状況にあわせた応援の言葉で同僚を励ませるスキルは、仕事でのコミュニケーションを円滑にする上で重要です。「頑張れ」は応援の言葉の代表ですが、状況によっては相手を傷つけることになるかもしれません。
そこで今回は、同僚や得意先の方を応援するときの言葉やマナーについて説明するとともに、「頑張れ」以外の応援の言葉や、すぐ使える例文、気の利いた言い回しを紹介します。
応援の言葉が必要になるビジネスシーン2つ
ここでは、応援の言葉をかける必要があるビジネスシーンを2つ紹介します。
トラブルやミスを起こしてしまった直後
同僚や後輩がトラブルやミスを起こしてしまった直後は、応援の言葉をかけてフォローしてあげましょう。ミスを起こしてしまった人にとっても、応援の言葉があることで、精神的な支えになります。
その一方で、ミスをしてしまった直後は、ショックと焦りで頭がいっぱいになり、他人の言葉を受け入れる余裕がないことも多いです。
そのため、必要なのは「優しく見守り相手を受け入れること」になります。「困ったことがあればいつでも頼ってね」ということを、優しく伝えるのが効果的です。具体的には、以下のようなフレーズを活用してみましょう。
- 大変だったんだね。
- 落ち着いたらいつでも声をかけてね、話を聞くよ。
- 代わりにできることがあったら、何でも気軽に言ってね。
傷ついている相手を配慮し、柔らかい表情で落ち着いて語りかけることも大切です。
トラブルやミスを起こして時間が経ち落ち着いた頃
次に、「トラブルやミスをしてから少し時間が経ち、気持ちが落ち着いた頃」にも、応援の言葉をかけてあげましょう。
この頃になると、相手はショックから立ち直り、比較的冷静に物事を考えられるようになっています。そのため、このタイミングでの励ますときは、「相手の頭のなかを整理できるよう、話の聞き役になること」と「相手の気持ちに共感し、自信をつけてあげること」を意識して、応援の言葉をかけてあげるのがポイント。
自分が何かを語るのではなく、相手の話を聞いてあげることが1番の励ましになります。相槌として、以下のようなフレーズを活用してみましょう。
- そんなに大変だったのに、やり切ったのすごいね。。
- そんな辛いことを乗り越えたんだから、きっといいことがあるよ。
- 確かにね、気持ちがわかるよ。
「頑張れ」を使うときの注意点
励ましのフレーズとしてよく使われる言葉に「頑張れ」があります。しかし、この言葉は使い方を誤ると相手を不快にさせてしまう可能性があります。
たとえば、努力が実らずに落ち込んでいる相手には、なるべく使わない方が良いです。頑張っていたのにも関わらず失敗してしまい、さらに周りの人から「頑張れ」と言われると、「もう十分頑張ってるのに、まだ頑張れって言うの?」とネガティブな思考に陥ってしまう可能性が高まります。
応援の言葉・一言メッセージの例【ビジネスシーン】
では、「頑張れ」を使わずに相手を応援する・励ます場合には、どのような言葉を使えば良いのでしょうか?
ここでは、ビジネスシーンで使える「頑張れ」以外の応援の言葉や例文を紹介します。
これから挑戦する人への言葉・メッセージ
これから新しいことへ挑戦する人へは、以下のようなフレーズを活用して、相手に自信をつけてあげましょう。「自分はあなたを信頼している」「私はあなたの味方だ」という気持ちを込めると良いですね。
- 〇〇さんならきっと大丈夫! 何かあったらまた話を聞くよ!
- 私ができることは少ないけど、〇〇さんを応援してるからね!
今まさに挑戦中の人への言葉・メッセージ
今まさに何かに挑戦中の人には、相手の奮闘を認め、称える言葉をかけてあげましょう。肩に力が入りすぎている相手の場合は、適度にリラックスしてもらえるようなフレーズも良いでしょう。
- 〇〇さんが全力で取り組んでるのはよくわかってるし、きっと成功するよ。
- 毎日頑張っていてすごいよ、でもたまにはゆっくり休んでね。
新人への応援の言葉・メッセージ
新入社員や中途採用で入ってきた新人への応援では、「困ったときは、フォローするから頼ってね」という気持ちが相手に伝わるような言葉を選ぶのがポイントです。たとえば、以下のような言い回しを活用してみましょう。
- わからないことがあったら何でも尋ねてくださいね、〇〇さんが来てくれて皆喜んでますよ。
- 最初のうちは失敗することもあるかもしれませんが、気にしないでチャレンジしてくださいね。
異動する人への応援の言葉・メッセージ
新しい部署へ異動する方への応援では、今までの感謝の気持ちを込めて、次のような言葉で応援しましょう。異動する方との具体的な思い出を添えると、より効果的です。
- △△のプロジェクトのときは、本当にお世話になりました。あの企画を最後まで頑張れたのは〇〇さんのおかげだと思っています。新しい部署での〇〇さんの活躍を、楽しみにしていますね。
- 落ち込んだとき、〇〇さんの明るい笑顔とアドバイスにいつも助けられていました。新しい部署でも、持ち前の明るさで周りの人を元気づけてあげてくださいね。
退職する人への応援の言葉・メッセージ
退職する方への応援のポイントは、基本的に異動する方と同じです。退職後のことがよくわかっていない場合は、その部分を掘り下げすぎないように注意しましょう。
- 新人のときから〇年間、〇〇さんにはお世話になりっぱなしでした。一緒に飲みに行って仕事について語り合ったの、とても楽しかったです。また飲みに行けることを楽しみに待っているので、新生活が落ち着いたら声をかけてくださいね。
チームを励ますための応援の言葉・メッセージ
自分の所属するチームを励ますときは、「みんなで一緒に協力して乗り越えよう! 」という気持ちを前面に出すようにしましょう。
- 先月はチームみんなのおかげで早期に目標達成ができました。今月もお互いに協力し合って、目標達成を目指してください。困ったことがあったら、1人で抱え込まずにみんなで解決策を考えましょうね。
取引先への応援の言葉・メッセージ
社内の方ではなく、取引先の方を激励したい場合は、フランクになりすぎないよう注意が必要です。
- この度は事業拡大による〇〇支店のオープン、誠におめでとうございます。貴社のさらなるご繁栄を心よりお祈り申し上げます。
目上の人に応援の言葉を使うときの注意点
社内の人でも、上司などの自分より目上の人を励ます場合は注意が必要です。
「頑張れ」ではなく、「ご活躍をお祈りしています」といったフレーズを活用してみましょう。 また、「陰ながら応援しております」という言い回しもよく使われます。
応援の言葉・一言メッセージの例【有名人の名言】
応援の際、有名人の名言を引用すると説得力が高まります。
ここでは、ビジネスシーンでの応援で活用しやすい有名人の名言を3つ紹介します。
- 「壁というのは、できる人にしかやってこない。」(イチロー)
- 「努力はウソをつく。でも無駄にはならない。」(羽生結弦)
- 「成功と失敗の一番の違いは途中で諦めるかどうか。失敗する人は途中で諦めてしまう。」(スティーブ・ジョブズ)
応援の言葉・一言メッセージの例【英語】
有名人の言葉同様、英語での応援フレーズも覚えておくと役に立ちます。よく使われる英語のフレーズには、以下のようなものがあります。短く覚えやすいものを選んでみたので、ぜひ活用してみましょう!
- You can do it!
- Good luck!
現地では「頑張って! 」「ファイト! 」のようなニュアンスで使われています。短いので、言葉の最後に背中を押すように付け加えるとおしゃれです。
応援のつもりが逆効果? 人によっては不快に感じる言葉
最後に、人によっては不快感を与える可能性のある応援の言葉も紹介します。受け取り方に個人差はありますが、「そう感じる人もいるんだな」と覚えておいて損はありません。
- 私なんてもっと大変な目にあったんだよ!
「自分の方が悲惨だったからそんなに落ち込まないで! 」という気持ちで発言している人が多いと思いますが、受け取る人にとっては不幸自慢をされているような気分になることも。
応援のシーンでは、自分語りはしないように気をつけましょう。「私も同じようなことが昔あったけど、本当に大変だよね。」など、あくまで相手に共感を示す言葉に変えましょう。
- なんとかなるって!
「肩の力をぬいて! 」という気持ちのこもった言葉ですが、「無責任なことを言わないでほしい」と思われてしまうこともあります。
「なんとかなるように、一緒に考えよう」など、「自分も協力するよ」という意味が伝わるフレーズに変えましょう。
応援の言葉はシーンで使い分けよう
今回は、応援するときの言葉や、マナーについて説明するとともに、すぐ使える例文や気の利いた言い回しについて紹介しました。
人を励ますときは、シーンによって言葉選びやニュアンスを変える必要があります。言葉を覚えること以上に「今相手はどのような状況なのか」をしっかり見極める力が必要です。シーンに応じて適切な言葉で応援できれば、相手にとって精神的な支えになるはずです。応援するときは、相手の気持ちを考えて、その場にあった言葉選びを意識してくださいね。