特に大人になると、仕事でもプライベートでも、人に流されてはいけない場面に遭遇することも多いはず。そのような場面では「毅然(きぜん)とした態度」で臨まなければいけません。
本記事では「毅然とした態度」の詳しい意味や具体的にどんな態度のことなのか、またその態度をとるメリットやとるべきシーンを解説していきます。毅然とした態度をとるための方法とコツ、言葉としての使い方と例文や類義語についてもまとめました。
毅然とした態度とは? 意味や具体的な特徴を紹介
そもそも「毅然(きぜん)」とは、意志が強くしっかりしていて、物事に動揺しない、断固とした様子のことを意味します。
そのため「毅然とした態度」とは、「何事にも動じない様子」「信念を貫く様子」「道理が通っている様子」などを表します。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
何事にも動じない様子
毅然の「毅」には「強い」の他に「動じない」「しっかりしている」という意味があります。「毅然」という言葉は、しっかりした様子などを表す言葉です。
信念を貫く様子
物事に動じない様子といった意味からもわかるように、「毅然」には周囲に流されずに、自らの意志をしっかり貫く様子も表すことができます。
道理が通っている様子
「何事にも動じない様子」や「信念を貫く様子」には、その人自身に強い思いがあることが見てとれます。そこから「道理が通っている様子」も表すこともできるでしょう。
毅然とした態度の中には「筋が通っている」というニュアンスも含まれる、と覚えておきましょう。
毅然とした態度をとるメリットとは
何事にも動じない態度をとれるようになると、社会的に信用が上がることがあります。その理由ともなる、毅然とした態度をとるメリットについて紹介しましょう。
物事が円滑に、思い通りに進む
特にビジネスシーンでは、自分の主張をしっかりと伝えられる人が重宝されます。人の意見に流されがちな人は、うまく丸め込まれてしまうことも多いでしょう。どのようなシーンであっても、自分の意見をしっかりと主張できるようにしておくことは非常に大切です。
堂々と意見を主張することができれば、自分が主導権を握れるようになり、ビジネスシーンでも有利に働きます。
信頼される
物事に動じない態度をとれる人は、特にビジネスシーンにおいて、周りからも信頼されるようになります。
相手からの依頼を断ったり、意見を否定したりすることを難しく感じる人も多くいるでしょう。しかし本当はできないことなのに無理して「できる」と言われても、後々相手も困る場合があります。また、後になって「やっぱり…」と言われても、今更状況は変えられません。
相手の様子をうかがいながら場当たり的な返事をする人よりも、できることは「できる」、できないことは「できない」、そして「賛成」「反対」をはっきりいえる人が信頼されるのは、当然のことでしょう。
毅然とした態度をとるべき場面
ここからは、毅然とした態度をとった方がいい場面について見ていきましょう。毅然とした態度をとるべき場面は、何事にも流されずに自分が思うことを貫く姿勢でいなければいけないときです。
対等な関係でいたいとき
相手と対等な関係でいたいとき、毅然とした態度をとる必要があります。これは仕事でもプライベートでも同じです。
他人同士、当然、お互いの意見が食い違うときもあるでしょう。しかし、もしもいつもあなたが折れる側になっている場合は、嫌われることを恐れず毅然とした態度で自分の意見を述べてみてください。本当は反対なのにいつも我慢して折れているとストレスがたまってしまいますし、相手が自分のことを下だと見なすようになる危険があります。
明らかに自分が正しいと思ったとき
明らかに自分が正しいと思っていても、相手との関係性や何らかの理由ではっきりと主張できないシーンがあるでしょう。しかしそのまま相手のいうことを鵜呑み(うのみ)にして物事を進めてしまうと、間違った方向に進みかねません。
自分が明らかに正しいと確信している場合には、何事にも動じずにはっきりと意思を示す必要があります。曖昧な態度をとっていても、いい状況になることはないでしょう。
キッパリと断るとき
何かを頼まれて断りたいときにも、毅然とした態度をとるようにしたいものです。迷っている様子を見せてしまうと、かえって断りにくくなります。嫌なとき、要求に応じたくないときは、早めに、キッパリとした態度で断ることが必要です。
そうしなければ「何を言っても断らない人」「頼みやすい人」などという印象を持たれてしまい、今後も損な役回りばかり押し付けられてしまうかもしれません。
何らかの発表をするとき
プレゼンテーションなど、何かをテーマに大勢の人の前で発表しなければいけない場合は、毅然とした態度で発表するようにするといいでしょう。誰かに向けて発表するのに、自分に迷いがあったり優柔不断な様子を見せたりしてしまうと、内容がいくら充実していても、いい評価を得られない危険があります。
発表する内容に自信を持って、何事にも動じない気持ちで挑むようにしてみてください。
理不尽なことをされたとき
理不尽なことをされたり言われたりしても、大人になると流す方が楽だと思ってしまうこともあるでしょう。しかしそのまま放置をし続けていると、後からもっと理不尽なことを言われる可能性が出てきます。
理不尽なことをされたり言われたりしたときには、キッパリと反論をしましょう。あなたの毅然とした部分を知れば、今後理不尽なことを言われなくなるかもしれません。理不尽な扱いを受けないためにも、しっかりと反論する気持ちを忘れずにいてください。
クレーム・苦情に対応するとき
特に接客業をしている方であれば、理不尽なクレームや苦情に対応しなければならないこともあるでしょう。明らかに理不尽なクレームや苦情の場合は、自分や会社の意見、立場をはっきりと相手に伝え、毅然とした態度を示さなければいけないこともあります。
相手に寄り添うばかりではなく、時には、相手にしっかりと意見を伝えることも大切なのです。
毅然とした態度をとる方法・コツとは
ここぞというときに毅然とした態度をとるには、どのようにすればいいのでしょうか。普段から気を付けておきたいことを3つ紹介します。
自分の置かれている状況を客観的に見る
毅然とした態度をとるには、まず自分や、自分の置かれている状況を客観的に見る視点が必要です。状況をしっかり把握できることで、どのような態度をとればいいのか、どのような主張をすればいいのかを判断をしやすくなります。
自分を客観視するのが苦手な人は、感情的に動いてしまうことが多い傾向があります。そのような人が毅然とした態度をとっても、主観的な発言になってしまい、結果として相手にあまり意図が伝わらない可能性があります。
自分の信念を主張するのであれば、状況を客観視した上で、論理的に伝えることが大切です。
自信をつける
自分に自信のない人は、自分の意見を主張するのが苦手な場合や、自分の意見を通すことが苦手な場合が多い傾向があります。
適切なシーンで毅然とした態度をとりたいのであれば、まずは自分に自信をつけることから始めてみてください。自分なりの信念を持つことで、理不尽な言動や発言などにも反論できるようになります。
しかし頭ではわかっていても、すぐに自信をつけるのは難しいでしょう。まずは「自分はできる」と言い聞かせ続けてみてください。いずれ、本当に自分に自信が持てるようになるでしょう。
周囲に流されない
自分の信念をしっかり貫いていれば、適切な場面で自然と動じなくなるものです。
自分の信念を基準にさまざまなことを考えるため、人に流されることもありません。そのような人は、周囲に同調せずに「自分はこう思う」といった意見をしっかりと伝えることができます。
周りに流されない信念を持つためには、自分なりに情報をできるだけ多く集め、自分自身を成長させることが大切です。自分で判断がつくようになれば、周囲に流されることなく、自分の意見をしっかりと主張できるようになりますよ。
「毅然とした」の使い方と例文
ここでは言葉として、「毅然とした態度」の他に「毅然とした」を含む言い回しを紹介します。
毅然とした対応
「毅然とした対応」とは、例えば理不尽なクレームなどに対してただ言いなりになったり、その場しのぎで適当に謝ったりするのではなく、こちらの意見をしっかりと伝えた上で対処することを言います。
例文は以下の通りです。
- 支店長は、理不尽なお客様に対しても毅然とした対応をしていた
毅然とした口調
「毅然とした口調」とは、物おじせずに自分の意見を堂々と述べる様を表します。
面接やプレゼンの場での質問などに対しても、毅然とした口調で答えられる人は頼もしさを感じさせます。
例文は以下の通りです。
- 彼は面接官の意地悪な質問に対しても、毅然とした口調で答えた
「毅然」はその他にも、「毅然とした様子」「毅然とした顔つき」「毅然としている」「毅然たる態度」などの形で使用されます。
「毅然」の類義語・言い換え表現
「毅然(きぜん)」とは、意志が強くしっかりしていて、物事に動揺しない、断固とした様子のことを意味します。
類義語としては下記のようなものがあります。
- 泰然(たいぜん)…落ち着いていて、動じない様子
- 決然(けつぜん)…強く決心する様子、思い切った様子
- 断然(だんぜん)…態度がきっぱりとしている様子、周囲の反対などを押し切って物事をやり遂げる様子
- どっしり…落ち着きがあり威厳がある様子
毅然とした態度をとれるように、普段から自分自身の軸をしっかり持とう
「毅然とした態度」とは、何事にも動じずに自分の信念を貫ける様子を表します。もちろん、わがままばかりで協調性に欠けるのはよくありませんが、自分の意見を言えずに丸め込まれてしまうのは、自分や組織、相手にとっても不利益になります。
特に社会人になると、仕事でもプライベートでも、毅然とした態度をとらなければいけない場面が多くあるでしょう。 そのようなときに、迷うことなく自分の意見を主張できるよう、日頃から自分を客観視し、自信をつけ、周囲に流されないように意識しておくことが大切です。