本やネットの記事を読んでいるときに「英雄色を好む」という表現を見たことのある人もいるでしょう。
しかし「英雄色を好む」は日常生活であまり使われる言葉ではないため、意味や読み方がわからないという人も少なくありません。
この記事では「英雄色を好む」の意味や読み方、語源、正しい使い方などを紹介します。類語や対義語、英語表現のほか、テストステロンとの関係についても紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください。
「英雄色を好む」の意味や語源とは
まずは「英雄色を好む」という言葉自体をしっかりと理解するために、読み方や意味、語源を紹介します。
「英雄色を好む」の読み方
「英雄色を好む」は「えいゆういろをこのむ」と読みます。「えいゆうしょくをこのむ」は間違いなので注意しましょう。
言葉の区切りとしては「英雄、色を好む」で「英雄」と「色」の間を区切って読むのが一般的です。
「英雄色を好む」の意味
「英雄色を好む」は、優れた能力や才能を持つ男の人は、決まって女好きであるという意味です。
「英雄」とは、知力や才能、胆力、武勇などが特に優れている人のことです。「色」は「女色(じょしょく)」を差しており、男女間の恋愛関係などを意味しています。
通常以上に能力のある人は、さまざまな面において通常以上であることから、男女関係についても並外れていることを「英雄色を好む」と表したとされています。
「英雄色を好む」は、女性に夢中になりすぎる男性に対して非難やからかいのニュアンスを含んで用いられることもあるようです。また女好きである男性が自己弁護として「英雄色を好む」を使うこともありますが、「英雄色を好む」を自分自身に対して使うのは誤りであるといわれています。
「英雄色を好む」の使い方や使う場面には注意が必要です。
「英雄色を好む」の語源
「英雄色を好む」について、明確な語源はわかっていません。福沢諭吉の著書のなかで「英雄色を好む」という表現が使われていることから、明治時代後期にはすでに存在していたと考えられています。
「英雄色を好む」の類語
「英雄色を好む」には、さまざまな類語表現があります。類語もあわせて覚えておけば、会話や文章の中で幅広い表現ができるようになります。ぜひ類語表現も覚えておきましょう。
「英傑色を好む」
「英傑色を好む」は、「えいけついろをこのむ」と読み、「英雄色を好む」と同様に優れた才能や知力を持つ人は女好きであることを表す言葉です。
「英傑」とは、知力や勇気などが人並み以上に優れていることやその人のことです。「英傑」と「英雄」はほぼ同じ意味の言葉であり、「英傑色を好む」は「英雄色を好む」の類語として使えます。
「女遊びは芸の肥やし」
「女遊びは芸の肥やし」の「芸」とは、歌舞伎の女形(おんながた)のことを意味しています。
女形とは、歌舞伎で女性の役を演じる男性役者のことです。女形として女性の表情や立ち居振る舞いをよく知るために、女遊びが役立っていたことに由来しています。
歌舞伎は世襲制で閉鎖的な世界であるため、男性が女性と深く関わる機会がありませんでした。そのため、風俗や芸者遊びを通して自身の芸の能力を磨き「芸の肥やし」としたことから、「女遊びは芸の肥やし」という言葉が生まれました。
「浮気は男の甲斐性」
「浮気は男の甲斐性」とは、お金や権力のある男性であればどれだけ浮気をしても許されるという意味です。
昔の日本では、実際に妾(めかけ)といって、本妻以外の妻を持つことが許されていました。経済力のある男性であれば、妾の生活を養うことも可能であり、多くの妾を持つことも可能でした。
このことに由来して、経済力があることは男の甲斐性であり、浮気をしても許されるという意味を持つようになりました。
「英雄色を好む」の対義語
優れた才能や能力を持つ男性は決まって女好きであるという意味の「英雄色を好む」とは、反対の意味を持つ対義語について紹介します。対義語も覚えておけば、語彙力アップにつながります。ぜひ対義語もセットで覚えておきましょう。
「一途」
「一途」(いちず)とは、ほかのことを考えないで、ひとつのことに打ち込むこと、ひとつの方針や事柄に向かっていくことという意味です。さまざまな女の人に思いをむける「英雄色を好む」とは反対の意味を持つ言葉といえるでしょう。
「彼は彼女に一途だ」といった使い方があります。
なぜ英雄的な男性は女好き? 「英雄色を好む」とテストステロンの関係
なぜ「英雄色を好む」といわれるようになったのか、どうして優れた能力や才能のある男性は女性好きなのかは、テストステロンと関係があるかもしれません。
テストステロンとは男性ホルモンの一種で、筋肉や骨格の成長を促し、がっしりとした体つきを作るために重要な物質です。テストステロンはほかにも、性欲や性衝動、前向きな思考や集中力、やる気などと関連があります。
そのため、英雄的で女性好きの男性はテストステロンが豊富な可能性があります。「英雄色を好む」とテストステロンの関係について想像してみるのも面白いでしょう。
「英雄色を好む」の正しい使い方と例文
「英雄色を好む」という言葉は実際にどのように使われるのか、例文で紹介します。
「英雄色を好む」の使い方と例文
「英雄色を好む」という言葉を使った例文は、以下のとおりです。
・彼はたくさんの女性に囲まれていて、それを見ていた同僚は「英雄色を好むっていうアレですかね」といった。
・過去の偉人の中には「英雄色を好む」という言葉がぴったりな偉人もいる。
・確かに彼は能力も優れていて見た目もよく、「英雄色を好む」というし、女好きなのかもしれないが、周囲からは反感をかっていた。
「英雄色を好む」の使い方の注意点
「英雄色を好む」は通常、自分ではない誰かを表現する際に使われる表現です。そのため、自分自身に対して「英雄色を好む」という使い方はしないため注意しましょう。
「英雄色を好む」の英語表現
「英雄色を好む」と同様の意味を表す英語表現を紹介します。
All great men love women.
偉大な男は女好きだ。
Heroes are amorous.
英雄は多情だ。
Who loves not wine, women and song he is a fool his whole life.
酒も女性も歌も好まない男は一生馬鹿げた人生を送る。
「酒も女性も歌も好まない男は一生馬鹿げた人生を送る」は、マルティン・ルターの名言です。反語的な意味でとらえれば、偉大な男性は酒好きで女好きであるという意味になり、「英雄色を好む」と同様の意味を持つ表現といえるでしょう。
英語を勉強中の人や洋書を読むことの多い人などは、ぜひ英語表現も把握しておきましょう。
「英雄色を好む」の意味や使い方を理解しておこう
「英雄色を好む」とは、優れた才能や能力を持つ男性は決まって女好きであるという意味の言葉です。
類語には「英傑色を好む」や「女遊びは芸の肥やし」「浮気は男の甲斐性」などの表現もあります。対義語としては「一途」が当てはまり、類語や対義語も合わせて覚えておけば、語彙力アップにつながります。
なぜ「英雄色を好む」なのか、テストステロンとの関係から想像してみるのも面白いでしょう。
「英雄色を好む」の意味や正しい使い方、関連する類語や対義語など、しっかりを把握して、語彙力アップを目指してみてください。