東京工商リサーチは1月20日、主要食品メーカー121社の「価格改定・値上げ」調査の結果を発表した。

  • 値上げ率

まず、各社の値上げ対象の商品から代表的な商品を抽出し、その値上げ幅を算出した。すると、2023年1月以降に出荷・納品の商品のうち、値上げ率「5%以上10%未満」が最多の5,267品(52.4%)で半数以上を占めた。

次いで、「5%未満」が3,635品(36.2%)が続き、10%未満は全体の約9割(88.7%)となった。パンやスナック菓子を中心に価格は据え置きながら、内容量を少なくする「内容量変更」(実質値上げ)は、99品(0.9%)。

値上げを表明した64社がリリースなどで公表した値上げの「理由」については、「原材料」が1万34品でトップ。次いで、「資源・燃料」が9,618品、「資材・包材」が8,799品と続いた。

  • 値上げ理由別

「為替」は2,497品で5位、「人件費」は1,196品で最下位となっている。物価高を背景とした社会的な賃上げ要請も控え、「人件費」は今春以降、値上げの要因になる可能性を残しているという。

価格改定の対象となる1万36品の分類別では、最多が加工食品2,906品(28.9%)で、全体の約3割を占めた。次いで、冷凍食品が2,289品(同22.8%)、調味料が1,755品(17.4%)、飲料・酒が1,431品(14.2%)と続いている。

加工食品2,906品の内訳では、ハム・ソーセージが974品、練り物・すり身が732品、缶詰などが360品の順で多かった。

  • 分類別の品目数

分類別での値上げ率については、豆腐や納豆、豆乳などの「大豆製品」が9.56%で最多となった。次いで、サプリメントなどの「健康食品」は7.39%と、値上げ品目数の少ない食品が上位に。

  • 分類別の値上げ率

一方で、値上げ品目数の多い冷凍食品(4.30%)、飲料・酒(5.60%)、 「調味料」(6.21%)、加工食品(6.27%)などは、値上げ率上位の食品に比べて小幅の上昇にとどまっている。

主要食品メーカー121社で、2023年1月以降の出荷・納品分で価格改定を表明した商品は、1万36品におよぶ。月別では、1月は11社・242品にとどまるが、2月は30社・5,142品の価格改定が行われる。

  • 月別の価格改定品目数

食品の値上げは、スーパーマーケットで季節商品の入れ替えが行われる春(3・4月)や秋(10・11月)に実施することが慣例であるため、メーカー出荷が2・3月に集中しやすい傾向はあるものの4月も2,033品、5月以降も298品の値上げがすでに決定している。

ドル円相場は、2022年10月の150円台をピークに2022年末から上昇し、2023年1月19日終値で1ドル128円と120円台後半で推移。一部の加工食品メーカー担当者によれば、為替の影響が輸入材料に本格的に反映されるのが「今年の春以降」との事で、先行きは不透明となっている。

小麦製品や魚介類、肉類などの輸入食材をメインに扱う商品は、年内に二度目の値上げも予想され、まだ価格の安定化は遠くなっているとのこと。