これまで国内外約2,000件以上もの廃虚や戦跡、一風変わった建物などを探索してはカメラにおさめてきた、都市探検家のSaho.さん(@urbex_34)。

北海道の森の中で、また一つすてきな光景と出会ったようです。

森の中に埋もれた巨大エレベーター櫓。
(@urbex_34より引用)

儚げでありながら、なんとも壮大で堂々たる佇まい。これがエレベーター装置だなんて驚きです!

Saho.さんにうかがったところ、こちらの櫓(やぐら)は、北海道にある旧奔別鉱業所の立坑櫓とのこと。立坑櫓とは、エレベーター装置の一部で人や資材を揚げ降ろしするための立坑に設けられる、櫓型の建造物。当時はここから、地下深くの採掘場まで炭鉱作業員さんたちが向かわれていたのだとか。

役目を終えたその後も長い間ここに建ち続け、少しずつ朽ち、森にのみ込まれていったのかと思うと、少々切なくもありますね。ただ、同時に朽ち果ててもなお力強さを感じるこの光景。

すてきな写真でその様子をシェアしてくれた投稿者のSaho.さんに、お話をうかがいました。

投稿者さんに聞いてみた

―― こちらを撮影されようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

6年ほど前から北海道の炭鉱跡地を毎年撮影しに行っていて、その一環で行きました。普段は企業の敷地内にあるので入れないのですが、年に数回だけ見学できるタイミングがあり、その際に撮影いたしました。

―― 旧奔別炭鉱立坑櫓を目の前にした時の気持ちをお聞かせください!

今から半世紀ほど前、石炭が石油におされ炭鉱の合理化が急務となった時代に効率を図り、開発された立坑設備です。それが今や朽ち果て、森に埋もれようとしている姿に世の無情さや儚さを感じました。

―― 威厳と儚さを兼ね備えたお写真ですが、こちらを撮る際にこだわった点を教えてください。

立坑の構造として、櫓(やぐら)の両側を挟むように巻き上げ機が設置されており左右対称になっています。その雄大な姿を見せるため、シンメトリー構図でズレないように気をつけて撮影をしました。


「すごいっー!!! これが日本に!?」と驚きの声が多数寄せられた今回の投稿。Saho.さんがこうしてシェアしてくれることで、貴重な史跡や遺物が多くの人の目に触れ、その成り立ちや歴史を知ることができるのだと思います。そんな写真は、TwitterだけでなくInstagramやTikTokでも見ることができます。ぜひ、Saho.さんがおさめる世界中の“ノスタルジー"をのぞいてみてくださいね。

※写真が撮影された場所は、通常立ち入り禁止区域となります。当画像は奔別炭鉱の管理団体が主催する公開日に撮影されたものです。