電気料金・ガス料金の値上がりが続いています。ウクライナ情勢や円安で、石油や石炭、天然ガスの調達価格が高騰していることが主な原因です。先が見えない状況で、このまま値上がりが続いていくと家計は大打撃です。そこで、今後の電気・ガス料金の動向と、政府による負担軽減策、さらに、家庭でできる値上げ対策をお伝えします。

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■電気料金・ガス料金の値上げ、各社の動きは?

まずは、電気料金、ガス料金の動向を見てみましょう。

2021年9月以降、電気料金の値上がりが続いており、現在は高止まりの状況です。東北電力は、家庭向けの電気料金のうち、国の認可が必要な「規制料金」について、2023年4月からの値上げを申請しました。「規制料金」とは、燃料費の値上がり分を料金に反映できる上限が決まっている料金プランです。東北電力はすでに上限に達していて、上限を超えた分は会社側が負担しており、対処可能な範囲を大幅に超えたとのことで、申請に踏み切っています。

このほかにも、北陸電力と中国電力が、規制料金を値上げする方針を発表し、東京電力と四国電力、それに沖縄電力は、値上げに向けた検討を始めると発表しました。

ガス料金も値上がりしています。原料価格をガス料金に反映する「原料費調整制度」に基づき、ガス会社の大手4社全てが12月分の料金を値上げしました。2023年1月も東京ガスと大阪ガスが値上げを公表しています。

ガス料金は「原料費調整制度」によって、原油価格の値動きに合わせて調整できますが、各社上限額に達している状況です。東京ガスは2022年10月分から2023年3月分の検針分まで段階的に上限金額を引き上げ、大阪ガスは2022年12月分から2023年4月分の検針分まで段階的に上限金額を引き上げることを決めています。

■電気料金・ガス料金はどのようにして決まるか

*電気料金の仕組み

一般的な電気料金の内訳は次のようになっています。

基本料金+電力量料金+燃料費調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金

基本料金は、電気の使用量にかかわらず毎月かかる固定料金です。

電力量料金は、使用量に応じてかかる料金で、電力会社、料金プランによって単価が異なります。

燃料費調整額は、燃料の価格変動を電気料金に反映させるためのものです。日本の電力のおよそ7割は火力発電で賄われているため、その燃料となる石炭や天然ガスなどの価格高騰により燃料費調整額が上がっていることが、電気料金の値上がりの主な原因となっています。

再生可能エネルギー発電促進賦課金は、太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギー発電を普及・促進させるためにできた制度で、電力会社が再生可能エネルギーを買い取る費用の一部を消費者が負担するものです。

*規制料金と自由料金

2016年の電力小売全面自由化によって、さまざまな会社の電気料金プランを選択できるようになりました。そのため、契約している会社やプランによって、基本料金や単価設定が異なり、同じ電気の使い方をしていても、電気料金に差が出てきます。

消費者の立場からすると、自由に選べるようになったのはいいけれど、会社側も自由に料金設定ができてしまうと、際限なく値上がりする恐れがあります。そこで、国は「規制料金」という料金体系を設けて、燃料費調整額に上限を設定し、消費者を守っています。国の許可なく上限を超える値上げはできません。

大手電力会社の料金プランは大きく「規制料金」と「自由料金」に分かれています。「自由料金」は各社が裁量で決めることができます。たとえば、日中より夜間の電気料金を割安にするプランなどがあります。また、自由料金にも規制料金と同じように上限を設けている会社もあります。

上限金額については、2022年10月までに、大手電力会社10社全てが上限に達しています。そして、自由料金に上限設定を設けていた電力会社は、順次上限設定を撤廃することを決めています。

規制料金については、先述したように、東北電力が値上げを申請したのを皮切りに、ほかの大手電力会社も2023年春にかけての値上げを検討しています。

*ガス料金の仕組み

ガスの一般料金は次のように計算します。

基本料金+従量料金(単位料金×ガス使用量)

単位料金は、原料費調整制度に基づき、毎月調整します。たとえば、12月の料金であれば、7月~9月の平均原料価格に基づいて12月の検針分の単位料金が決まります。

東京ガス(東京地区等)では、7月~9月の平均原料価格が上限を超えたため、12月の検針分のガス料金は、11月と比較して、289円(消費税込)※上がります。

※1カ月に30立方メートルのガスを使う標準家庭の場合

■政府の負担軽減策

値上げがこのまま続いていけば、家計への負担は相当なものになります。政府は新たな経済対策として、電気料金やガス料金などの負担を軽減する支援を決定、電気料金を1kWh あたり7円、都市ガス料金を1立方メートルあたり 30 円補助することを明らかにしています。

標準的な家庭の月間の使用量として、電気260kWh、ガス30立方メートルとすると、電気料金は1820円、ガス料金は900円の軽減となります。これを受けて、東京電力や東京ガスなど各電力・ガス会社は12日までに政府に値下げを申請、当初予定していた料金に対し、割引が適用されることになっています。

例を挙げて具体的な料金がどうなるかを見てみると、たとえば2022年12月分の標準的な家庭の電気料金は9,126円(東京電力)、ガス料金は6,750円(東京ガス・東京地区等)なので、電気料金で2割、ガス料金で13~14%程度の負担軽減となります。

しかし、政府の負担軽減策は、もともとその程度の値上がりが来年以降見込まれることを想定して、値上げ分を政府が肩代わりする対策です。そのため、実際には家計の負担が軽減されるわけではありません。これ以上、家計が苦しくならないようにするための対策と言い換えてもいいかもしれません。

  • 政府が実施する負担軽減策のイメージ

■家庭でできる対策

負担軽減策が適用されてもまだまだ苦しい家計事情の中で、各自ができる電気代とガス代の節約方法をご紹介します。

*電気代を下げる方法

<1.契約プランを見直す>

電力自由化によって、さまざまな会社、プランから選べるようになったため、同じ電気の使い方をしていても、電気料金は異なります。先述したように、料金プランには規制料金と自由料金があります。自由料金は上限がないプランが多いため、規制料金が上限に達して高止まりをしている間にも自由料金は上がり続けます。契約しているプランに上限設定があるかどうか確認してみましょう。ほかにも、電気とガスをまとめて契約するとお得になるプランなど、契約プランを見直すことで電気代を節約することが可能です。

<2.古い家電製品を買い替える>

古い家電を最新の省エネ家電に買い替えることで、電気代を節約できます。たとえば家中の照明をLED照明にすると、電気代が節約でき、従来の蛍光灯に比べて長持ちします。古いエアコンや冷蔵庫、洗濯機なども買い替えを検討してみるとよいでしょう。家電製品には耐用年数があり、6~10年程度が多いようです。いずれ壊れると考えて、早めに買い替えることで電気代の節約だけでなく、機能向上などのメリットも得られます。

<3.節電テクニックを実行する>

節電テクニックを列挙します。できることから始めてみましょう。

  • エアコンの設定温度を見直す。
  • 窓の断熱対策をする。カーテン、ブラインド、断熱シートなど。
  • 冷房を使用する時は、扇風機やサーキュレーターと併用する。
  • エアコンのフィルターをこまめに掃除する。
  • 使っていない電気製品は電源を抜く。炊飯器・電気ポットなど保温は極力しない。
  • 電気毛布は電気代が安いので、部屋の暖房の代わりにする。

ほかにも、料金プランによっては電気料金が安くなる時間帯があるので、電力を多く使うもの(乾燥機など)はその時間帯に使うことで節約できます。

*ガス代を下げる方法

<1.お風呂は時間を空けずに続けて入るようにする>

家族がバラバラの時間に入ると、その都度、追い焚きをする必要が出てきます。短い時間に続けて入るようにしましょう。また、お風呂のふたを閉めることで保温効果が上がります。

<2.料理の仕方を工夫する>

火にかけている時間を短くするとガス代を節約できます。(鍋にふたをする、下ごしらえを電子レンジで行うなど)。また、火にかける時は、炎が鍋からはみ出さないようにしましょう。はみ出した部分は鍋に伝わらずに無駄になっています。

少しでも光熱費が削減できるよう家庭できるエネルギーの節約を心掛けましょう。