■女優業の始まりは「もどかしいスタート」
――タイトルにある25歳から、9月には26歳になり、10月には映画『空のない世界から』で初主演、先日、『渚に咲く花』が公開されるなど、女優としての活動も勢いがあります。HKT48を卒業してからの3年を振り返ってみて、どう感じますか?
女優として走り出した当初がちょうどコロナ禍。改めてがんばるぞ! と意気込んでいたときになかなか思うように活動ができなくて、もどかしいスタートでした。やっと最近、女優業の生活スタイルが見えてきたのかなと感じています。
HKT48時代と比べても、活動の内容も分量も違いますが、不規則な生活の中でもバランスはとれているのかな。あと、私はお休みもとても大事にしているので、「この日はお休みが欲しいです」と希望を言わせてもらっていて、ありがたいことに、やりやすくスケジュールを組んでもらっています。
――働き方はとても大事ですよね。公式YouTubeチャンネルでも、ご自身の休養期間の経験をもとに「うつ病のあなたへ伝えたいこと」という動画内で、休むことの大事さをお話されていたのが印象的でした。
ありがたいことに予想以上にたくさんの方に見ていただきました! 私も、HKT48のときに活動を休止することになって、治療していた時期はすごくつらかった。でも、それを経て今の元気な私があるってことは、当時の私みたいに落ち込んでいたり、悩んでいたりする人の希望になることもできるんじゃないかなと思って。
そして、私は休んでいたときの自分も、私の一部だと思っているので、無かったことにしたくない。そういう思いもあって、今こうして女優として活動できている私から少しでもエールを送りたかったんです。
■転機は舞台『窮鼠・熱海殺人事件』「打ちのめされました」
――多くの方に勇気や元気を与えられたと思います。あの頃があって、今があるということですね。また、お話は少し戻りますが、女優としての活動をしてきた3年間で転機になった作品や出会いはありますか?
いちばんお芝居を深められたと思うのは、舞台『窮鼠・熱海殺人事件』。役者としての根気みたいなものが培われた現場で、自分の中の芝居観が一新されました。舞台ってウソが効かないし、共演の方も経験豊富な大先輩ばかり。しかも、つかこうへいさんの作品は演じるのにすごくパワーが必要で、まくしたてるような口調で、セリフの言い回しもすごく難しかったんです。
稽古中は千本ノックみたいな感じで、正直かなり打ちのめされました……(笑)。毎日行きたくない! と思いながら、稽古場に向かっていたのを、今でも思い出します。でも私は体当たりでやるしかなかったので、自分を奮い立たせて、稽古に臨んでいました。おかげで無事に公演を乗り切ることができたので、とてもいい経験になりました。
――かなり厳しい現場だったようですね……。舞台だと、映像作品とは違う難しさがありましたか?
映像と舞台だと得られるものが違うなと感じました。ドラマや映画と違って、舞台は稽古期間から毎日、一つのお芝居のことを考えて、深めることができるので、より役やストーリーに入り込める感覚があります。その分、反省や葛藤も毎日あるので消耗はするのですが、充実した時間を過ごせた気がします。個人的には、毎年1作は舞台作品にも出演していきたいなと……。
■20代で掲げた目標は「映画祭で賞をいただくこと」
――成長できる場として、とても有意義な時間も過ごせているんですね。では最後に、写真集のタイトルの通り、20代も折り返しを迎えましたが、20代のうちに挑戦したいことはありますか?
女優として活動している中で、常に頭にあるのは今のお仕事をできる限りがんばって、もっといろんな方に知ってもらいたいということです。その中の大きな目標として、映画祭で賞をいただくことを20代のうちに実現したいです。
あとは、よく言っていることなんですが、警察に潜り込むスパイ役をやってみたい(笑)。Netflixオリジナルドラマ『マイネーム』のハン・ソヒさんが演じられている役がすごく好きで、その影響です。もし、そういう役をやるなら、本格的にアクションにも挑戦したいです。
■兒玉遥
1996年9月19日生まれ。福岡県出身。2011年にHKT48の1期生としてデビュー後、2019年6月にグループを卒業。以降、女優として、『窮鼠・熱海殺人事件』や『フラガール - dance for smile -』などの舞台に出演。10月公開の映画『空のない世界から』で初主演、11月公開の映画『渚に咲く花』でも主演を務めるなど、注目を集めている。現在、2nd写真集『stay 25』(ワニブックス)が好評発売中。