高校生向けのビジネスアイデアコンテスト「マイナビキャリア甲子園2022」の決勝大会(2023年3月12日開催)に出場したドルトン東京学園高等部の「りきゃっぷ」チームのリーダーが3月17日、生命保険協会を訪問。各生命保険会社の代表者が高校生の健闘を称えた。

  • マイナビキャリア甲子園の決勝に進出した高校生が生命保険協会を訪問

■高校生の斬新な発想とは?

今年で9回目を迎えた「マイナビキャリア甲子園」には、全国の高校生8,959名(2,318チーム)が応募した。ドルトン東京学園高等部の「りきゃっぷ」は、生命保険協会から出題された「ライフスタイルや価値観の多様化が進むこれからの社会に寄り添った、生命保険会社が提供する新たなサービスを創造せよ」というテーマに対して『GID(性同一性障がい)』の人々が生きやすい社会を実現するためのアイデアで応え、生命保険協会が推す代表校に決定。大会では見事に決勝まで勝ち進んだ。

この日、生命保険協会を訪れたのはチームでリーダーを務めたヴァンダーキャムさん(ドルトン東京学園高等部1年生)。冒頭、主催者であるマイナビより決勝進出を祝した賞状が授与された。

  • ドルトン東京学園高等部のヴァンダーキャムさん

  • 代表チームのプロフィール

ヴァンダーキャムさんは「マイナビキャリア甲子園に挑んだ半年間は、ボクにとっても非常に大切な時間になりました。成長を実感できた部分もあります。残りの2年間の高校生活で自分にできることを追求したいと思います」と挨拶。そして関係者の前で、あらためてプレゼンを披露した。

  • あらためてプレゼンを披露

チームでは”保険会社からの相互扶助×他企業の相互作用”を可能にする斬新な取り組みを創造した。生命保険加入者がログインできるDream Metaと呼ばれるメタバース空間をつくり、LGBTQにフレンドリーな会社の求人を掲載するほか、被保険者がGID診断を受けた場合に一時金などを受け取れる学資保険の『GID特約+』を提案。また、LGBTQフレンドリー企業と保険会社が連携することで、GIDの方はLGBTQフレンドリー企業から手術治療のための貸付を受けられるとともに、GIDの方が手術後の後遺症などで働けなくなった場合には、保険会社が残金を返済する仕組みである『GIDエクスプレス保険』を創造した。同じ悩みを抱える方とつながるコミュニケーション大広場、そしてドクターや弁護士などの相談先を紹介する機能もメタバース空間に盛り込んだ内容だった。

ヴァンダーキャムさんは「Dream Metaは保険、就職、医療、弁護、コミュニティのシナジーによりGIDの方を包括的に支えるシステムです」と説明。プレゼンのあと、マイナビキャリア甲子園の中だけで終わらせたくない、将来どうにかしてこのアイデアを実現したいんです、と力強く語った。

  • プレゼンを終えると会場からは大きな拍手が

この日のプレゼンは、Zoomウェビナー形式でも生中継。オンラインで参加した生命保険会社の各代表者からのコメントもあった。

「素晴らしいプレゼンでした。LGBTQの人々の経済的な負担を考慮し、どうしたら生きやすい社会になるかまで配慮がおよんでいた。困っている人たちが気軽に相談できるようにメタバースで匿名性を担保するなど、私たちの世代では発想できないアイデアにあふれていました」

「生命保険に対する理解が深いことに驚きました。一般的に、4歳頃から自らの性に違和感を抱くことがあるといった最近の研究結果を踏まえ、0歳から3歳までの子供を持つ保護者を対象として、学資保険の特約という形をとり、GIDの方が成人になった後は手術費に充てる貸付を受けられるなど、理にかなっていると思いました」

「本当に感心しました。生命保険の商品だけでなく、その人の生活を総合的に支えるパッケージを考えていて素晴らしいと思いました」

また、どこが一番苦労しましたか、という問いかけにヴァンダーキャムさんは「はじめは貯蓄保険を考えていましたが、それでは差別化ができないと悩みました。生命保険協会の方にもアドバイスをいただき、最終的にはGIDエクスプレス保険の発想にたどり着きました」と回答した。

最後に、生命保険協会の協会長より「性的マイノリティ、特にGIDに着目し、そうした方が抱える問題に、生命保険の本来の目的である相互扶助の考えを活かしつつ、しかし生命保険の枠にとらわれずに他企業と連携した相互作用の効果を掛け合わせることで価値観の多様化を受け入れ、共存できる社会の構築に寄与していく。本当に画期的なアイデアでした。柔軟な発想、高校生の皆さんならではの視点で素晴らしいご提案をいただきました」と総括のコメントがあり、ヴァンダーキャムさんら若者たちの今後の発展にエールを送った。