ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて、2月24日で1年が経った。世界中からウクライナへの支援が続いているが、日本国内からもまたひとつ新たな支援の動きが。
買取専門店「買取大吉」を展開するエンパワーが、このたび一般社団法人 全国心理業連合会(以下、全心連)と業務提携契約を締結。これに伴い2月23日、ウクライナ避難民支援を目的とした「買取大吉モノ募金」チャリティーイベントを東京・渋谷で開催した。
この日のイベントにはウクライナからの避難民も数多く参加した。今回は、新たな寄付プロジェクト「買取大吉モノ募金」の詳細とともに、イベントの模様をレポートしよう。
■ブランド品を現金化して寄付金に! 新プロジェクト「買取大吉モノ募金」とは
エンパワーが手掛ける「買取大吉」は、全国に約650店舗を展開する買取専門店の最大手。ブランド品や腕時計、宝石、貴金属類のほか、チケットやカメラ、洋服まで、あらゆる「物」を買い取っている。
そのエンパワーと業務提携契約を結んだ全心連は、心理カウンセラーの業界団体として、心理カウンセラーの育成や心のケアボランティアなど、幅広い角度から「心の問題」に寄り添うボランティア活動に取り組んでいる。2022年5月には、「ウクライナ 心のケア交流センター」を東京と大阪に開設し、ウクライナ避難民への支援を日々実施している。
この日のチャリティーイベントで登壇したエンパワーの代表取締役社長・増井俊介氏は、「開戦から1年が経ち、我々にも何か支援ができないかと悩んでいた。そこで今回は全心連とご縁をいただき、買取大吉という買取専門の事業領域の中で、新たな取り組みを始めようと考えてプロジェクトを立ち上げた」と説明した。
エンパワーが新たに立ち上げたプロジェクトは、「買取大吉モノ募金」という寄付プログラムである。増井氏は「これは皆さんが使わなくなったものを弊社が買い取って、その買い取り金額をそのままウクライナに現金で寄付して渡すという取り組み。このプロジェクトによって、微力ながら少しでも皆様の力になりたいと思っている」とその趣旨を訴えた。
自宅で眠っているブランド品をそのままウクライナ市民に送っても、直接的な支援には結びつきにくい。しかし、買取大吉を通して現金化すれば、現地の人々が必要とするものの購入などに充てることができる。実際、現金化した寄付金は、ユニクロのヒートテックのような温かい肌着や、防災用ランプなどの必需品に変えてウクライナへと送られる予定だという。
この日のイベントでは、美容家のトニー海渡氏が実際に私物のブランド品などを持ち込んだ。トニー海渡氏は「自宅で眠っている貴金属や使わないブランド品が少しでもウクライナの支援に繋がるなら、と思って今日は伺った。微力ながら、何かお手伝いできればうれしい」とチャリティーに参加した理由を語った。
トニー海渡氏が持ち込んだのはグッチ、シャネル、ディオールなど、合計5点のブランド品。これらを買取大吉の査定師が時間をかけて丁寧に査定したうち、グッチのバッグは5万円の査定額がつけられた。
「買取大吉モノ募金」は、買取金(今回の場合は5万円)に対し、さらにエンパワーが10%を会社として上乗せ(今回の場合は5,000円)し、ウクライナ支援を行う全心連への寄付金に当てるというシステムだ。
「買取大吉モノ募金」は全国の買取大吉で実施予定で、寄付希望者の自宅に査定員を派遣する「出張査定形式」を採用。外出する必要もなく、気軽に利用できる。しかも、全心連への寄付手続きはエンパワーが代行するため、複雑な手続きは一切ない。
イベントでは他にも、ウクライナ正教会の神父による祈りの言葉やキャンドルリレー、日本人アーティストによるAIアートのライブペインティング、二胡演奏なども披露され、これらのセレモニーのあとにはウクライナの家庭料理や寿司などが振る舞われ、会場に集まったウクライナ避難民の心を癒やした。
今回は、「買取大吉モノ募金」の支援先の1つとして、全心連へウクライナチャリティーを始動したが、すでにさまざまな支援団体から問い合わせがあるそう。来年には100社を超える団体との競業を予定しているという。また、近日中には寄付先を選べるような仕組みを構築中とのこと。今後も「買取大吉モノ募金」の支援の輪に注目だ。