2011年に母親に勧められて応募した第7回「東宝シンデレラ」オーディションでニュージェネレーション賞を受賞し、芸能界入りした浜辺。数々のドラマや映画に出演し、日本アカデミー賞新人俳優賞や、エランドール賞新人賞を受賞するなど、人気とともに実力も評価されている。

女優業への思いがどのように変化してきたのか尋ねると、「一番覚悟を決めたのは高校に入ったとき。その時期に上京しようと決めて、自分の中で固めました」と一つの転機を明かし、「そのときは大丈夫な自信がちょっとあったんです。不安いっぱいというより、なんとなく頑張れる気がしていて」と当時の心境を振り返る。

だが、そこから年齢を重ねる中で、不安な気持ちが芽生えることも。そしてその都度、女優業への思いを確認しながら前へ進んできたという。

「だんだん今の年齢になるにつれて、気持ちだけでは続けてこられない部分が出てきたり、自分の世代の人たちが大学を卒業して就職していく中で、不安が芽生えたことは何度もありますが、そのたびに自分は10歳からこの仕事をしていたのでこれしかないなと思いますし、現場も好きだし作品を見るのも好きなので、改めて頑張ろうという気持ちになります」

そして、女優業について「大変90%、楽しい10%くらいの配合でやっている」と言い、「楽しいという10%を大事にしつつ、頑張るぞというのが90%あるおかげで、うれしさや達成感、ありがたみを感じると思うので、そのベースは自分の中で維持していきたい」と語る。

また、『まれ』出演時は「記憶が全くないくらい、自分のことだけで精一杯でした」と回顧。そのときから8年経ち、「視野が広く持てる余裕が出てきて、自分のペースで撮影に向かっていくルーティン的なものもできていると思う」と自身の成長に言及すると、「子役ちゃんが来たときにいい思い出として残るように努めたいと思うようになりました。(『らんまん』で)妊娠・出産する展開があったとしたら、みんなで仲良く和気あいあいとできたら」と後輩たちのことを考えている。

前回の朝ドラ出演から大きく成長を遂げ、ヒロインとして帰ってきた浜辺。本作でのヒロインの経験も、女優人生においてとても大切な経験になるに違いない。

「長期間、同じ役を演じられるのは、なかなかないありがたい機会だと感じています。また、現場で苦悩したり壁に直面したりしたときに、それを乗り越えられる猶予がある作品期間だと思うので、精一杯向き合って女優として一皮むける機会になればいいなと思っています」

さらに、「寿恵子さんは今のところ幼少期の回想がなく17歳から描かれるのですが、そこから私が演じているので、年を重ねて回想するときに自分で演じたものを思い出すことができ、思い出を積み重ねていけるのは演じやすいだろうなと思っています。そして、ほかの作品では経験できない年齢まで演じられるのはすごく楽しみです」と期待感を口にした。

朝ドラが愛されている理由を改めて考えたときに「朝からさわやかな活気をくれる」ことが大きな魅力だと感じたという浜辺。「清々しい風が体の中を通り抜けるような感覚が特に『らんまん』にはあるなと感じていて、万太郎さんの天真爛漫な明るさは心を軽くしてくれると思うので、ルーティンに組み込んでいただけたら。本当にハッピーな気持ちになれる作品になっていると思います」と視聴者にメッセージを送った。

■浜辺美波
2000年8月29日生まれ、石川県出身。2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションでニュージェネレーション賞を受賞し、同年公開の映画『アリと恋文』主演で女優デビュー。2017年に映画『君の膵臓をたべたい』で第41回日本アカデミー賞 新人俳優賞などを受賞。2020年には映画『思い、思われ、ふり、ふられ』、ドラマ『アリバイ崩し承ります』(テレビ朝日)で第45回エランドール賞 新人賞を受賞。現在公開中の『シン・仮面ライダー』でヒロイン・緑川ルリ子役を務めた。

(C)NHK ヘアメイク:寺田裕子(資生堂) スタイリスト:瀬川結美子 衣装:フラマー/アネンサール、MANA/CONCORDIA