フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)で、5日に放送された『私が踊り続けるわけ2 ~56歳のストリッパー物語~ 前編』(TVer・FODで見逃し配信中)。日本最高齢と言われるストリッパー・星愛美さん(56)とそのファンたちを追った作品だ。

取材した大里正人ディレクター(オーディンプロダクション)は、愛美さんのステージを初めて見たときに衝撃が走ったというが、彼女にどんな魅力を感じているのか。12日に放送される後編の見どころを含め、話を聞いた――。

  • 日本最高齢ストリッパーの星愛美さん (C)フジテレビ

    日本最高齢ストリッパーの星愛美さん (C)フジテレビ

■ステージで踊る姿に「鳥肌が立つ」

愛美さんと出会う前から、ドキュメンタリーの取材対象としてストリッパーを撮ってみたいと思っていた大里D。「あまり見たことのない世界であるということが一番の理由です。それと、見に来る人も含めて、いろんな人生を背負っていて、そこから何か見えてくるものがあるのではないかと思って、興味を持ちました」(大里D、以下同)と話す。

そんな中、知人から愛美さんを紹介されて、東京・池袋の劇場で初めて彼女のステージを見ると、大きな衝撃を受けた。

「とにかく身体能力がすごいんです。劇場によっては舞台が回転するのですが、そこはしないところなので、愛美さんは片足を高く上げてその状態で自分が回転するんです。動きの速さや美しさもすごいですし、今までイメージしていたストリップとは全然違うもので、しかも当時53歳という年齢でそれをやっていたので、これはぜひ追いかけてみたいと思いました」

そのフィジカル面に加え、「とても礼儀正しくて謙虚な方で、素敵な女性だなと思いました。本人は『多重人格だ』と言うんですけど、昔のアイドルみたいな感じが残ってるし、しっかりしてる女性の部分もあるし、キャピキャピ楽しむ部分もあるし、深刻に考える部分もあるし、そのときによっていろんな姿を見せてくれるんです」と、人柄も魅力的。

さらに愛美さんのことを知るため、3時間程度のロングインタビューを実施。そこで明かされたのは、中学生時代に歌手になれると騙されてセミヌードのモデルをやらされ、落ちこぼれて暴走族の仲間に入り、15歳までに2度の妊娠・中絶。19歳で結婚・死産を経験し、21歳で離婚。セクシー女優を経て23歳でストリップに行き着くも、信じた人に騙され続けて借金を背負い、水商売から再びセクシー女優となり、37歳で子宮がんが見つかって7年の闘病生活を乗り越え、45歳で再びストリップの舞台に戻ってくるという壮絶な人生だった。

ステージに上がる前と後では全く雰囲気が違うといい、その切り替わりに「本当に震えるときがあります」とのこと。「彼女のステージは、自分の人生を重ねて踊っているように見えて、鳥肌が立つときもあります。愛美さんと出会って、ストリップにはそういう側面がある深みのある世界だということを知りました」といい、「星組」と言われる熱心なファンたちに慕われる魅力はすぐに理解できたそうだ。

  • ステージで踊る星愛美さん (C)フジテレビ

■前回放送後に女性ファンが急増

前回の放送を受け、愛美さんも「星組」の人たちも喜んでくれたそうだが、一番の大きな変化は「愛美さん自身が戸惑うくらい」劇場に女性ファンが増えたことだ。

「特に女性たちは、彼女にどこか共感する何かを感じているように思います。だから、愛美さんに自分のことを聞いてほしくて、手紙で相談したりしているんですよ。誰しもが、言えないけど誰かに聞いてほしいことってあると思うんですけど、愛美さんのことを慕ってファンになっていく人は、自分のことを分かってほしいという部分が、みんなあるのではないかという気がします」

  • (C)フジテレビ

前編では、「星組」の中心メンバーであるスーさんと、愛美さんの最後の別れのシーンが描かれたが、後編については、「愛美さんは、スーさんがいなくなったときが引退するときだと話していたのですが、これでストリッパーを辞めてしまうのか。大事な人を失った後にどう乗り越えていくのか、心の中でどう整理していくのかを、ぜひ見ていただきたいと思います」と予告している。

前編は、『ザ・ノンフィクション』で初めて、TVer・FODでの無料見逃し配信を実施。前作となる『私が踊り続けるわけ ~53歳のストリッパー物語~』は、FOD『ザ・ノンフィクションMASTERPIECE』で配信されている。