• (C)NTV

安藤ら出演者たちも、リアル感を出すために様々な工夫を現場で行っている。1周目で死ぬときは、パピコを食べて手が汚れてしまったため、コンビニのおしぼりを使おうと開いた袋の切れ端が道路に飛んでしまい、それを拾おうとして車にひかれてしまうという亡くなり方だったが、実は台本上にはそこまで詳細に書かれていなかった。

「何かを落とすというのは結構難しい動きだという話に現場でなり、ちょうどパピコを触った後だから、おしぼりを出そうというアイデアが出てきました。こういう細かい動きは、夏帆さんや木南さんからも、携帯を見ながらしゃべるとか、ハンドクリーム塗りながらしゃべるとか、リアルに見せるためにやってくださっています」

安藤はモノローグ(心の声のナレーション)も多いが、幼少期や青春期で役者が違うときは、安藤が自宅でその部分をスマホで録音したものを現場でスタッフに渡し、その仮で録ったモノローグに乗せて演技している。さらに、編集したものを見たバカリズムが「ここ、こんなふうに言った方がもっと面白いかな」とセリフを変えて、本番の録音をすることもあるそうで、小田プロデューサーは「アフレコ大喜利みたいで、升野さんならではの匠の技だなと思います」と感服した。

  • (C)NTV

■経験が生きるテレビ局編、クランクアップシーンに感動も

麻美は3周目の人生で日テレのドラマプロデューサーになったが、これは小田プロデューサーが今作と別にバカリズムと考えていた「実名でテレビドラマの舞台裏を描くドラマ」という企画が発端で、「テレビドラマを作ることの面白さを伝えたいという思いとかは全くなくて、市役所、薬局と来て、少し毛色の違う仕事にしようとなったのがテレビ局だったんです。実在するものにこだわってきた以上、日本テレビでやるしかないだろうということで、こういう形になりました」と説明。

だが、小田プロデューサーは自身と重なる部分が多いだけに、感慨深い気持ちにもなったという。

「私は『ズームイン!!SUPER』という情報番組をやった後にバラエティに異動して、今ドラマにいるんですけど、過去の番組映像を使用するにあたって、情報番組時代やバラエティ時代の人とやり取りをすることが多くて、これまでのテレビ局人生で培った人間関係が生かされたことをうれしく思います。しかも、その映像が出てくると、当時の関係者からたくさん連絡が来たりして。このたび思わぬ形で、自分が入社20年でやってきたことを振り返ることになりました(笑)。4話で麻美が『肉体的には今までの仕事の中でも一番ハードだったけど、その分の達成感があった』と言うセリフ(モノローグ)があって、台本を読んだときはそんなにグッと来なかったのに、編集したときに、そのモノローグにかかる画が、クランクアップのときに撮影現場でみんなと一緒に拍手してる麻美なんですけど、サクラさんの表情がすごく良くて、なんだか感動しちゃいましたね」

  • クランクアップシーンの麻美 (C)NTV

そんな小田プロデューサーに、もう1周自分の人生を歩めるとしたら、またテレビ局に入ってドラマ制作をしたいかと聞くと、「ぶっちゃけ思わないかも(笑)」と回答。

それでも、「ドラマ班に異動して8年、念願だったドラマの現場にもすっかり慣れてきてしまっていた中、このドラマはものすごく刺激的なんです。今までやったことないようなことをたくさんして、そのこだわった部分がちゃんと面白いものとして届いているという実感があるので、とても良い気持ちで仕事をしています」と、充実の表情で語った。

  • (C)NTV

今後の展開については、「これから4周、5周としていくんだろうと予測する人もいると思うのですが、テレビ局編の後に、皆さんの想像をはるかに超えることが待っているということを言っておきます。だんだん『えっ? そんなことに!?』となって、また1話を見返すと、『あれが壮大な前フリだったのか…』となるので、覚悟しておいてください(笑)」と自信を持って予告。

その上で、「途中から入ってきて、その話だけ見てもクスリと笑える、不思議な日常を描いたコメディーになっています」とアピールした。

●小田玲奈
1980年生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部卒業後、03年に日本テレビ放送網入社。『ズームイン!!SUPER』『メレンゲの気持ち』『アナザースカイ』『有吉ゼミ』など情報番組・バラエティ番組を担当した後、『家売るオンナ』(16年)で連続ドラマを初プロデュース。その後、『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』『知らなくていいコト』『恋です! ~ヤンキー君と白杖ガール~』『悪女(わる)』『名探偵ステイホームズ』などを制作。バカリズム脚本のドラマは『ブラッシュアップライフ』のほか、『生田家の朝』『住住』『ノンレムの窓』を手がける。