2007年3月で『ポンキッキ』が終了し、地上波のレギュラー番組がなくなったが、そんなときに、「日産セレナ」の“特別宣伝部員”に就任したことが、現在のように局やメディアの垣根を越えて活躍する1つのきっかけとなった。

フジテレビ他局でも放送されるCMに登場することになり、そこから企業の広告のオファーが増加。山田氏はその背景に「ガチャピンはチャレンジ精神があるし、何と言っても安心安全のキャラクターなので、人気があるんだと思います」と語り、石橋氏は「認知度の調査をすると、97~98%というデータになるんです。特に親御さんの世代は、ほぼ100%ですから」と、抜群の知名度が武器になっている。

最近では、『10万円でできるかな』(テレビ朝日)や、『白黒アンジャッシュ』(チバテレ)など、他局のバラエティ番組にも進出し、いよいよ局の枠にとらわれないキャラクターに。

様々なオファーが来る中で、「そもそも5歳なので、できること、できないことはあります」(石橋氏)という前提の上で、「お話があればいろいろなお仕事も、ガチャピン・ムックと相談して積極的に挑戦していきたいと思っています」(同)と、ここでも“チャレンジ”の精神が生きている。

  • フジテレビの石橋広大氏

■「ついにムックの時代がきた」

現在ガチャピンは、夕方の報道番組『Live News イット!』(平日版)でお天気コーナーを担当。同番組では、テレビ画面に映ったガチャピンに反応する子どもたちの動画を紹介する「ガチャピンといっしょ!」のコーナーも設けられ、多くの子どもが立ち上がって興奮するなど、愛される様子が映し出されている。

一方のムックは、実物を見るとその巨大さで、対面した子どもが泣いてしまうことも多いのだそう。そんなときは“とりあえず止まる”という対処法を身に着けている。

このようにスター街道を歩くガチャピンに対し、長年陰で支えてきたムックだが、近年はムックが1人で活躍する場が増えている。そのきっかけは、YouTubeだった。

「YouTubeの『ガチャピンちゃんねる』で、実は音楽が得意なムックを“音楽家ムック”として、街に設置されたストリートピアノで特技のピアノ演奏を披露したみたところ、ものすごく反響がありまして。それを見た方が葉加瀬太郎さんのバイオリンと共演するUberEatsのCMを考えてくださったんです。これを機に、葉加瀬さんのライブや『FNS歌謡祭』でも共演しましたし、最近は特番の『芸能界特技王決定戦TEPPEN』でドラムも披露しました。YouTubeでは西川貴教さんやDA PUMPさんなどたくさんの方々ともコラボしているんですが、そこからライブに出演したり、音楽番組で共演したり、様々な展開が広がっています」(石橋氏)

今やムックひとりの仕事も多く、山田氏は「ついにムックの時代がきたと思いました」と、しみじみ。子どもには泣かれてしまうこともあるが、「ムックって、昔から女性にすごく人気だったんです。口調も丁寧で非常に紳士なので」と、その才能が開花したことを喜んだ。