長期的には100年あたり1.53℃の割合で上昇している。また、夏(6〜8月)平均気温は、100年あたり1.16℃の割合で上昇している。

  • 4月・5月 昔と今の夏日日数の比較(10年間)

地球温暖化だけなく、アスファルトやコンクリートの増加による熱の蓄積や人間活動によって生まれる熱の増加といった都市化の影響も含まれているが、4月・5月の最高気温25℃以上の夏日は増加している。1952年~1961年の10年間と、2012年~2021年の10年間の夏日の積算を比較すると、東京では73日から186日とおよそ2.5倍、大阪でも約1.5倍となるなど、多くの都市で増加傾向にある。

熱中症は正しく対策を行うことで防ぐことができる。暑くなってからの対策だけでなく、暑くなる前からできる熱中症対策を行って、熱中症になりにくい体づくりをするとよさそうだ。