――有村さんからたくさんの学びがあったようですが、ほかにもご自身とって大きな経験になったことがありましたら教えてください。

今泉(力哉)監督の演出がすごくて、その演出のおかげで、自分がイメージしていたよりもオカジに近づけたのかなと思います。基本は任せていただいていましたが、こういうシーンにしたいとイメージを言っていただくことが多く、どれも「そうだよな」と思うようなことばかりでした。

――今泉監督の演出によって引き出されたものも多くあったわけですね。

そうですね。アドリブも多い現場で、なかなかカットがかからないので、アドリブを鍛える練習になりました(笑)。マコトに宿題を教えているシーンなどは8割くらいアドリブです。

――ほかに印象に残っている撮影エピソードがありましたら教えてください。

珍エピソードだと、有村さんと海に入るシーンで、撮影は3月、しかもすごく浅瀬だったのにクラゲに刺されたんです。痛かったですが、「そんなことある!?」という驚きと面白さが勝ちました(笑)。

――豊嶋さんだけ刺されてしまったんですね?

はい、私だけ。有村さんはすごく心配してくださって、やっぱり優しい方だなと思いました。

――オカジはちひろさんのことが好きで追いかける場面もありますが、豊嶋さんは好きで追いかけている人はいますか?

俳優の清水尋也さんがすごく好きで、いつかお会いしたり共演できたらいいなと思っています。謎の魅力にとても惹かれていて、作品を見ていて「この人、素敵だな」と思ったら清水尋也さんだということがよくあるんです。

――清水さんの作品で特に印象に残っている作品は?

映画『さがす』はすごくよかったです。作品によって全然違う役を演じられていて、私も幅広い役を演じられる女優さんになりたいです。

――最後に、『ちひろさん』をどんな方に見てもらいたいかお聞かせください。

ネガティブに物事を考えてしまう人がいると思います。私もネガティブ思考で、ものすごく落ち込むときがありますが、ちひろさんはそういうときに会いたくなる人です。皆さんも、ちひろさんに会いたいな、元気がほしいなと思ったときに見ていただきたいです。

■豊嶋花
2007年3月27日生まれ、東京都出身。2008年、1歳のときから芸能活動を開始し、数々のドラマや映画に出演。主な出演作は、連続テレビ小説『ごちそうさん』、大河ドラマ『八重の桜』、ドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち』『キッドナップ・ツアー』『トットちゃん!』『青のSP-学校内警察・嶋田隆平-』、映画『外事警察 その男に騙されるな』『真夏の方程式』『恋妻家宮本』など。2021年に放送された「大豆田とわ子と三人の元夫」では、大豆田唄を演じ一躍注目を集める。その後、ドラマ『みなと商事コインランドリー』『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』などに出演。『瑠璃も玻璃も照らせば光る』ではドラマ初主演を務める。現在放送中の大河ドラマ『どうする家康』にたね役で出演。Netflix映画『ちひろさん』(2月23日世界配信&全国劇場公開)でオカジこと瀬尾久仁子役を演じた。

ヘアメイク:石川奈緒記 スタイリスト:岡本純子