今年のゴールデンウィークは、『RIZIN』に多大な注目が集まりそうだ。4月29日、東京・代々木第一体育館で『RIZIN LANDMARK 5』、5月6日には東京・有明アリーナにおいて『RIZIN.42』が開催される。

  • 朝倉未来vs.平本蓮。“因縁の対決“がRIZINで実現する条件とは?

    4・29代々木『RIZIN LANDMARK 5』で約1年5カ月ぶりのMMAファイトに挑む朝倉未来(写真:RIZIN FF)

4・29『RIZIN LANDMARK 5』では、Wメインエベントとして朝倉未来vs.牛久絢太郎、平本蓮vs.斎藤裕が行われる。ここでの結果、試合内容次第で、“因縁の対決” 朝倉未来vs.平本蓮が実現に一気に動く可能性も─。

■裁判の相手を意識するのか?

朝倉未来(トライフォース赤坂)vs.平本蓮(剛毅會)は実現するのか?
その注目度の高さが、3月3日に東京・銀座で開かれた『RIZIN』の記者会見でうかがえた。 この日の発表事項は、4月29日、東京・代々木第一体育館『RIZIN LANDMARK 5』の対戦カード。だが、集まったメディアが注視したのは朝倉未来と平本蓮の久しぶりの遭遇だった。

二人の関係は険悪だ。
長きにわたりSNS上、あるいは記者会見等でトラッシュトーク合戦を繰り広げてきたが、昨年の終わり頃からさらにエスカレート。そして今年に入り、「誹謗中傷が過ぎる」と朝倉が訴訟を宣言し、その後にツイッターのアカウントを閉じた。それでも平本の挑発は止まらない状況にある。

『RIZIN LANDMARK 5』に両者は参戦。朝倉は前フェザー級王者の牛久絢太郎(K-Clann)、平本は元同級王者・斎藤裕(パラエストラ小岩)と対戦する。しかし、メインテーマそっちのけで会見の流れは「朝倉vs平本」に傾く。
まずは“平本劇場”─。
通訳と称した黒人を壇上に呼び入れ、彼のコメントと称し、
「格闘家がトラッシュトークで訴えるとか、クソビッチかよ。朝倉未来」と発言。
その後、メディアから「裁判の相手を意識するのか?」と問われると、
「新しい時代の格闘技スタイルなんですかね。ブレイキングダウンが、早くぶっ潰れてしまえばいい!」とさらに口撃。

それを冷めた表情で聞いていた朝倉も言う。
「まあ(平本のことを)意識はしています。(斎藤裕に)勝つようなことがあればだけど。でも平本は絶対に勝てないから、いまのところ眼中にないですね」

平本は、朝倉とすぐにでも闘いたいと前のめり。だが、朝倉は乗り気でない。
それは、そうだろう。
これまでのRIZINでの戦績では朝倉が明らかに格上。
朝倉/10勝(4KO&一本)2敗
平本/2勝2敗
数字だけでなく、闘ってきた相手のレベルも朝倉が上位だ。

  • 3月3日、東京・銀座での記者会見でも朝倉未来を挑発した平本蓮(写真:RIZIN FF)

  • 「平本は(斎藤裕に)絶対に勝てない」と記者会見で話した朝倉未来(写真:RIZIN FF)

■平本の勝利が実現への絶対条件

朝倉にとって平本戦はメリットが少ない。勝っても周囲からは「実績を考えれば当然」と見なされる。もし負けるようなことがあれば、現役生活に終止符を打つことになるかもしれない。
(平本と絡んだことで、彼のネームバリュー・アップにさんざん利用されてしまった。もうこれ以上は絡みたくない)
そんな思いも垣間見える。
逆に、平本にとってはメリットが大きい。
朝倉を倒したならば、一気に「世代交代」を遂げられる。加えて勝つ自信もあるのだろう、だから対戦実現に向けガンガン攻める。そして、多くのファンが「因縁の対決を観たい」と願っている。

では、いかなる条件が揃えば両者の対戦は実現するのか?
4・29代々木大会で、生じる結果は次の4パターン(無効試合の可能性もあるが、それは除く)。

  1. 朝倉、平本がともに勝つ。
  2. 朝倉が勝ち、平本が負ける。
  3. 平本が勝ち、朝倉が負ける。
  4. 朝倉、平本がともに負ける。

1なら、一気に機運は高まろう。クレベル・コイケ(RIZINフェザー級王者/ボンサイ柔術)への<次期挑戦者決定戦>とも銘打たれての闘いとなる。3の場合も、朝倉が平本の対戦要求を受け入れざるを得ない状況が作られよう。4ならトーンダウンだが消滅には至らない。
ただ、2だけは直接対決が遠のく。
「平本蓮は、まだ俺と闘うレベルに達していない」
朝倉は、そう言い放ちクレベルとのリマッチを求めることになろう。
つまり、“因縁の対決”実現には平本が斎藤に勝つしかないのだ。

  • 昨年11月、名古屋『RIZIN LANDMARK 4』で弥益ドミネーター聡志に圧勝した平本蓮(写真:RIZIN FF)

平本は、斎藤に勝てるのか?
この予想は難しい。展開次第で、いずれに勝利が転がり込んでも不思議ではないからだ。 MMAでの実績を重視すれば「斎藤優位」の予想となる。総合力でも斎藤が上位で、グラウンドの展開に持ち込めれば彼が勝機を見出す。それがセオリーだ。

ただ、打撃力では明らかに平本が上。スタンドでの攻防でパンチをクリーンヒットできれば一気に試合を決めることができる。さらに死闘を重ねる中で、全盛期に比して斎藤の耐久力が低下しているようにも思え、ここも突きどころとなるのか。サウスポーでの「カラテ構え戦法」がMMA上位選手に対して、どこまで通用するかも見どころである。
熱き闘いは必至。そして、次戦で平本が勝てるか否かに“因縁の対決”の実現はかかっている。

文/近藤隆夫