JR東日本が導入する山形新幹線の新型車両E8系。グリーン車・普通車の通路中央部に最上川をモチーフとした柄を通すなど、山形の風土を生かしたインテリアデザインとなっている。写真とともにE8系の車内設備等について紹介する。

  • 新型車両E8系のグリーン車。座席は緑色を基調としたカラーリングに(提供 : JR東日本)

新型車両E8系はグリーン車1両・普通車6両の7両編成で、定員は1編成あたり352名。グリーン車となる11号車の定員は26名に。普通車の定員は12号車36名、13号車66名、14号車62名、15号車62名、16号車58名、17号車42名とされている。

E8系におけるインテリアデザインのコンセプトは「乗車の始まりから終わりまで山形の風土とお客さまの心を結びつけるデザイン」。グリーン車は横4列(2列+2列)を基本とし、通路中央部に最上川をモチーフとした柄を通したほか、針葉樹林の広がる月山の緑色と最上川の水面のゆらぎを座席カラーで表現している。県木である本桜を取り入れ、新庄亀綾織の光沢感や鋳物を感じさせる質感により、山形の上質な旅を演出する。

  • 新型車両E8系の普通車。黄色から紅色へのグラデーションを座席カラーに採用(提供 : JR東日本)

  • 全席の肘掛下にAC100Vコンセントを設置している(提供 : JR東日本)

普通車も横4列(2列+2列)の座席配置に。通路中央部に最上川をモチーフとした柄を通し、紅花の陽に照らされる黄色から抽出される紅色へのグラデーションを座席カラーに採用した。藁細工の温もりある色彩に加え、鋳物を感じさせる質感も取り入れ、山形の豊かな風土を表現している。

快適な移動空間を提供するため、全席の肘掛下にAC100Vコンセントを設置。全号車に大型荷物置場(スーツケース対応)も設ける。バリアフリー対応設備の充実も図り、グリーン車(11号車)の客室後方に車いすスペース等を用意したほか、普通車(12号車)も改良型ハンドル形電動車いす対応の車いすスペースを3席分用意。12号車のデッキ部(11号車寄り)に多機能トイレと多目的室も設けた。トイレ・洗面所はその他、14号車(洋式トイレ)、15号車(洋式トイレと小便所)、16号車(洋式トイレと小便所)にも設置されている。

  • 普通車(12号車)の客室内に設けられた3席分の車いすスペース(提供 : JR東日本)

  • 12号車の多機能トイレ。長時間の停電等が発生しても通常通り水洗トイレを利用できるという(提供 : JR東日本)

なお、E8系では停電対応トイレを採用しており、長時間の停電等が発生した場合でも、一部トイレの電源をバッテリーに切り替えることにより、通常通り水洗トイレを利用可能にしているとのことだった。E8系の空調装置については、主要諸元表に「集中方式 冷房 : 54.66kW(47000kcal/h)、暖房 : 32kW(27500kcal/h)」と記されていた。

車外設備に関して、E8系は積雪寒冷地を走行することから、車両への着雪対策として台車部にヒーターを搭載。輸送の安定性向上をめざすとしている。

  • ヒーター内蔵台車カバー。車両への着雪対策として台車部にヒーターを搭載(提供 : JR東日本)

  • 新型車両E8系の外観イメージ(提供 : JR東日本)

  • 2月24日の報道公開で披露された新型車両E8系

E8系は2月末以降、約1年間にわたって東北・山形新幹線で試運転を実施。2024年春に予定される営業運転開始に向け、車両性能の確認等を目的として行われる。2026年春までにE8系を計15編成新造する計画で、山形新幹線の既存車両(E3系1000番代・2000番代)を順次置き換えていく。