帝国データバンクは2月16日、「金融政策10年の評価と今後に関する企業アンケート」の結果を発表した。調査期間は2023年2月10~14日、調査対象は同社調査協力先企業(同社の独自抽出による)、有効回答は1,008社。

黒田総裁の金融政策の評価、平均65.8点

  • 10年にわたる金融政策への評価

2023年4月8日、日本銀行の黒田総裁は任期を終了する。そこで黒田総裁のもとで約10年にわたり行われた金融政策(大規模金融緩和や2%の物価目標など)への評価について、100点満点で評価した場合、何点になるか質問したところ、平均は65.8点だった。

点数の分布をみると、「80~89点」が22.2%で最多。以降、「70~79点」が18.1%、「90点以上」が14.5%、「60~69点」が13.4%、「50~59点」が13.3%と続いた。

企業からは「金融政策に関して出だしは良かったが、その後は金融緩和政策に固守しすぎている」(工業用プラスチック製品製造、70点)など、「大規模な金融緩和が事業環境や為替・株価などに相応の効果をもたらしたと、政策スタート時を評価する一方で、その後も方向転換することなく10年という長きにわたり一貫して緩和政策を続けたことへは厳しい意見が多く出た」(同調査)。

また、「どこかの時点で金融緩和の見直し方針を打ち出さなかった事で、円安が定着した。後半は失策と言わざるを得ない」(金属線製品製造、40点)など、副作用を指摘する声も目立ったという。

今後(1年程度の間)の望ましい金融政策の方向性について聞くと、「金融緩和の縮小」が39.6%と最も多く、次は「現状維持」で36.4%。この他、「金融緩和のさらなる拡大」は17.6%、「金融引き締め」は6.4%となった。