社会人になったら、自分の始末は自分で完結するのが原則で、大人の責任です。病気になった時の治療費、失業した時の当座の生活費など、働き始めたら何はともあれ直ちに万一に備えての貯金を始める必要があります。

「100万円」という数字は当面の最低限の備えの目標値として取り組みやすい数字でしょう。レジャーなどに稼いだお金を好きに使って良い時期は、当面の100万円貯金をクリアして、その後の長期生活設計を立てて、目標の貯金をクリアしてもなおゆとりが生まれた時からです。

  • 今年は貯金を殖やしたい! 100万円貯めるには?

    今年こそ貯金を殖やしたい! 100万円を貯めるには?

最初の100万円は貯金に徹することが大切

100万円の貯蓄額は社会人として、決して多くはありません。ゼロから貯金を始めようとする方の場合は、とにかく節約して貯金することを最優先にしてください。スキルUPなど将来の安定のための出費以外の単なる消費は徹底的に排除してください。単に100万円貯めるだけでなく、貯金できる生活スタイルを身に着ける機会にしましょう。

ボーナスは全額貯金に回す

ボーナスはあくまで臨時収入です。将来ボーナスのない会社に転職するかもしれません。月々の給与で臨時出費も含めて全て賄うような生活スタイルを作り上げてください。月々の給与からも一定額貯金に回せる位が目安です。私はボーナスの10万円未満の端数を自由に使って、残りを全て貯金していました。端数が数万円の場合もあれば、数千円の時もあります。端数がわずかでも、それを最大限生かして楽しむには……と考えるのは楽しいものでした。ただし、1年目は全額貯金が鉄則です。

(100万円-ボーナス)÷12を毎月貯蓄する

毎月の必要貯蓄額が分かれば、最初にその分を貯蓄してしまいます。給与振込銀行から自動的に積み立てるようにしておくと良いでしょう。最低限生活できる金額は確保する必要があるので、不足分は別の方法で確保しなければなりません。

不足分は副業で

最近は一定範囲の副業を認める企業も増える傾向にあります。副業はリスクもありますが、昔からひそかに行われてきたのです。ハンドメイド作品の販売、不用品の売却、ブログやYouTubeの広告収入、ハンドルネームでの趣味分野のライターなど、会社から容認されるケースもあるかもしれません。

副業による所得は20万円までは確定申告が不要です。ただし、所得税は源泉徴収されますが、住民税は翌年に副業分も追加されて計算されますので、勤務している会社に分かってしまう場合があります。むしろ確定申告を行って、副業分の住民税を「自分で納付する」を選択すると、会社から天引きされる住民税額に影響を与えません。

節約のコツ

下記の表は、最低生活費を考える上での試算表です。手取り収入が一定でない場合は最低数値または一般的な数値を記入します。支出の判定値B~Eは削減の難易度を示しています。もちろん固定費も節約に努める必要はあります。ポイントは我慢してEにある項目の出費を切り捨てることです。同時にDにある項目について削減しながらも窮屈に感じないレベルをつかみ取ります。

私は社会人1年目から親から独立しましたので、生活はかなり苦しかったです。とにかく病気になったりするのが怖かった記憶があります。実際は医療費の個人負担分も会社が出してくれていたので恵まれた状況だったのですが、一文無しの状況はかなり不安でした。Cの食費を節約するためにカロリー計算までしていました。栄養がしっかり取れて健康でいれば、貯蓄はついてくると思っていました。

チリも積もれば……小さな節約が大きな差になる

下図はつい買ってしまうペットボトルをお茶持参にした場合、新卒から定年までどれほどの差がつくかを試算したものです。水と光熱費は省略しています。たばこを吸う方はたばこをやめたら……などを計算してみてください。同様の算定でなんと1,700万円以上となります。

私は営業の仕事をしていたこともありますが、値引きをしなければ、どれだけ年間の報奨金が増えるかを計算したことがあります。びっくりするほどの金額になり、以後値引きをしない営業スタイルを工夫しました。チリが積もれば収入アップの事例です。運用はなしで計算しても良いですが、ある程度の投資も長い人生の中では必要です。

最初の100万円を貯めるのは、誰もが大変な思いをします。しかしその次のステップはいくらか楽になるはずです。次第に弾みがついていくものです。

次のステップを楽しく、より弾みがついたものにするためにはぜひ長期の生活設計と貯蓄計画を立ててみてください。結婚、子どもの誕生、住まいの取得、子どもの高校や大学への入学、転職など、人生には様々な変化があります。

それぞれの場面で、支出を見直し、収入アップを図り、自分を楽しませるためにはどうすれば良いかを考えつつ将来に備えていくのが人生のような気がします。お金が貯まらない方は、自分を楽しませる工夫が不得手で、ついお金に頼って手っ取り早い娯楽などに目を向けてしまうのではないでしょうか。