全国の高校生を対象とした最大級のビジネスコンテスト、「マイナビキャリア甲子園2022」の決勝大会が3月12日に開催された。

今年で9年目の開催となった本大会では、数々の審査を勝ち抜いたファイナリスト8チームがビジネスのアイデアをプレゼン。Crimson Global Academy/千葉県立東葛飾高等学校の2人組「Urbanists」チームが総勢2,318チームの頂点に輝いた。

  • 数々の審査を勝ち抜いたファイナリスト8チーム

■過去最多の総勢2,318チームがエントリー

マイナビが主催で2014年から行っている「マイナビキャリア甲子園」は、高校生へのキャリア教育プログラムとしても活用されているビジネスアイデアを競うコンテスト。優勝チームには海外旅行券100万円分が贈呈される。

高校生は2~4人でチームを結成し、協賛企業・団体がそれぞれ出題したテーマを選択してエントリー。書類審査、動画によるプレゼン予選、準決勝を経て決定した各協賛企業・団体の代表チームが決勝の舞台へと進む。

「マイナビキャリア甲子園2022」には過去最多の総勢2,318チーム・総勢8,959名の高校生がエントリーし、決勝には半年以上にわたる審査を勝ち残った8チームの高校生が進出した。

「Next Gate」という本大会のテーマに基づき、各協賛企業・団体が出題した課題に対して各チームが練り上げたビジネスアイデアを10分間でプレゼン。5分間の質疑応答が実施された。

審査員を務めたのはビジネス・ブレークスルー大学 副学長の宇田左近氏、南葛SCマーケティング部長の江藤美帆氏、Senjin holdings CEOで「マイナビキャリア甲子園」OBの下山明彦氏、笑下村塾社長のたかまつなな氏の4名。

「マイナビキャリア甲子園」では書類審査から決勝まで一貫して、「情報収集力」「テーマ分析力」「実現可能性」「持続可能性」「新規創造性」「使命感」の6項目で審査される。決勝大会では全チームのプレゼン終了後に相対的な評価として総合印象点を加点。最終的に総合優勝チームを決定する。

見事、決勝大会へ進出を決めた8チームと授賞結果は以下の通り。

サントリー代表 「孤島女子」江戸川学園取手高等学校
JA全農代表 「ドリンクバー5時間コース」渋谷教育学園渋谷高等学校
J-POWER(電源開発)代表 「くまちゃんとリベロ」女子学院高等学校
生命保険協会代表 「りきゃっぷ」ドルトン東京学園高等部
セコム代表 「BroSis」市川高等学校/巣鴨高等学校/南山高等学校/吉祥女子高等学校(審査員特別賞)
Visa代表 「Urbanists」Crimson Global Academy/千葉県立東葛飾高等学校(総合優勝)
ミツカン代表 「ながったらー」兵庫県立長田高等学校(視聴者賞)
ロクシタンジャポン代表 「KUAS Social Business Lab」京都先端科学大学附属高等学校(審査員特別賞)

■大会史上初、2チームが審査員特別賞を受賞

審査員を務めたたかまつ氏は結果発表前に「高校生がこんなにもしっかりとした思いと、ビジネスプランを持っていることにも、企業側の姿勢にも感動しました。いくつか事業化も検討されているとおっしゃったところもあり、それだけ高校生と真剣に向き合ったからこその言葉なんだろうなと思います」と、全8チームのプレゼンを振り返った。

視聴者賞を獲得したミツカン代表チーム「ながったらー」は、「味ぽんが目指す『半径1メートルのしあわせ』を可視化し、10~20代の若者の共感を得られる、味ぽんブランドの新たな事業を創出せよ」との課題に挑んだ。

同チームが提案したのは「ぽん鍋」なる持ち運び式の水炊き鍋。2層構造の缶詰にジュレ化した味ぽんと加熱処理した具材、加熱剤「モーリアンヒートパック」を封入した商品で、水を加えるだけで素早く鍋全体を加熱できるという。災害食としてローリングストックのサイクルを生み出しやすく、アウトドアレジャーでも人気の商品となり得るという。 高校生の昼食代を踏まえ小売価格を400円とすると、年間の貢献利益は約16億630万円との試算も示した。

  • 視聴者賞を受賞した、ミツカン代表の「ながったらー」

審査員特別賞は、ロクシタンジャポン代表チーム「KUAS Social Business Lab」とセコム代表チーム「BroSis」の2チームが受賞した。同時受賞は本大会史上初めてだそう。

ロクシタンジャポンの出題は、伝統技術の継承、地域の生産者の支援、リサイクル推進など「ロクシタンが掲げる6つの約束の中から2つ以上を選び、選択したテーマを活かして、売上およびブランドイメージを上げるロクシタンの新たな販売戦略を提案せよ」というものだった。

「KUAS Social Business Lab」の2人は、学校で地元企業などと「柿渋」を塗装した紙製品の工業化を進めているそうで、リサイクルに出しにくい化粧品容器の脱プラを提案。

柿渋は和傘や着物、家具などに使われてきた日本の伝統素材で、塗布することで耐久性や耐水性、防虫・防腐効果といった機能性を発揮するという。原料となる渋柿は渋みが強く、野生鳥獣による農作物被害や耕作放棄地が多い中山間地域でも、少ない労力で収穫しやすく、地域の持続可能性につながることもポイントだという。

  • 審査員特別賞を受賞した、ロクシタンジャポン代表の「KUAS Social Business Lab」

また、セコム代表チーム「BroSis」が取り組んだのは、「あんしんできる毎日を実現する、セコムの“遊び心”ある未来サービスとは」という課題。忘れ物を防止し、持ち物の準備を習慣化させる「NFA」(Never Forget Again)なるサービスを発表した。

シール状のタグ、板上のリーダー、専用アプリで構成されたサービスで、ICタグをリーダーが非接触で読み取る技術を用いることで忘れ物を簡単にチェック。通知機能や児童が前向きに準備したくなる仕掛けもアプリに用意するという。

メーカー調査に基づき、レンタル式のサブスクとして月額1300円で販売する想定で、初年度のユーザー数を5校、毎年20校ずつの導入を進めると、6年目の年間売上は約8億円と算定した。さまざまなシーンの持ち物に関するレコメンド機能なども充実させ、幅広い世代に対応するサービスに発展させる構想だという。

  • 同じく審査員特別賞を受賞した、セコム代表の「BroSis」

審査員特別賞の受賞チームにはビジネス・ブレークスルー大学宇田左近氏によるキャリア面談権と図書館10万円分、視聴者賞の受賞チームには図書館5万円分がそれぞれ贈呈された。

■「課題設定の筋の良さ、企画に仕上げていくプロセスに高い評価」

総合優勝を果たしたVisaの代表チーム「Urbanists」は、アメリカの大学が提供しているプログラムで出会い、互いに都市計画や建築に興味関心があることからタッグを組んだというチーム。

課題は「Visaの目指す、インクルーシブで豊かな社会の実現のために、Visaデビットの特長を踏まえ、ストレスフリーな新しい生活様式に取り入れたサービスを提案せよ」というものだった。

同チームは街における若者の居場所不足といった問題を提起。実際に品川区役所へ足を運び、若者のニーズを拾うことが難しい現状などをヒアリングした結果や、高校生の6割がより手軽なインターネットに居場所を見出しているアンケート結果などを紹介した。

その上で2人は、個々の趣味嗜好を深められる居場所探しの機会や若者の声を拾う媒体となるアプリ「emobby」を提案した。

Visa加盟店ネットワークを活用し、18歳未満の高校生でも使用可能なVisaデビットの膨大な購買情報と、アプリの属性情報から「感性データ」を可視化。若者と地域の繋がりをつくるまちづくりプラットフォームを構築することで、イベントなどを通じた共通の趣味嗜好を持つ人との出会いの機会を創造するという。

マイナビ執行役員社長室室長・粟井俊介氏は受賞理由について説明した。

「審査員の皆様の評価のポイントは大きく2点あります。まずはVisaさんが掲げられたインクルーシブで豊かな社会づくりというテーマに対する課題設定の筋の良さ。対象を若者に設定し、若者の声をエビデンスとして丁寧に集めて企画に仕上げていくプロセスに高い評価がありました。もう1点はVisaさんの広範な加盟店ネットワークを資産として活用し、一連の仕組みを提案したことです。一方でもう少し磨き上げが必要な点についての指摘もされましたが、『Next Gate』という本大会のテーマにふさわしいということが、最後の決め手となりました」

  • 見事、優勝を果たしたVisa代表の「Urbanists」

見事、優勝を果たした「Urbanists」チームには行き先や使用期限の制限なしの海外旅行券100万円分と優勝トロフィー、表彰盾が贈られた。