「第12回マイナビキャリア甲子園」で準優勝した帝塚山高等学校(奈良市)のチーム「糖質上糖」が5月7日、奈良県庁を訪れ、山下真知事に大会結果を報告した。同校は昨年大会でも優勝・準優勝を飾っており、2年連続の表敬訪問となった。
帝塚山高等学校「糖質上糖」、奈良県知事に準優勝を報告
第12回目を迎えた「マイナビキャリア甲子園」。今年度は過去最多となる1万1,668名・3,151チームがエントリーしたが、各協賛企業の代表として決勝に進めるのはわずか12チームに過ぎない。その狭き門を突破し、ロッテ代表として決勝の舞台に立ったのが、帝塚山高等学校の男子4人組チーム「糖質上糖(とうしつじょうとう)」である。
メンバーは吉田隆聖さん、加古一貴さん、小林篤志さん、松岡律さんの4名。同じロボット部に所属し、ロボコンでも数々の輝かしい実績を残している。
「糖質上糖」は被災時の避難所における「オーラルケア問題」に着目し、「災害備蓄品としてのガム」を提案。結果、イノベーション部門で準優勝を勝ち取った。
準優勝の裏には、やはり並々ならぬ努力があったようだ。質疑応答の練習ではAIを審査員役に見立ててシミュレーションを繰り返し、想定質問への回答資料は本編のスライド数に匹敵するほど準備したという。
役割分担も明確に分け、小林さんはプロ顔負けの商品パッケージをデザイン。松岡さんは誰もが見やすいプレゼンスライドの作成を心掛け、何度もブラッシュアップを重ねた。加古さんは全体を支えるオールラウンダーとして活躍し、吉田さんはリーダーとして自治体や政治家へのアポ取り、情報収集を主に担った。
パートナー企業であるロッテとも綿密にコミュニケーションを取ったほか、メンバーらは埼玉県にあるロッテの研究所を訪れ、実際にガム作りを体験しながら原料の特性を学習。当初は「ガムで栄養補給」というアイデアも検討したが、ロッテ側から「コスト面からも現実的ではない」といったアドバイスを受け、最終的にガムが持っている機能の1つであるオーラルケアに焦点を当てた。
ロッテの担当・小巻翔さんは「高校生でありながら、街頭インタビューなどで生の声を聞き、そこからヒントを得るというマインドは、我々ロッテに共通する部分があります。まったく妥協せず、決勝前日まで資料を修正し続けたバイタリティーも凄かったですね」と振り返った。
大会後も探究は続き、ロッテ提供のキシリトールガム2,100個を使い、自治体や学校の備蓄倉庫に収まるかスペースを確認する"事後検証"も実施したという。
2年連続の快挙! 奈良県知事を表敬訪問し、準優勝を報告
奈良県庁での表敬訪問ではまず、帝塚山高等学校の桑江良幸教頭とマイナビキャリア甲子園を担当する西川和宏教諭が大会の概要と結果を報告。西川教諭は「昨年も表敬訪問させていただきましたが、こうして毎年成果を残せるのは県の皆様のご理解のおかげです」と感謝を述べた。
続いて、「糖質上糖」が山下知事に向けてプレゼンを実践。リーダーの吉田さんは、震災における「災害関連死」の深刻さに着目し、「熊本地震での犠牲者の8割は関連死でした。その大きな要因のひとつが誤嚥性肺炎です。(断水などで)口腔ケアを怠ると細菌や炎症物質が増え、全身に回ることで疾患を引き起こしてしまうんです」と指摘する。
「糖質上糖」は全国156の自治体にメールを送り、オーラルケア用品の備蓄状況を調査。結果、口腔ケア用品を備蓄している自治体はわずか37にとどまる現状を突き止めた。そこで提案したのが、災害備蓄用ガム「XYLITOL-STOCK(キシリトール・ストック)」である。
水が貴重な避難所において、ガムを噛むことで唾液の自浄作用を促し、口腔内環境を改善。さらに、ロッテの「歯につきにくいガム」の技術を応用することで、高齢者や入れ歯の人でも安心して噛める仕様とした。
加古さんは「ガムは水に比べて体積を90%以上削減でき、コストも1日あたり81円と非常に安価です。さらに、被災者同士が異なる味のガムを交換し合うことで、避難所でのコミュニケーション不足も解消できます」とさまざまなメリットを強調した。この提案は、前防災担当大臣の坂井学衆議院議員からも「避難生活の質を向上させ、行政の負担を軽減する」と評価を得たという。
山下知事も「糖質上糖」の提案に関心を示し、「賞味期限はどのくらいか」「ガムを噛むだけで本当に雑菌を消滅させられるのか」などと矢継ぎ早に質問。メンバーらは、「3年程度の長期保存を想定しています」「唾液による自浄作用に加え、キシリトールの効果でむし歯も防ぎます」と回答。
さらに「歯磨きと同じ効果があるのか」という問いには、「洗浄力では歯ブラシに劣るが、水が使えない特殊な環境下での最善策として提案しています」と現実的な視点で答えた。
山下知事は「自治体にとっても非常に関係の深いテーマで、大変参考になりました」と感想を口にし、「帝塚山高等学校は毎年素晴らしい成績を収めており、この分野ではもはやレジェンド。ぜひこの良き伝統を後輩にも引き継いでいってほしいと思います」と最大級の賛辞を贈った。
表敬訪問を終え、リーダーの吉田さんは、「準優勝という結果を報告できて光栄ですし、奈良県知事に直接プレゼンできてとてもいい機会になりました。いつか『キシリトール・ストック』が実際に世に出てくれたら嬉しいですね」と手応えを口にし、県庁を後にした。











