日産自動車はこのほど、EV(電気自動車)の購入時に重要な住居の環境についての調査を実施した。

日産自動車はこのほど、EV(電気自動車)の購入時に重要な住居の環境についての調査を実施した。調査は 2020 年以降、各自治体や企業でゼロ・エミッションに向けた取り組みが活発化し、EV推進が加速するなか、消費者のEV購入意向も高まっているという背景のもと実施した。

  • EV普及と「住環境」の密接な関係性が顕著に

調査実施期間は2022年10月26日〜11月1日。事前調査10,953名、EV購入検討者(保有者も含む)および集合住宅に居住の30〜50代男女400名を本調査の対象とし、インターネット調査にて実施。調査機関は楽天インサイトだった。

  • EVの購入検討は“1〜3年前"が最も多く、"直近3年以内に検討した人"は76.8%

  • EV購入の理由は“環境にやさしいから"など社会的背景が6割、コスト面も検討に影響

EV購入を検討している人を対象にEV購入の検討時期を聞いたところ、最も多いのは1年〜3年前(43.1%)、次いで半年〜1年前(25.1%)、1年以内(33.7%)という結果となった。

ここ数年でEV購入意向が高まっているといえる。 また、EVの購入を検討する理由として、複数回答では「環境にやさしいから(63.0%)」「ガソリンが高騰しているから(51.3%)」などの社会的な背景が大きく影響していることがわかった。

  • 買えない理由No.1は“充電環境"、ついで“価格"

「EVを購入する上で迷うポイント」について最も多いのは「自宅で充電できない(57.8%)」。購入価格よりも住宅の充電環境が最も影響していることがわかった。次いで「費用が高額(57%)」「周辺の充電環境が整っていない(45.3%)」と続いた。

  • 「集合住宅に充電設備がないと購入が難しい」が8割超

  • 「住環境が理由でEVの購入をあきらめた」は半数以上

また「集合住宅に充電設備がないとEV購入が難しい」と回答する人も88.6%という結果に。実際に、3年以内にEV購入を検討している400名が対象でも、「住環境(充電設備がない)が理由でEVの購入をあきらめた経験はありますか?」という質問で51%があると回答しており、EV普及のためには、集合住宅との連携が必要なことが浮き彫りになっている。

  • 現在住んでいる集合住宅にEVの充電ができる駐車場がない人が79.5%

  • EV保有者50名は半数以上が自宅外の充電スポットを利用

EVの購入検討者においても、現在居住の集合住宅にEV充電ができる駐車場がない人が79.5%。実際に集合住宅でEVを保有している50名の充電方法は「自宅外」が52%で、自宅の駐車場で充電している人はわずか16%という低い結果となった。

  • 充電スポットが自宅から「徒歩30分以上」は3割に

  • EV購入の際、自宅以外の充電設備を利用予定が73.8%

さらに、充電スポットが自宅から徒歩30分以上かかると回答したのは30%と手間がかかっている現状が明らかに。EVを購入する場合も、自宅以外の充電設備を利用予定が73.8%と高い数値になっている。充電場所を「自宅の駐車場」と想定している人が少ないことからも、充電環境の整備推進が課題であることがわかる。

今回の調査を受け、日産では以下の考察を行っている。

「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」という政府の表明や世界的な「ゼロ・エミッション」、電動化の流れを汲み、EV普及が加速する中でも、普及率は3%(※1)と決して高いとはいえないものの、ここ数年でEVの購入意向が増加していることがわかった。

事前調査では、EVを購入したいと回答したのは28.1%(n=10,953名)と高く、普及率と比較しても購入意向の高さがうかがえる。

そんな中、「住環境でEVをあきらめたことがある」と回答したのは25%(n=10,953名)で、EV検討者に絞ると51%(n=400名)が住環境によりEVを断念した経験があると判明。充電環境の整備は購入意向を高め、EVが普及する鍵となる重要な要素であることがわかる。

「EV充電が気軽にできる集合住宅があるとしたら住む前に体験したいと感じますか?(n=400名)」という質問では81%が利用したいと回答しており、消費者も住環境への関心の高さがうかがえる。

同社は調査結果を受けて、2023年1月中旬から課題解決に取り組む新たなプロジェクトを始動。

政府の方針である「新車販売電動車100%」を目指す2035年に向け、EVの購入意向が増加することが予想される中、自宅で簡単に充電できる利便性を気軽に体験する場作りや、EVに最適化した住環境の整備を推進していくことも自動車メーカーとして重要な課題だと考え、解決に向け積極的に取り組んでいく、としている。