青山商事がメンズ向けの人気ブランドTHE SUIT COMPANY、およびUNIVERSAL LANGUAGEにおける2023年春夏コレクションを公開した。同社では、時代のニーズに合ったウェアリングを目指し、シンプルさ(SIMPLICITY)、着心地(COMFORT)、時代への適合(FIT FOR THE TIMES)にフォーカスして、半歩先の進化と今の時代のBASICを再定義するとしている。

  • メンズ向けブランドTHE SUIT COMPANY、UNIVERSAL LANGUAGEの2023年春夏コレクションが公開

■THE SUIT COMPANY

THE SUIT COMPANYでは、サステナブルと機能性を融合したコレクションを推していく。担当者は「糸や生地から作り込める青山商事ならではの強みを活かした取り組みです。我々が業界をリードしていくつもりで、使命感を持ってやっています」と意気込む。

  • THE SUIT COMPANYはサステナブル+機能性

THE SUIT COMPANYのテーマは「STRATEGY FOR STYLE」。パッと見では大きな変化を出しづらいスーツのカテゴリにおいて、形は変化させず、しかし細かい仕上がりにこだわった戦略を進めている。「たとえば、サステナビリティ、エコロジカル、着心地の良さ。スーツの見た目は大きく変わらないかも知れませんが、そうしたソフト面にこだわって進化させた商品を揃えました」(担当者)。

ELANCO(エランコ)は節水染色による商品。染色後の排水を濾過し、次の染色にあてることで使用する水を大幅に削減している。そして新たに登場したELANCO+(エランコプラス)では、ウォッシャブルでイージーケアという従来の機能を継承しながら、ストレッチ性を向上させた「スーパーストレッチ」を実現した。

  • ELANCO+(エランコプラス)が登場

またノンミュールジングウール、再生ポリエステルのレニュー、再生原料のポリウレタンのLYCRAを使用した、サステナブルな素材にこだわったスーツも出ている。

  • サステナブルへのこだわり

担当者がオススメするのが、再生原料を使ったCOOLMAX商品。「涼しく感じられ、LYCRAでストレッチも効くので着心地が良い。もちろんサステナブルな素材を使っています。現在はスーツで先行しているこうした取り組みを、今後はニット、シャツ、ネクタイなど他の分野のアイテムにも波及させていくことを考えています」と話す。

  • COOLMAXのスーツ

また新たな流れとして、ブレザーのインナーとしてニット素材のカットソーを提案する。ビジネスウェアがカジュアル化しつつあるなか、今後を見据えた商品開発だ。「夏場のスーツでは、これまでお客様のご要望に十分にはお応えできていませんでした。来夏はスーツ、ジャケット以外の軽いアイテムにも力を入れていきます」と担当者。

  • ブレザーのインナーにニット素材のカットソー

「スマみえ」では30代の日本人男性2,000人以上を対象に、3Dスキャナーを使って1人頭400箇所の寸法データを取得してパターンを作った。そして青山商事が長年蓄積してきたデータと合わせた結果、袖の幅、ウエストのシェイプの位置、パンツの膝の位置を微調整すれば、より日本人の体型に合うアイテムが作れることが分かったという。

  • マネキンが着ているアイテムがスマみえの商品

スマみえに合わせる「ビズTシリーズ」も登場している。ビジネス用のテーラードジャケットに合わせて着るTシャツだ。一見、普通のTシャツと変わらないが、たとえば首元の襟は高く作られており、上からジャケットを羽織ったときに皮膚と接しない(汚れがつかない)。また袖口のリブもキッチリしたデザインで、Tシャツながらラフな印象を与えない。このほか肩から袖にかけての湾曲をテーラードジャケットに合わせており、これによりジャケット下のインナーがもたつかないという。

  • ビズTシリーズ

  • ジャケットとの相性が考慮されている

気温が高まる6月以降に向けて、接触冷感のポロシャツ「冷めT」とスラックス「冷んやりパンツ」も開発した。触るとヒンヤリと冷たさを感じる素材を使用。これなら真夏の業務も快適にこなせるかも知れない。

  • 冷めT

  • 冷んやりパンツ

■UNIVERSAL LANGUAGE

一方でUNIVERSAL LANGUAGEのテーマは、ブレザーとマニアを組み合わせた造語「BLAZANIA」。いま若者の間でコスパの良い、使いまわせる服の需要が高まっていることを受け、使い勝手の良いブレザーに特化したコレクションを提案していく。

たとえば、スポーティでカジュアルな雰囲気が特徴のアメリカンスタイルのブレザー。荒い縫い線のステッチワーク、胸のパッチポケット、ボックス気味のシルエットなど、イタリアのスタイルとは違うアメリカンのディティールを大事にしている。

  • アメリカンスタイルのブレザー

  • ポケットやステッチワークなどが特徴的

もちろん青山商事が得意としているイタリアンテイストのブレザーも揃える。こちらではオーソドックスなブレザーにデニムパンツを合わせるなど、気軽にカジュアルダウンできるスタイルを提案していく。

  • イタリアンテイストのブレザー

CANONICO(カノニコ)の生地のジャケットは、染料を使っていない無染色ウールを使用。羊そのままの色あいが楽しめる。

  • CANONICO

  • 無染色ウールの色合い

REDA FLEXO MADE IN NATURE(レダフレクソメイドインネイチャー)もサステナブルな再生原料を使ったシリーズ。ナチュラルっぽさをイメージさせるルックながら、ファッション性も高めている。

  • REDA FLEXO MADE IN NATURE

表面に凹凸があり縞状のシボが入るシアサッカー生地でも大人向けのセットアップを提案する。大人っぽく高級感のあるアイテムに仕上がった。

  • シアサッカー生地のセットアップ

  • 生地の様子

REDA FLEXO(レダフレクソ)は、ポリウレタンを使ってストレッチ性を出したライン。そしてICESENSE(アイスセンス)では、夏場に生地の温度が上がらないような特殊な製法をしていると紹介する。「ストレッチが効きながら涼しくて快適に過ごせます。世界で初めての生地ですし、このシーズンは青山商事だけに販売が許されています」と担当者は強調する。

  • REDA FLEXO ICESENSE

CANONICO(カノニコ)ではカラースーツも展開する。定番のネイビーが一番人気で、そのほかにもブルー、グリーン、ブラウンなど6色を用意。特殊な糸の染め方をするなど、シンプルながらちょっとだけ捻っているのがポイント。

  • CANONICOのカラースーツ

  • 6色で展開

このほか、ジャケットの形をしたカジュアルなシャツも夏季シーズンに向けて展開していく。

  • 夏季シーズンに向けたカジュアルなシャツ

  • 見た目も軽やか

RAXA(ラシャ)は、青山商事社内の若手メンバーを中心に立ち上げたブランド。従来の商品とは違う目線でモノづくりをしている。オンとオフの境目、男女の境目をなくすことをコンセプトに掲げる。担当者は「たとえばカジュアルウェアとしても、ビジネスウェアとしても着ていけるようなアイテムを提案します。また昨今は、女性が男性の服を着るトレンドも、そしてその逆もありますね。今季のテーマは『ニューレトロ』。一見するとナチュラルで自然な素材でも、実際は合成繊維などを使うことで新しさを出したり、また新しい素材を使ってレトロなシルエットに落とし込む、そうした商品づくりにも挑戦しています」と話していた。

  • Raxa

  • オンとオフの境目、男女の境目をなくす