ハーレーダビッドソンが日本で販売するバイクの中でもトップクラスの人気を誇る「ブレイクアウト」。最新型は販売価格326.48万円のプレミアムなモデルで、搭載するエンジンはモンスター級のパワーを持つ。いったいどんな乗り味なのか、試乗してきた。
搭載エンジンは市販ハーレー最大の1,923cc
新型ブレイクアウトは排気量が先代モデルの1,868ccから1,923ccへと増加した「ミルウォーキーエイト117エンジン」(エンジントルク168Nm、馬力102HP)を搭載。ガソリンタンクの容量は18.9Lで先代比約43%増となる。存在感のあるヘビーブリーザーインテークや各部のクロームメッキパーツなどにより、カスタムマシンのようなデザインとなっているところが特徴だ。ボディサイズは長さ2,370mm、シート高665mm、ホイールベース1,695mm。ボディカラーは「バハオレンジ」など全4種類をラインアップする。
今回の試乗で特に注目したのがエンジンだ。1,923ccといえばハーレーの市販モデル最大で、軽自動車でいえば約3台分(!)の大排気量だ。
これだけ排気量の大きいバイクに乗ったことのある人は少ないはず。かくいう私もその1人で、試乗前には「こんなモンスターマシンをちゃんと運転できるのか?」と不安に思っていた。
意外? 走りはかなりスポーティー
多少の心配を抱えながら、さっそく新型ブレイクアウトにまたがってみる。
サイドスタンドを跳ね上げて車体を起こしてみたが、両足がしっかりと地面に接地する。このあたりは、足つき性を重視している最近のハーレーダビッドソンモデルと同様だ。
一方で、ガソリンタンクが視界に飛び込んでくるのは多少気になった。容量増によりガソリンタンクの横幅が大きくなったためと思われるが、しばらくすると慣れてきた。
いよいよエンジンをかけてみる。水冷の「レボリューションマックス」を搭載する「スポーツスターS」や「ナイトスター」とは違い、空冷エンジンが生み出すエンジン音や振動が心地いい。いわゆるハーレーダビッドソンらしさを十分に感じながら、試乗を開始した。
走り出しの低速時は低重心と太いリアタイヤがもたらす安定感がある半面、スピードを上げようとアクセルをひねればすぐさまパワフルな走りが顔をのぞかせる。軽くアクセルを開けただけでグンっと強烈に加速していく感じは、これまであまり体験したことがない。油断していたらその場に置いてけぼりになり、バイクだけが走って行ってしまいそうだ。
ライディングポジションは足を前に投げ出すハーレースタイル。それもあって、走行中はタンクの横幅が気にならなかった。
意外だったのが、取り回しがしやすくスポーティーな走りだったこと。もっと走りに重厚感があって、取り回しにも苦労するかと思っていたが、非常に走りやすい。フロントタイヤが細く、リアタイヤは太いというスタイルによるところが大きいのだろう。ドラッグスタースタイルのデザイン性だけを追求しているわけではないことを実感した。これならロングツーリングも軽快に楽しめそうだ。
今回の試乗では40分ほどお台場周辺を走行してみたが、当初のイメージとは異なり非常に乗りやすいバイクだった。力強くグイグイと加速していくので、普段の一般道走行なら4速までで十分に事足りるだろう。ちなみにギアは6速まで上げられる。
少し残念なのは、そもそもがフルカスタムされているようなバイクなので、自分なりにいじる余地があまり残されていないこと。カスタムはバイクの楽しみのひとつともいえるが、新型ブレイクアウトで思いつくのはハンドル変更くらいだ。それだけ完成度の高いバイクでもあるわけだが、購入したユーザーがどんな風に手を入れていくのかには非常に興味がある。
ハーレーは新型ブレイクアウトや「ナイトスター スペシャル」などの2023年モデルを東名阪のモーターサイクルショーで展示する予定。会期は「大阪モーターサイクルショー2023」が3月17日~19日、「東京モーターサイクルショー」が3月24日~26日、「名古屋モーターサイクルショー」が4月7日~9日となっている。会場には「120周年アニバーサリーモデル」も展示するそうだから、こちらも要チェックだ。