ユネスコが発表した世界の難しい言語ランキングで世界5位に選ばれたこともある日本語。難しさの原因は、「ひらがな」「カタカナ」「漢字」と3種の文字で構成されていること、同形異音語が多すぎること、表現の多さ、世界でも珍しいオノマトペの存在、などなど。その中でもやっかいなのは、状況などによって意味合いが変わる微妙なニュアンスをもった表現ではないでしょうか。こればかりは人工知能をもってしても難しかった?

人工知能には訳せない日本語20選

  • (Twitter こあたん🇦🇺こあらの学校@KoalaEnglish180 より引用)

最近人気の多言語翻訳用のデバイスやアプリ。人工知能を活用することでかなりの進化を遂げていて、外国語が苦手な海外旅行者の必帯アイテムになっているようです。ただ、人工知能をもってしても難しいのが日本語の微妙なニュアンスを持った表現。

「行けたら行くわ」を“I don’t wanna see you”と訳されちゃったら困りますよね。一方で「明日からやる」を“I never do it”と訳すなど、身もふたもないというか、ある意味本質をついた翻訳にもなっていて、見ていてホントに面白い! フォロワーたちからも笑いとツッコミが…

「大爆笑」「これは日本語でも間違えるときがありますね」「婉曲表現がやっぱり苦手なのかな」「Let's make loveはなんかオモロいなぁw」「怒らないから言って→I'm so angry! 」「押すなよ絶対押すなよ」「本音に直訳しているAIって事ですね。利口ではあるけど野暮でもある」などなど。投稿者であり、こあらの学校の校長であるこあたんさんにお話を伺いました。

■投稿者に聞く

……日本語ってやはり難しいでしょうか。

以前、英語習得が難しいと思っている日本人の方向けに投稿したことがありますが、実は日本語のほうがもっとヤバいです。…という「ヤバい」が「カッコいい」の意味合いから「この状況は良くない」という場合もあるといった具合に意味が多様で、ホントに習得が難しい。その難しい日本語が身についているくらだから、英語習得も頑張ってというメッセージを込めました。

……人工知能を使った日本語翻訳の難しさというか面白さに気づいたのは?

最近の翻訳ツールの進化は目覚ましいものがありますよね。私はオーストラリアに住んでいますが、日本から来る旅行者の多くが何らかの翻訳デバイスやスマホのアプリとかを活用しているようです。でも、難しい日本語ですから、なかなか上手く翻訳できていないなという場面も見かけてきました。それで興味をもって自分でも人工知能翻訳を試してみたところ、明快な日本語は良いのですが、微妙なニュアンスを含む言葉の翻訳には限界を感じました。

……人工知能翻訳がある世の中での英語学習についてどう考えられますか。

翻訳ツールはとても便利ですし、コミュニケーションがスムーズに行くことも多いと思います。それに翻訳ツールを実践的に使うことで覚えることが多いと思います。ただ、自分の意見をいう時や微妙なニュアンスを含む場合は、やはり人工知能ではなく、自分の頭脳で考える必要があります。英語の表現って日本語に比べてストレートなんですよね。要は何が言いたいのか、伝えたいのかを考えて表現するほうが誤解が少ないと思いますよ。英語を学ぶことは、その文化を学ぶこと、英語での思考方法を学ぶことでもあります。翻訳ツールは便利ですが、あまりに頼りすぎていると大切な英語学習の機会損失になってしまうかもしれません。

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