全国旅行支援は順調に滑り出し、お出かけ気運も高まってはいるものの感染の波は衰えない。不安に思う旅行者、観光業者もいるだろう。この状況を打破するべく、観光業界とキリンが「免疫ケアで旅行に安心プロジェクト」を発足させた。
■旅行者と地元住民で板挟み? 悩める観光業界
感染への不安が消えない中、ウィズコロナの生活が続く。これからの観光業界は、旅行する側と、受け入れる側双方に安心がもたらされることが不可欠となった。そこで今回キリンと観光業界が手を取り合って、「免疫ケアで旅行に安心プロジェクト」を発足。全国24の都道府県39団体の観光業関係者が連携して、免疫ケアの習慣化促進に取り組んでいくことになった。
プロジェクト発足の背景について、鎌倉観光協会の大津定博氏は、「状況は改善傾向にあるが先行きは不透明。観光業に従事する働き手の不足も相まって、回復の道筋は見えていない」と述べる。また、旅行客と地元住民との軋轢もあり、その調整は大きな問題だという。
■これからの旅行に求められるのは「安心のインフラ」
困難の中から思い至ったのは、「観光客も観光地も、安心が継続していくことが不可欠」ということ。健康不安がない安心な状況の継続には「免疫ケア」が良いのではないか、という気づきがプロジェクト発足のきっかけとなった。そこから、免疫ケアに役立つとされるプラズマ乳酸菌を発見したキリンとの協同が動き出したのだ。
プロジェクトの具体的なアクションの核となるのは、観光客などへのキリンの免疫ケア製品の無料サンプリングだ。旅館、ホテル、観光案内センター、テーマパークなど全国の50カ所以上において、合計およそ6万人に配られる。観光客への安心な旅行をサポートし、免疫ケアの習慣化促進につなげる。
さらに、施設ごとの独自の取り組みも見逃せない。行燈旅館(東京都台東区)では、朝食メニュー「免疫モーニング」を提供する。健康的な食品をメインにメニューは日替わりで、健康食の代表格である納豆と「キリンiMUSE 朝の免疫ケア」を用意する。
また、和倉温泉ホテル海望(石川県七尾市)と和倉温泉多田屋では、朝湯の際に「キリンiMUSE 朝の免疫ケア」を配布する「免疫朝風呂」を実施するそう。
■キリンのヘルスサイエンスと免疫ケア
キリンからはヘルスサイエンス事業部の永井氏が登壇し、同社のヘルスサイエンス領域への取り組みや免疫事業について説明した。
「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV(共通価値の創造)先進企業となることを経営構想とし、ヘルスサイエンス領域の規模拡大を掲げて、特に免疫を最重要領域と位置付ける」とのことだ。免疫は健康な生活のための生体防御機構であり、健康の土台となっているもの。同社ではビール醸造で培った発酵やバイオの技術、35年以上にもわたる免疫研究を活用することで、健康課題解決に取り組んでいる。
以前は世界的に、乳酸菌は免疫の司令塔を活性化することは不可能とされていた。ところが2012年、キリンが世界で初めて免疫の司令塔を活性化できる「プラズマ乳酸菌」を発表。2020年には、免疫機能の機能性表示食品として届出が受理公表された日本初のブランドに。以来、プラズマ乳酸菌への支持は拡大を続けているという実績がある。
このような背景があり、「免疫ケア」を日本の新習慣としたいキリンと、課題を抱える観光業界の思いが重なり、免疫機能の維持を通じて旅行に「安心」をもたらすプロジェクトが発足したというわけだ。今後の展開に目が離せない。