週末の時間を利用して起業する「週末起業」。本業で収入を得ながら起業にもチャレンジしてみたい、という人には魅力的な方法ですよね。

今回は、週末起業について、成功のコツや事前準備、メリット・デメリットなどを解説します。週末起業におすすめの仕事もご紹介していますので、こちらもあわせてご覧ください。

■週末起業とは? 副業との違いは

週末起業とは、本業の仕事を続けながら、週末を主とした空き時間を使って起業することです。この方法なら、会社員として安定した収入を確保しながら、起業に挑戦できるのです。

週末起業としてもう一つ仕事をすれば、収入が増える可能性がありますし、本当にやりたい仕事ができれば充実感も得られるでしょう。また、本業ではできない経験や実績を積むことで、キャリアの幅が広がります。

では、週末起業と副業にはどのような違いがあるのでしょうか。どちらも本業以外に収入源を持つ点は同じですが、

・副業:他者(企業)から仕事をもらい収入を得る
・週末起業:自らビジネスを展開し、収入を得る

という点で異なっています。たとえば、本業以外で行うアルバイトは、企業に雇われて収入を得ますので、週末起業ではなく副業になります。

ただし、副業と週末起業に明確な区別はなく、広い意味で考えると、週末起業は副業の一種とも言えるでしょう。

■週末起業のメリット、デメリット

週末という限られた時間で起業する週末起業には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。実際に起業する前に、週末起業の良い面、悪い面を知っておきましょう。

<週末起業のメリット>

1.安定収入を得ながら起業できる

週末起業の1番のメリットと言えば、やはり収入を確保しながら起業できる点でしょう。本業が別にあれば、収入を得て社会保険や福利厚生も守りつつ、さらに収入アップを目指すことができます。

また、もし週末起業に失敗しても、本業があれば経済的な影響を抑えられますので、精神的にも余裕を持てるでしょう。起業したくても、リスクを恐れて独立に踏み切れない人は多いですが、その場合はいきなり独立せず、週末起業から始めることをおすすめします。

2.本業以外に収入源ができる

週末起業を始めれば、本業以外に収入源が増え、収入が上がって生活が豊かになる可能性があります。増えた収入は家族のために使う、将来の貯蓄に回すほか、事業拡大のために投資することもできるでしょう。

また、本業以外に収入源があれば、本業の収入が減ったりリストラに遭ったりしても、週末起業の収入でカバーできるかもしれません。収入源が増えれば可能性が広がり、人生を充実させることにもつながります。

3.キャリアの幅が広がる

週末の時間で違う仕事をすれば、本業以外にもキャリアの幅を広げる機会が得られます。転職しなくても他の業種を経験でき、ビジネスを一から知ることができるのは、週末起業の醍醐味と言えるでしょう。

また、週末起業の仕事が気分転換や刺激になり、本業に良い影響を与える可能性もあります。自分が楽しめる仕事で起業すれば、日々が充実し生活の質が上がることも期待できそうですね。

4.将来的に独立の道も開ける

週末起業がうまくいけば、将来的に独立という道も見えてくるでしょう。週末起業なら、事業がある程度軌道に乗った段階で独立を決めることができます。自分が独立を許容できるまで焦ることなく本業を続けられますので、心理的な負担も少なく独立を目指せるでしょう。

<週末起業のデメリット>

1.自分の時間、家族との時間がなくなる

週末をもう一つの仕事に費やせば、休息や娯楽など自分の時間がほとんどなくなるでしょう。働きすぎで体調を崩す恐れもありますし、家族がいる人なら、家族との時間がとれず不満が出ることも考えられます。

元々本業が忙しい人はキャパオーバーになるかもしれませんので、本業のほかにもう一つ仕事を持ってもやっていけるか見極めが必要です。

2.確定申告が必要になる

週末起業で得た所得が年間20万円を超えると、自分で確定申告をする必要があります。また、専門家に依頼しない場合は、自分で帳簿付けをするなど、業務そのもの以外の事務作業にも追われます。

週末起業をすると、こうした煩雑な手続きや事務作業が増えることも頭に置いておきましょう。

3.会社の就業規則に抵触する場合がある

最近では副業を認める企業が多くなりましたが、未だ就業規則によって副業を禁止している会社も存在します。週末起業も基本的には副業に含まれるため、副業が全面禁止の会社で週末起業をしてしまうと、処分の対象になるなどトラブルに発展することがあります。

週末起業を始める前に、会社の就業規則をよく確認し、副業をするのに申請が必要な場合は手続きをしっかり済ませておきましょう。

4.会社の退職時に失業保険をもらえない

週末起業の仕事で独立を決めて会社を退職しても、失業保険を受給することはできません。失業保険は、あくまで職に就いていない人に対する措置だからです。

週末起業をしながら本業を辞めると、すでに自営業を営んでいる状態となります。この場合、失業保険をもらえる要件は満たしませんので、気を付けましょう。

■週末起業を成功させるには

週末起業はやみくもに始めて成功するものではありません。次に挙げる成功のコツ4つを意識し、行動してみましょう。

1.週末起業に集中できる環境を確保する

業種にもよりますが、週末起業は自宅で行うケースが多いです。しかし、家にいるとどうしても仕事をする気にならない人もいるでしょう。週末という短い時間で効率的に仕事をするには、集中できる環境を持っておくことが大切です。

たとえば、レンタルオフィスを借りれば、静かな環境で仕事に打ち込むことができます。賃貸の事務所を借りるよりも低コストですし、初期費用を抑えながら起業したい人にもおすすめです。

2.小資金で小さく始める

週末起業は、小資金で小さく始めましょう。小さく始めるため、大がかりな設備や広い場所が必要ない業種を選ぶのも、週末起業を成功させるポイントです。

小資金で事業を始めれば、万が一失敗した時のリスクを抑えられますし、利益率も向上します。はじめから大規模な事業を展開してしまうと、週末という限られた時間の中では、売上が費用に追い付かないこともあるため注意が必要です。

最初は小さく事業を始めて売上の目標金額も低く設定し、少しずつ事業を拡大していきましょう。

3.目標を決めて計画的に行動する

週末起業は、本業で収入を得ながら起業できることがメリットです。また、「いつまでにいくら稼ぐ」というノルマを他人に決められることなく、自分のペースで取り組めます。

一方で、目標をしっかり決めて計画的に行動しないと、いつまでもなかなか成果が上がらない事態にもなりかねません。時には、本業の収入がないつもりで、売上目標を達成することも必要でしょう。

ただし、はじめから高い目標金額を設定してしまうと、挫折する恐れがあり逆効果です。起業したては「月○万円」といった小さな金額から始め、体調管理も考慮し、無理のない計画を立てましょう。

4.自分が楽しめる仕事を選ぶ

週末の貴重な時間を使って起業するのですから、自分が楽しめる仕事を選びましょう。それに、事業はある程度継続しなければ結果が出ませんが、無理なく続けるには楽しい仕事であることが欠かせません。

時間を忘れて没頭できるような仕事なら、成功する可能性は高いでしょう。

■起業までに準備すべきこと

週末起業をやると決めたら、さっそく準備に取り掛かりましょう。起業までには、以下のような準備を進めておきます。

1.初期費用や時間の確保を確認する

週末起業には少ない元手で始められるものが多いですが、備品などを揃えるのにある程度の初期費用が必要な場合もあります。また、事業内容によっては一定の固定費がかかることもありますので、はじめに確認しましょう。

また、週末の稼働時間をどう確保するのかも考えておきましょう。週末起業をすると、空き時間の使い方が大きく変わりますので、何かを諦めてまで時間を作らなければならないケースも少なくありません。しかし、空き時間全てを起業に費やすことは実際には難しく、最低限の休息や必要な用事をこなす時間も必要です。

これらを踏まえてどのくらい稼働時間がとれるのか算出しておけば、事業を計画的に進めることにも役立ちます。

2.事業内容を決め計画を立てる

起業前には、事業計画の作成も重要です。事業内容を決めるのはもちろんのこと、市場規模や競合なども調べ、ビジネスの計画をしっかり立てておきます。具体的な事業計画ができると起業へのモチベーションが上がりますし、何を準備すればいいのか明確になるでしょう。

また、計画をもとに経営のシミュレーションを繰り返し行っておくと、スムーズなスタートが切れます。

3.人脈作り、スキルの習得を行う

人脈作りやスキルの習得もしておくといいでしょう。人脈を築いておけば、事業についての相談相手ができますし、新たな仕事につながる可能性もあります。

また、実際に起業すると、業務に追われてスキルを習得する時間が取れないかもしれません。時間があるうちに、じっくり勉強しておきたいものです。

■週末起業におすすめの仕事3選

最後に、週末起業におすすめの仕事を3つご紹介します。

1.ネットショップ運営

ネットショップ運営なら、実店舗を持つより大幅にコストを抑えて物販ができます。初期費用もさほどかからず、特別なスキルも不要なため、初心者でも取り組みやすいビジネスの一つです。

また、物販は作業を外注化しやすいため、外注をうまく活用すれば、売上が伸びてもむやみに忙しくなることはありません。週末起業は限られた時間で行いますので、物販のように、他人の力を借りやすい仕事も候補に挙げるといいでしょう。

2.Web制作関係

ITの知識があるなら、ホームページの作成やプログラミングなどWeb関係の仕事がおすすめです。これらは安定した需要がありますので、継続的な収入が見込めるでしょう。

特に、ホームページ作成の場合、長期にわたる管理まで請け負えば、より継続収入につながります。週末起業から独立を目指しやすいのも魅力です。

3.講師業

スキルや経験、特技を生かした講師業も、週末起業におすすめです。「これに関わっている時間が好き」と言えて他人に教えられるくらい得意なものがあれば、最高でしょう。

料理や楽器、英会話などさまざま挙げられますが、事業として展開する場合は自分の強みや独自性を打ち出す必要があります。たとえば、料理を教えるなら、「SNS映えする料理」「ダイエット中でも美味しく食べられる料理」のように工夫すれば、世の中のニーズに応えらえるかもしれません。

自分が好きなことを仕事にするのはとても大切ですが、そこに需要がなければビジネスとして成り立ちませんので、起業前によく計画することが大切です。

■事前準備やシミュレーションで週末起業を成功させよう

本業をこなしながら週末にも別の仕事をするのは、決して簡単なことではありません。しかし、自分の貴重な時間を使って起業が経験できれば、それは今後のキャリアにとって財産になるでしょう。

週末起業を成功させるためには、事前の準備やシミュレーションをしっかり行い、決して無理しすぎないことも心掛けましょう。