フォーラムや忘年会、卒業式などで多くの人が集まる際に使われる「一堂に会する」という表現。実は「一同に会する」「一堂に介する」など変換ミスの多い表現でもあります。
この記事では、「一堂に会する」の意味や読み方、例文や言い換え表現などを解説します。
「一堂に会する」とは
「一堂に会する」の読み方
「一堂に会する」は「いちどうにかいする」と読みます。
「一堂に会する」の意味
「一堂に会する」とは、人々が同じ場所に集まることです。「一堂」とは同じ建物や部屋のことであり、「会する」とは人々があるところに集まることです。そのため、「一堂に会する」で、多くの人が同じ場所に、同じタイミングで集まることを表します。
「一堂に会する」を「一同に介する」と表記するのは誤り?
「一堂に会する」を「一同に会する」「一同に介する」と表記しているのを目にすることもあるかもしれませんが、これは誤りです。
会議で部署の全員が集まる時など、「スタッフ一同が集まるのだから『一同に会する』ではないか」と勘違いされがちです。
しかし、「一堂に会する」は、「同じ建物や部屋に集まる」という意味であり、集まる対象も会社や学校の仲間に限りません。意味を理解していれば間違えにくいでしょう。
「一堂に会する」の使い方・例文
ここでは、「一堂に会する」の使い方や例文を紹介します。
「一堂に会する」の使い方
「一堂に会する」は多くの人が一所に集められた、または集まった状態を指します。卒業式や入学式、会議などで人が同じ建物内や集まっている様子を表すのに適しているでしょう。
また集まるものは人に限りません。展示会などで企業や展示品が集まっていることに対しても使えます。集まる場所も実際の物理的な建物や部屋に限りません。インターネット上のオンライン会議や株主総会、イベントなどについても、同時に接続されて皆が顔を合わせるケースでは「一堂に会する」といえます。
ただし、「一堂に会する」は全員が同じ目的を持ってその場に集まっている必要があります。観光地などに多くの人がいたり、バスや電車が混んでいたりしていても「一堂に会する」とはいえません。
「一堂に会する」の例文
- 今後の方針を決めるために、会社の役員たちが一堂に会する会議が行われた。
- 姪の結婚式には親戚たちが一堂に会し、盛大に行われた。
- イベント会場には、最新のIT技術を誇る会社が一堂に会していた。
- 全株主が一堂に会する株主総会が、オンライン上で開催された。
「一堂に会する」の類義語・言い換え表現
「一堂に会する」の類義語や言い換え表現を知っていると、より状況に合わせた適切な表現を選択できます。相手の立場に立った伝わりやすい文章を書くためにも、言い換え表現を知っておきましょう。
集合する・集まる
「一堂に会する」はあまり普段の会話中には使われない表現です。会話中で使うのであれば「集合する」や「集まる」のほうが伝わりやすいでしょう。
顔を合わせる
「会う」「共演する」という意味で「顔を合わせる」を使うこともできるでしょう。「顔を合わせる」は1対1で会う際や対戦相手として出会った時にも使えるため、「一堂に会する」よりも範囲が広い言葉です。
勢揃いする
多くの人やものが1か所に集まるという意味の、「勢揃いする」を言い換えに使うこともできます。
揃い踏み
「揃い踏み」とは、もともと相撲用語で力士が土俵の上に並び、揃って四股を踏む様子を指します。そこから転じて、優れた人やものが勢揃いする様子のことも「揃い踏み」と表現するようになりました。特に専門家や能力ある人たちが一堂に会する際に「揃い踏み」と表現するとよいでしょう。
「一堂に会する」の対義語
ここでは、「一堂に会する」の対義語を紹介します。
離散する
「離散する」とは、散り散りになる、離れるという意味の言葉です。家族やその土地に住んでいた人など、もともとはまとまりを持っていた人たちがばらばらになることを表します。
離れる
「離れる」とは、くっついていたものが分かれることや、ものとものの間に隔たりがあることを指します。物理的に距離が隔たることだけでなく、心に隔たりができることや思い入れ、関係性などが失われることにも使えます。
三々五々
「三々五々」とは、人が3人や5人のような小集団を作ってパラパラと点在したりする、あるいは歩いたりする様子のことを指します。人そのものは存在しているものの、1か所に集まることなく別れている状態を示します。人だけでなく家や動物の群れなどについても使える表現です。
散会する
「散会する」とは、集まりや会議が終わった後に人々が帰ることを指します。人々が「一堂に会」した後、目的を遂げて帰る時に使えるでしょう。
「一堂に会する」の英語表現
「一堂に会する」を1語で表現する英語はありません。「一堂に会する」を英訳する場合は「××に人が集まった」のように意訳しましょう。「gather」「meet together」などに、状況に合わせて場所や動詞を変更するとよいでしょう。
「一堂に会する」は同じ建物内に人々が集まること
多くの人が同じ場所に集まるという意味の「一堂に会する」。
もともとはお堂などに大人数が集まり直接顔を合わせることに対して使いましたが、現在はオンライン上でも全員が集まる状況が作れれば「一堂に会する」と表現します。「一堂」と「一同」などの変換ミスをなくすためにも、どんな意味の言葉なのか正しく理解しておきましょう。