• ガチャピン、宇宙へ=1998年 (C)ガチャムク

これまでのチャレンジの中でも特に大きなインパクトを残したのは、1998年に実現した宇宙への旅だ。ロシアの宇宙ステーションに滞在したこのプロジェクトは、温室効果ガス・地球温暖化の問題を知ったガチャピンが心配になって、「宇宙へ行きたい」となる背景のストーリーがあり、ガチャピンは帰国後、人類初の宇宙飛行士・ガガーリンの名言「地球は青かった」を借りて、「地球はまだ青かった」という言葉を残した。

しかし、裏側では様々なトラブルが。当初は特番を組む予定だったが、ロシア側から提供された映像素材の時間が極めて短かったことから、放送尺を埋めることができないと判断し、結局レギュラー番組の中で紹介することになった。

  • ヒマラヤ山脈・ヤラピーク登頂=2008年 (C)ガチャムク

ほかにも、2008年のヒマラヤ山脈・ヤラピーク(5,520m)登頂では、「本当に高山病との闘いで、みんながハードでした」(山田氏)と過酷なチャレンジも。現在ガチャピン・ムックプロジェクトを担当している石橋氏は「過去のチャレンジを映像で見るのですが、安全面などを考えると、本当によくできたなと思うものが結構あるんです」と話し、その背景には歴代のスタッフたちに果敢なチャレンジ精神があったことがうかがえる。

そんなガチャピンの新たなチャレンジが、現在お台場で上演中のサーカス・エンターテインメント集団シルク・ドゥ・ソレイユの日本公演最新作『アレグリア-新たなる光-』のパフォーマンスだ。石橋氏は「やっぱり今回の挑戦も最初はできませんでした。それでも、失敗する姿を見て、ガチャピンのことを知らなかったシルク・ドゥ・ソレイユの皆さんが、だんだん“頑張れ! 頑張れ!”と応援する雰囲気になって、大人も感動するガチャピンのチャレンジというのは、こういうことなんだと思いました。普通の人間がやるのとは違うからこそ、心に響くものがあるんだと学びました」と感激を語った。

この模様は、4月2日(16:05~)に地上波・フジテレビで放送される特番『祝50周年!! ガチャピン・ムック誕生日会!みんなともだちSP!』で登場する。

  • アレグリアのアーティストたちと (C)ガチャムク

■常に新しいものを取り入れる遺伝子

50年の歴史の中で、“チャレンジ”の精神が変わらず受け継がれている一方で、進化している部分は何か。

「時代に合わせて活躍の場を広げているということがあると思います。テレビ出演のほかに、ソーシャルの時代になってTwitter、Instagram、YouTube、TikTokといった新しいツールでも活動して、そこでも皆さんに愛されているんです」(石橋氏)

2009年に始めたTwitterは、現在135万超のフォロワー(※4月1日現在)を抱える老舗の人気アカウントとして知られるが、山田氏は「『ポンキッキ』の遺伝子として、番組では常に新しいものを取り入れているんです。『ひらけ!ポンキッキ』(73年)ではCGをいち早く使ったコンテンツを制作し、『ポンキッキーズ』(93年)ではテレビ画面をパソコンに見立ててアイコンをクリックするというのをしていて、当時出演していた(音楽グループの)Folderも、そこから由来しています」と明かした。